お風呂のドアや浴槽まわりのゴムパッキン(コーキング)に、いつの間にか真っ黒なカビがびっしり……。カビ取りスプレーをかけても液が垂れて全然効かないし、ゴシゴシこすっても奥に入り込んだカビは落ちない。「もうパッキン交換するしかないの?」と諦めかけている人、ちょっと待ってください。

実は、塩素系漂白剤の「密着させる時間」を長くするだけで、見違えるほどキレイになるケースがほとんどです。この記事では、2026年4月時点で入手できる市販のカビ取りジェルや、キッチンハイター+片栗粉で作る「漂白ペースト」を使った落とし方を、写真つき手順でわかりやすく解説します。さらに、カビを二度と生やさないための毎日の習慣もまとめました。

なぜゴムパッキンの黒カビは普通のカビ取りスプレーで落ちないの?

カビ取りスプレー(カビキラーやカビハイターなど)は液体タイプが主流です。壁のタイルには効くのに、ゴムパッキンだと効かない理由は大きく2つあります。

1. 液だれして密着時間が短い
スプレータイプの塩素系洗剤は粘度が低く、パッキンの表面をサッと流れ落ちてしまいます。カビの根(菌糸)はゴムの内部に入り込んでいるため、表面を数秒濡らしただけでは届きません。おそうじ本舗の解説によると、ゴムパッキンのカビには最低でも15〜30分の密着時間が必要とされています。

2. ゴム素材にカビの根が食い込んでいる
シリコーンやEPDMゴムは表面に微細な穴(多孔質構造)があり、カビの菌糸がその穴に入り込みます。表面のカビを漂白しても、奥の菌糸が残っていると数週間で再び黒い点が出てくるのはこのためです。つまり、「いかに奥まで漂白剤を届かせるか」がカギになります。

方法1:市販のカビ取りジェルを使う(いちばん簡単)

手軽さを重視するなら、ジェルタイプのカビ取り剤がおすすめです。ドラッグストアやホームセンターで500〜1,000円程度で購入できます。

代表的な製品(2026年4月時点)

  • 鈴木油脂工業「かびとりいっぱつ」(業務用としても定番)
  • ジョンソン「カビキラー ゴムパッキン用」(ペンタイプで塗りやすい)
  • レック「激落ちくん カビ取りジェル」

使い方の手順

  1. パッキンの水気を拭き取る — 水分が残っていると漂白剤が薄まります。乾いた雑巾やキッチンペーパーでしっかり拭いてください
  2. ジェルをカビの上に厚めに塗る — ケチらず、カビが完全に隠れるくらいたっぷり。ペンタイプなら直接なぞるだけでOK
  3. ラップで覆って15〜30分放置 — ラップをかぶせることで乾燥を防ぎ、密着時間を稼げます。頑固なカビには1時間置いても大丈夫
  4. シャワーで洗い流す — 必ず「冷水」で流しましょう(お湯だとジェルが固まることがあります)
  5. まだ残っていたら繰り返す — 1回で落ちなくても、2〜3回繰り返すと薄くなっていきます

方法2:キッチンハイター+片栗粉の「漂白ペースト」を自作する

わざわざ専用ジェルを買わなくても、家にあるキッチンハイター(塩素系漂白剤)と片栗粉で同じ効果のペーストが作れます。ミツモアの解説記事でも紹介されている方法です。

材料

  • キッチンハイター(塩素系):キャップ1杯(約25ml)
  • 片栗粉:大さじ2(約25g)
  • 紙コップ・割りばし(混ぜる用)
  • ラップ
  • ゴム手袋(必須!)

作り方と使い方

  1. ゴム手袋を着用し、換気扇を回す — 塩素系漂白剤は素手で触ると肌荒れの原因に。必ず手袋をしてください
  2. 紙コップにハイターと片栗粉を1:1で入れ、割りばしで混ぜる — ドロッとしたペースト状になればOK
  3. カビの上にペーストを塗り、ラップで覆う — 垂直面でも片栗粉のおかげで垂れにくい
  4. 5〜15分放置 — 長く置きすぎるとゴムを傷める可能性があるので、初回は5分から試しましょう
  5. キッチンペーパーでペーストを拭き取り、冷水シャワーで洗い流す

超重要:お湯で流すのはNG! 片栗粉は60℃以上で固まる性質があります。お湯で流すとペーストが糊(のり)状に固まり、排水口が詰まる原因になります。必ず冷水で流してください。

絶対やってはいけないNG行為3つ

カビを早く落としたい気持ちはわかりますが、以下の3つは絶対に避けてください。最悪の場合、命に関わります。

1. 塩素系と酸性洗剤を混ぜる(「まぜるな危険」)
キッチンハイターやカビキラー(塩素系)と、クエン酸・お酢・サンポール(酸性)を混ぜると、有毒な塩素ガスが発生します。「カビにはクエン酸も効くって聞いたから一緒に……」は絶対ダメ。同じ日に使う場合でも、片方を完全に洗い流してから使いましょう。

2. メラミンスポンジやたわしでゴシゴシこする
ゴムパッキンの表面に傷がつき、その傷にカビが入り込んでさらに落ちにくくなります。漂白剤の「化学の力」で分解するのが正解で、物理的にこするのは逆効果です。

3. カビが生えたまま上からコーキングを打ち直す
DIYでシリコーンコーキングを上塗りする人がいますが、カビの上にフタをしているだけ。内部でカビが増殖し、数ヶ月後にはもっとひどい状態になります。打ち直すなら古いコーキングを完全に除去してからにしましょう。

カビを二度と生やさない!毎日できる5つの予防習慣

せっかくキレイにしたパッキンも、浴室の環境が変わらなければまたカビが生えます。サニクリーンの解説でも推奨されている、毎日1分でできる予防法を紹介します。

1. 入浴後に冷水シャワーで壁・パッキンを流す(30秒)
カビの活動適温は20〜30℃。入浴後の浴室は30℃以上になっているので、冷水で温度を下げるだけで繁殖スピードが大幅に落ちます。

2. 換気扇は最低2時間、できれば24時間回す
湿度60%以下ならカビはほぼ繁殖できません。入浴後にドアを閉めて換気扇を回すのがポイント。ドアを開けると脱衣所に湿気が流れて逆効果です。

3. 水切りワイパー(スクイジー)で水滴を切る(30秒)
100均で買えるスクイジーで壁やドアの水滴をサッと切るだけ。水分がなければカビは育ちません。

4. 週1回、50℃以上のお湯を5秒かける
一見矛盾するようですが、50℃以上の熱湯はカビのタンパク質を変性させて死滅させます。「普段は冷水、週1回は熱湯」と覚えてください。ただし、やけどに注意。

5. 月1回、防カビくん煙剤を使う
ライオン「ルック おふろの防カビくん煙剤」などの銀イオン系くん煙剤は、浴室全体にカビ防止成分を行き渡らせます。2ヶ月に1回でも効果がありますが、梅雨〜夏場は月1回がおすすめです。

それでも落ちないときは?業者依頼とパッキン交換の目安

上記の方法を2〜3回繰り返しても黒ずみが残る場合は、カビがゴムの奥深くまで浸透しているか、ゴム自体が劣化して変色している可能性があります。

プロのハウスクリーニングに依頼する場合、浴室全体のクリーニングで15,000〜25,000円が相場です(2026年4月時点、くらしのマーケット調べ)。部分的なコーキング打ち直しだけなら5,000〜10,000円程度で済むこともあります。

築10年以上でパッキンがボロボロになっている場合は、交換がベストです。ユニットバスのドアパッキンなら、メーカーから部品を取り寄せて自分で交換できるケースもあります。LIXIL・TOTO・Panasonicの公式サイトで型番を検索してみてください。

FAQ

キッチンハイターの代わりにカビキラーと片栗粉を混ぜてもいい?

カビキラーも塩素系なので同じように使えます。ただし、カビキラーは界面活性剤が入っているぶん泡立ちやすく、ペーストが作りにくい場合があります。片栗粉ペーストにはキッチンハイター(液体タイプ)のほうが混ぜやすくておすすめです。

賃貸のお風呂のパッキンにカビが生えた場合、退去時に修繕費を請求される?

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による経年劣化は貸主負担とされています。ただし、掃除を怠って著しくカビが広がった場合は借主負担になる可能性もあるため、普段からこまめな換気と清掃を心がけましょう。

片栗粉ペーストを放置しすぎるとゴムが傷む?

塩素系漂白剤はゴムを徐々に劣化させるため、1時間以上の放置は避けたほうが安全です。頑固なカビには「短時間×複数回」のほうがゴムへのダメージが少なくなります。

黒カビと赤カビ(ピンク汚れ)は対処法が違う?

ピンク汚れの正体は「ロドトルラ」という酵母菌で、カビではありません。こちらはスポンジと浴室用中性洗剤でこするだけで簡単に落ちます。ただし繁殖スピードが速いので、放置すると黒カビの温床になります。見つけたら早めに対処しましょう。

参考文献