ChatGPT Plus(月額約3,000円)、Claude Pro(月額20ドル)、GitHub Copilot(月額10ドル)……。仕事でAIツールを使う人が増えるにつれて、「このサブスク代って経費で落とせるの?」という疑問もよく聞くようになりました。

結論から言うと、業務に使っているなら経費にできます。ただし、勘定科目の選び方や、プライベートでも使っている場合の「按分(あんぶん)」のやり方、2026年に大きく変わったインボイス対応など、知っておかないと損するポイントがいくつかあります。

この記事では、個人事業主・フリーランス・副業ワーカー向けに、AIサブスク代の経費計上の方法を2026年3月時点の最新情報でわかりやすく解説します。

AIサブスク代は「何費」で計上する?勘定科目の選び方

ChatGPTやClaudeの月額料金を経費にするとき、最初に迷うのが「勘定科目は何にすればいいの?」という問題です。

実は、AIサブスク代に「これが正解」という決まった勘定科目はありません。よく使われるのは以下の3つです。

よく使われる勘定科目3パターン

勘定科目こんな人向け理由
通信費ネット回線・クラウドサービスとまとめたい人インターネット経由で利用するサービスなので、ネット料金やサーバー代と同じ分類にできる
支払手数料外注代わり・業務効率化ツールとして使っている人AIに作業を「依頼」している感覚に近いため、外注費・手数料の一種として整理できる
雑費(またはソフトウェア利用料)他の科目にしっくりこない人どちらにも当てはまらない場合のキャッチオール。ただし雑費が膨らむと税務署に目をつけられやすいので注意

一番大事なルール:一度決めたら変えないこと。マネーフォワードクラウドの解説でも触れられていますが、勘定科目の「継続性の原則」により、正当な理由なく毎年コロコロ変えると税務調査で突っ込まれる可能性があります。

ざっくり言うと、ChatGPTもClaudeもCopilotも全部「通信費」にまとめておくのが一番シンプルです。インターネット回線代やドメイン代と同じ括りにできるので、帳簿の見通しもよくなります。

仕事とプライベート両方で使っている場合の「按分」のやり方

「ChatGPTは仕事にも使うけど、料理のレシピを聞いたり雑談したりもする……」という人は多いはず。こういうケースでは、家事按分(かじあんぶん)で業務利用分だけを経費にします。

按分率の決め方

按分率に法律上の決まりはありませんが、「合理的に説明できる割合」であることが求められます。よくあるやり方は以下の2つです。

  • 利用頻度で按分:1ヶ月のチャット履歴を見て、業務利用と私的利用の回数を数える。例えば100回中70回が業務なら按分率70%
  • 時間で按分:業務時間中のみ使用しているなら、1日の業務時間÷1日の総利用時間で計算

たとえばChatGPT Plusの月額が3,000円で、按分率70%なら経費にできるのは月2,100円です。

仕訳の具体例

ChatGPT Plus(月額3,000円・按分率70%)の場合:

借方金額貸方金額摘要
通信費2,100円事業主借3,000円ChatGPT Plus 3月分(按分70%)
事業主貸900円(家事分30%)

クレジットカード払いの場合は「未払金」を使うパターンもあります。会計ソフト(マネーフォワードfreee)を使っていれば、按分設定を一度登録すると毎月自動で仕訳してくれます。

2026年のインボイス対応:ChatGPTとClaudeで状況が違う

消費税の申告をしている課税事業者にとって、インボイス(適格請求書)の有無は仕入税額控除ができるかどうかに直結します。2026年3月時点で、主要AIサービスのインボイス対応状況は以下のとおりです。

主要AIサービスのインボイス対応状況(2026年3月時点)

サービス月額(税込目安)インボイス対応登録番号
ChatGPT Plus約3,300円対応済(2025年1月〜)T4700150127989
Claude Pro約3,400円(4月〜税込)2026年4月1日から対応T7700150134388
Google Gemini Advanced2,900円対応済(Google Japan経由)
GitHub Copilot Individual約1,500円対応済(GitHub Japan経由)

要注意なのがClaude Pro。ITmedia AIの報道(2026年3月16日)によると、Anthropicは2026年4月1日から日本のユーザーに消費税10%を別途徴収し、適格請求書発行事業者としての登録を完了しています。

つまり、2026年3月分までのClaude Proの料金にはインボイスが発行されないため、課税事業者は仕入税額控除ができません。4月以降は控除可能になります。

一方、ChatGPT Plusは2025年1月からインボイス対応済みOpenAI公式ヘルプから適格請求書をダウンロードできます。

免税事業者・副業サラリーマンは気にしなくてOK

消費税の免税事業者(売上1,000万円以下の個人事業主など)や、副業の雑所得で申告している会社員は、そもそも消費税の申告をしないためインボイスの有無は関係ありません。税込金額をそのまま経費に計上すれば大丈夫です。

ドル建て決済の為替処理と領収書の保存方法

ChatGPTやClaudeの課金はもともとドル建てです(2026年1月以降、ChatGPTは日本の新規ユーザー向けに円建て表示に移行中)。ドル建てで支払っている場合、為替レートの処理が必要になります。

為替レートの処理方法(2パターン)

  • 簡便法(おすすめ):クレジットカードの明細に記載された円建ての金額をそのまま使う。実務上はこれで問題ありません
  • 原則法:支払日のTTM(仲値)レートで換算する。為替差損益が発生する場合がありますが、月額数千円レベルならほぼ誤差です

領収書・請求書の保存(電子帳簿保存法対応)

2024年1月以降、電子取引のデータは電子データのまま保存が義務化されています。紙に印刷して保存するだけではNGです。

  • ChatGPTOpenAIのBilling設定画面からPDF請求書をダウンロードし、日付・金額で検索できるように保存
  • Claude:Anthropicのアカウント設定画面から請求書を取得。4月以降はインボイス番号入りの請求書が発行される予定
  • GitHub Copilot:GitHubのBilling & plans画面からダウンロード

保存先は「Google Drive」「Dropbox」「PCのローカルフォルダ」どれでもOKですが、「取引年月日」「取引先」「金額」で検索できる状態にしておく必要があります。ファイル名を「2026-03_ChatGPT-Plus_3300円.pdf」のようにしておくと安心です。

年払いした場合の処理と、副業での注意点

年払い(一括払い)の処理

Claude Proなど一部のサービスは年払いで割引になります(Claude Proは年払い200ドル=月あたり約17ドル)。年払いした場合の処理は以下のとおりです。

  • 短期前払費用の特例が使えるケース:継続的なサービス契約で、翌年も同じ処理をするなら、支払った年に全額経費にできます(所得税基本通達37-30の2)。つまり、12月に年払いしたClaude Proの代金を、その年の経費にまとめて計上してOKです
  • 原則的な処理:「前払費用」として資産計上し、毎月1/12ずつ経費に振り替える。こちらのほうが正確ですが、月額数千円レベルなら特例で一括計上するほうが実務的です

副業(雑所得)で申告する場合の注意

副業の収入を「雑所得」として確定申告する場合でも、AIサブスク代は経費にできます。ただし注意点が2つあります。

  • 按分率の根拠を残す:雑所得は事業所得より税務署のチェックが厳しくなる傾向があります。「このツールを何に使っているか」をメモしておきましょう
  • 赤字の通算はできない:雑所得は他の所得と損益通算できません。経費が収入を上回っても、他の所得から差し引くことはできないので注意してください

FAQ

ChatGPTの無料版だけ使っている場合、経費は発生する?

無料版は料金が発生しないため、経費には計上できません。ただし、ChatGPTを使うためのインターネット回線代やパソコン代は、業務利用分を按分して経費にできます。

ChatGPT PlusとClaude Proを両方契約しているけど、両方とも経費にできる?

はい、業務に使用しているなら両方とも経費にできます。勘定科目はどちらも同じ(たとえば「通信費」)に統一しておくと管理がラクです。複数のAIツールを使い分ける合理的な理由(用途が違うなど)があれば問題ありません。

APIの利用料金(従量課金)も経費にできる?

はい。OpenAI APIやAnthropic APIの従量課金も、業務利用分は経費にできます。勘定科目はサブスク代と同じ「通信費」や「支払手数料」でOKです。毎月の請求額が変動するので、請求書の保存を忘れずに。

会社員が副業で使っているAIツール代は、会社の年末調整で処理できる?

できません。年末調整では副業の経費を申告できないため、確定申告で自分で申告する必要があります。副業の収入が20万円以下でも住民税の申告は必要なので、その際に経費として計上しましょう。

Claudeの消費税はいつから課税される?

Anthropicの発表によると、2026年4月1日から日本のユーザーに消費税10%が加算されます。同時にインボイス(適格請求書)の発行も開始されるため、課税事業者は4月以降の利用料について仕入税額控除が可能になります。

参考文献