2024年7月に発行が始まった新紙幣(渋沢栄一の一万円札・津田梅子の五千円札・北里柴三郎の千円札)。そして2021年11月から登場している新500円硬貨。「新しいお金なのに使えない場所がまだこんなにあるの?」と困っている人、実はかなり多いんです。
コインランドリーで新500円玉が弾かれる、自販機に新千円札を入れたら戻ってくる、駐車場の精算機で使えない……。2026年4月時点でもこうしたトラブルは日常的に起きています。この記事では、なぜ使えないのか、どこが対応していてどこがまだなのか、そして使えない時に今すぐできる5つの対処法をまとめました。
なぜ新紙幣・新500円玉は「使えない」機械があるの?
結論から言うと、機械の中の「お金を見分ける装置」が古いままだからです。
自販機や精算機には、紙幣を識別する「ビルバリデータ(ビルバリ)」と硬貨を識別する「コインメカニズム(コインメック)」という装置が入っています。新しいお金は偽造防止のためにサイズ・模様・材質が変わっているので、古い識別装置では「知らないお金が来た=偽物かも」と判断して弾いてしまうんです。
特に新500円硬貨は、旧500円と比べて素材が「ニッケル黄銅・白銅・銅」の3層構造に変わり、重さも0.1g違います。さらに縁のギザギザ(異形斜めギザ)も追加されたため、旧型のコインメックでは認識できません。
新紙幣も同様で、3Dホログラムや高精細すき入れなど最新の偽造防止技術が入っており、識別装置のソフトウェア更新や装置そのものの交換が必要になります。
2026年4月時点の対応状況 — まだ「3割」しか切り替わっていない
日本経済新聞の報道によると、新紙幣の発行から約1年が経った2025年5月末時点で、流通している紙幣のうち新紙幣はわずか約28.8%(約50億枚)にとどまっています。前回2004年の紙幣刷新では同時期に約60%が入れ替わっていたので、今回は半分以下のペースです。
では、どの場所が対応済みで、どこがまだなのか?ざっくりまとめると以下のとおりです。
ほぼ対応済み(安心して使える)
- 銀行ATM — 主要銀行はほぼ100%対応済み
- コンビニのレジ・セルフレジ — 大手チェーンは対応済み
- スーパーのセルフレジ — 大手は対応完了、一部中小店舗は未対応
- 鉄道の券売機(JR・大手私鉄) — ほぼ対応済み
対応がまちまち(要注意)
- 飲料の自動販売機 — 全国約220万台のうち、対応は5〜6割程度。街中の古い自販機はまだ使えないことが多い
- コインランドリー — 新500円玉に未対応の機械がまだ多数。特に個人経営の店舗は対応が遅れている
- コインパーキング・駐車場の精算機 — 新紙幣・新硬貨ともに未対応の機械が残っている
- 路線バス — 西鉄グループなど一部は2026年3月までに順次対応完了としているが、地方のバス会社は遅れがち
- 病院や役所の券売機・証明書発行機 — 自治体によって対応状況が異なる
- ゲームセンター — 両替機が未対応のケースがある
なぜ対応が進まないの?3つの理由
理由1:改修コストが高い。自販機1台あたりの識別装置の交換費用は数万〜十数万円。全国に数百万台あるので、事業者にとっては大きな負担です。特にコインランドリーや駐車場など「1台あたりの売上が少ない」業態ほど後回しになりがちです。
理由2:キャッシュレス化が進んでいる。経済産業省のデータでは、日本のキャッシュレス決済比率は2024年に過去最高の42.8%に達しました。「どうせ現金を使う人が減っているなら、急いで対応しなくても……」と判断する事業者もいます。
理由3:たんす預金で旧紙幣がなかなか減らない。日本では推定30〜50兆円ともいわれるたんす預金があり、旧紙幣が市場に滞留しています。結果として新紙幣への入れ替わりが遅く、事業者も「まだ旧紙幣のほうが多いなら急がなくていい」となっています。
使えない時に今すぐできる5つの対処法
1. キャッシュレス決済を使う
最も確実な方法です。PayPay・楽天ペイ・Suica・PASMOなどのスマホ決済や交通系ICカードなら、紙幣・硬貨の種類を気にする必要がありません。コインランドリーでもQRコード決済に対応した店舗が増えています。
2. コンビニや銀行で両替する
コンビニのセルフレジで少額の買い物をすれば、おつりとして旧紙幣や旧硬貨が出てくることがあります。銀行の両替機(窓口よりも手数料が安い)を使うのも手です。ただし、日本銀行の公式サイトによると、旧紙幣・旧硬貨も法的には引き続き使用可能です。
3. 投入口の注意書きを事前にチェックする
「新500円硬貨は使えません」「新紙幣未対応」などのステッカーが貼られていることが多いです。お金を入れる前に確認すれば、「入れたのに戻ってきた」というイライラを避けられます。
4. 旧紙幣・旧硬貨をある程度キープしておく
完全に新紙幣へ切り替わるまでは、財布に旧千円札や旧500円玉を数枚入れておくと安心です。ATMから引き出すと旧紙幣が出てくることもまだ多いので、意識して取り分けておきましょう。
5. アプリで対応状況を確認する
一部の飲料メーカーやコインランドリーチェーンは、公式アプリやWebサイトで新紙幣・新硬貨の対応状況を公開しています。よく使う場所があるなら、事前に確認しておくとスムーズです。
FAQ
旧紙幣(福沢諭吉の一万円札など)はいつまで使えるの?
旧紙幣は引き続き使用可能です。日本銀行によると、過去に発行された紙幣で現在も有効なものは18種類あり、法的に無効化される予定はありません(2026年4月時点)。ただし、新しい識別装置に更新された機械では旧紙幣が使えなくなるケースもまれにあります。
新500円玉はコンビニで使える?
はい、大手コンビニ(セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソンなど)の有人レジ・セルフレジともに問題なく使えます。使いにくい場面があるのは、主に無人の機械(自販機・コインランドリー・駐車場精算機など)です。
コインランドリーが新500円玉に対応しているか事前に調べる方法はある?
チェーン系のコインランドリー(例:コインランドリーデポ、Baluko Laundry Placeなど)は公式サイトやアプリで対応状況を確認できることがあります。個人経営の店舗は現地の貼り紙で確認するのが確実です。また、QRコード決済対応の店舗を選べば硬貨の対応を気にせず利用できます。
自販機で新紙幣が戻ってくるのは故障?
故障ではなく、識別装置が新紙幣に対応していないだけです。旧紙幣やキャッシュレス決済で購入できます。どうしても気になる場合は、自販機に記載されている管理会社の連絡先に問い合わせてみましょう。
参考文献
- 新札発行1年、切り替えは3割止まり 現金離れと偽札減で必要性薄く — 日本経済新聞, 2025年6月
- 現在有効な銀行券・貨幣 — 日本銀行
- 「新500円玉」が使えない自動販売機 7月の新紙幣誕生で対応進む...と思ったら盲点が — J-CASTニュース, 2024年2月
- 「使えなくて困った」の声も 新紙幣発行1年 流通はどれくらい? — TOSオンライン, 2025年7月
- 新紙幣流通率28.8%の現実。小売店が今直面する「新旧混在」リスクと対策 — moricash






