Windows 10から11にアップグレードしたら、今まで普通に使えていたアプリが起動しない、エラーが出る、画面が真っ白になる......。2025年10月のWindows 10サポート終了をきっかけにWindows 11へ移行した人の中で、こうした「互換性トラブル」に悩まされるケースが急増しています。

この記事では、2026年4月時点の情報をもとに、Windows 11でアプリが動かなくなる原因5つと、自分でできる対処法をわかりやすく解説します。「互換モード」の設定手順もスクショ級にていねいに説明するので、パソコンに詳しくない人も安心してください。

なぜWindows 10のアプリがWindows 11で動かなくなるの?

まず安心してほしいのが、Windows 10と11は「カーネル」(OSの心臓部分)がほぼ同じ設計です。だから大半のアプリはそのまま動きます

ただし、Windows 11ではセキュリティが大幅に強化されていて、古いアプリや特殊なドライバーを使うソフトが「危険かもしれない」とブロックされることがあります。ざっくり言うと、アプリ自体が壊れたわけじゃなく、Windows 11のガードが固すぎて弾かれているというイメージです。

具体的な原因は次の5つに分けられます。

原因1:32ビット専用アプリ・16ビットアプリを使っている

Windows 11は64ビット版のみが提供されています(Windows 10には32ビット版もありました)。64ビット版のWindows 11でも32ビットアプリはほとんど動きますが、16ビットアプリは完全に非対応です。

また、ごく一部の古い32ビットアプリで、64ビット環境を想定していない作りのものはエラーになることがあります。

見分け方:アプリを起動したときに「このアプリはお使いのPCでは実行できません」と表示される場合、アーキテクチャ(32/64ビット)の不一致が疑われます。

原因2:「コア分離(メモリ整合性)」がアプリをブロックしている

Windows 11では、「コア分離」のメモリ整合性がデフォルトで有効になっています。これはマルウェアからPCを守るセキュリティ機能ですが、古いドライバーや一部のアプリと相性が悪く、起動できなくなることがあります。

Windows 10ではこの機能がデフォルトで無効だったので、アップグレード後に「急に動かなくなった」と感じるのはこれが原因であることが多いです。

対処法:

  1. スタートメニューで「Windowsセキュリティ」を検索して開く
  2. 「デバイスセキュリティ」→「コア分離の詳細」をクリック
  3. 「メモリ整合性」をいったんオフにする
  4. PCを再起動して、アプリが動くか確認する

動いた場合、原因はメモリ整合性です。ただしセキュリティが下がるので、そのアプリを使い終わったらオンに戻すことをおすすめします。根本的には、アプリの最新版があるなら更新するのがベストです。

原因3:管理者権限が足りない

Windows 11では、ユーザーアカウント制御(UAC)がWindows 10より厳しく動作するケースがあります。特に、Program Filesフォルダにインストールされた古いアプリは、管理者権限がないと書き込みができずにエラーになることがあります。

対処法:

  1. アプリのアイコン(またはexeファイル)を右クリック
  2. 「管理者として実行」を選択
  3. これで動くなら、毎回この操作が必要です

毎回やるのが面倒な場合は、アプリのプロパティ→「互換性」タブ→「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れて「OK」を押せば、次回から自動で管理者権限で起動します。

原因4:SmartScreenやセキュリティソフトにブロックされている

Windows 11に標準搭載されているMicrosoft Defender SmartScreenは、発行元が不明なアプリや、ダウンロード数が少ないアプリを「危険かもしれない」と判断してブロックすることがあります。

「WindowsによってPCが保護されました」という青い画面が出て起動できない場合がこれです。

対処法:

  1. 青い画面で「詳細情報」をクリック
  2. 「実行」ボタンが表示されるのでクリック

それでもブロックされる場合は、以下を試してみてください。

  1. 「Windowsセキュリティ」→「アプリとブラウザーの制御」を開く
  2. 「評価ベースの保護設定」をクリック
  3. 「望ましくない可能性のあるアプリのブロック」を一時的にオフにする

注意:信頼できるアプリだと確信がある場合だけこの操作を行ってください。出どころ不明のアプリでこれをやるのは危険です。

原因5:アプリがWindows 11のAPIに対応していない

Windows 11で廃止・変更されたAPI(アプリがOSとやり取りする仕組み)を使っているアプリは、正常に動作しません。たとえば、Internet Explorerのコンポーネントに依存したアプリや、古い印刷系のAPIを使ったソフトなどが該当します。

この場合は互換モードで解決できることが多いです。

「互換モード」でアプリを動かす手順

上記のどの原因にも当てはまりそうなときに、まず試してほしいのが互換モードです。「このアプリはWindows 7(や8)で動いていたものですよ」とWindows 11に教えてあげる機能です。

Microsoft公式のサポートページでも案内されている正規の方法です。

手動で設定する方法

  1. 動かないアプリのexeファイル(またはショートカット)を右クリック
  2. 「プロパティ」を選択
  3. 互換性」タブをクリック
  4. 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェックを入れる
  5. ドロップダウンから「Windows 8」または「Windows 7」を選択(アプリが動いていたOSを選ぶ)
  6. 必要に応じて「管理者としてこのプログラムを実行する」にもチェック
  7. 「OK」をクリックして、アプリを起動してみる

トラブルシューティングツールを使う方法

どのバージョンを選べばいいかわからない場合は、Windowsが自動で判定してくれるツールがあります。

  1. アプリのexeファイルを右クリック→「その他のオプションを確認」
  2. 「互換性のトラブルシューティング」を選択
  3. ウィザードに従って「推奨設定を使用」を選ぶ
  4. 「プログラムのテスト」でアプリが動くか確認
  5. 問題なければ「この設定を保存する」をクリック

これでも動かない場合は、「プログラムのトラブルシューティング」を選んで、症状(「以前のバージョンでは動いた」など)を選択すると、より細かい設定を試せます。

それでもダメなときの最終手段

互換モードでも動かない場合は、以下の方法を検討してください。

アプリの最新版を確認する

開発元のWebサイトで、Windows 11対応版がリリースされていないか確認しましょう。多くのメーカーがWindows 11対応パッチを配布しています。

仮想マシンでWindows 10を動かす

どうしても古いアプリが必要な場合、Hyper-V(Windows 11 Pro以上に標準搭載)やVirtualBox(無料)を使って、仮想マシン上にWindows 10をインストールする方法があります。少し上級者向けですが、確実にWindows 10環境を再現できます。

代替アプリに乗り換える

古いフリーソフトがWindows 11に対応していない場合、同じ機能を持つ新しいアプリに乗り換えるのも手です。たとえば、古い画像ビューアが動かないなら「Microsoft フォト」や「IrfanView」で代用できることが多いです。

FAQ

Windows 10で使っていたアプリは全部Windows 11で動きますか?

大部分は動きます。Windows 10と11はカーネル構造がほぼ同じなので、Microsoft公式の互換性情報によると高い互換性が維持されています。ただしセキュリティ強化や廃止されたAPIの影響で、一部の古いアプリは動かないことがあります。

互換モードで「Windows 10」が選べないのはなぜ?

Windows 11とWindows 10はカーネルがほぼ同じため、互換モードの選択肢にWindows 10はありません。Windows 10で動いていたアプリなら「Windows 8」を選ぶのが最も近い設定です。

コア分離のメモリ整合性をオフにしても大丈夫?

一時的な確認用としてはOKですが、常時オフにするのはおすすめしません。メモリ整合性はマルウェアからPCを守る重要な機能です。オフにして動作確認したら、アプリの更新版を探すか、代替アプリへの乗り換えを検討しましょう。

Microsoft Store(ストアアプリ)でも互換モードは使えますか?

いいえ、Microsoft Storeからインストールしたアプリには互換モードは使えません。互換モードが使えるのは、デスクトップアプリ(exeファイルで起動するタイプ)だけです。ストアアプリが動かない場合は、アプリの更新やストアのキャッシュクリア(wsreset.exe)を試してください。

会社のパソコンで互換モードの設定ができません。どうすればいい?

会社のPCでは管理者権限が制限されていて、互換モードやセキュリティ設定を変更できないことがあります。その場合は社内のIT担当者やシステム管理者に相談してください。勝手に設定を変えるとセキュリティポリシー違反になる可能性があります。

参考文献