結論。Claude Projects は、大容量コンテキスト(最大200K トークン)にカスタム指示と参照資料を永続的に紐づけられる、社内ナレッジ運用向けの機能 だ。ChatGPT の GPTs と表面上は似ているが、設計思想が異なる。Projects は「自分の資料を読ませて分析する」用途、GPTs は「公開ボットを作る」用途に最適化されている。
本稿では2026年4月時点の Claude.ai(Sonnet 4.5 / Opus 4.5 ベース)における Projects の仕様、設定手順、ChatGPT GPTs との比較、業務利用時のデータ取り扱いを整理する。検証は Claude Pro プランで実施した。
Claude Projects の仕様
Claude Projects は、(a) プロジェクト固有のカスタム指示、(b) 参照資料(PDF / テキスト / コード / CSV)の永続アップロード、(c) そのコンテキスト下での対話履歴、を1つのワークスペースに束ねる機能だ。新しいチャットを開始するたびに、紐づけた資料とカスタム指示が自動でコンテキストに注入される。
主要ユースケース:
- 社内マニュアル(PDF)を読み込ませてのナレッジ Q&A 化
- 論文5本以上の横断的サマリー生成
- 議事録の累積からの月次サマリー出力
- 過去のコードベースに対するリファクタ提案
プロジェクト作成手順(3ステップ)
ステップ1:プロジェクトを新規作成
claude.ai にログインし、左サイドバーの 「Projects」→「Create Project」。プロジェクト名と説明文を入力する。説明文はプロジェクト一覧での識別用なので、ユースケースを1行で書いておく運用が効率的だ。
ステップ2:ファイルをアップロード
プロジェクト画面の 「Add content」 からアップロード。対応形式は以下。
- テキストファイル(.txt, .md)
- コード(.py, .js, .ts, .go, .rs ほか)
- CSV
直接テキストを貼り付けることも可能。社内 Wiki のページコピペや、URL から取得したテキストの直接投入もこの機能で扱える。
ステップ3:プロジェクト内でチャット開始
ファイルを追加したら、プロジェクト内で新規チャットを開始するだけ。アップロードした資料が システムプロンプトとして自動で注入 され、その情報を踏まえて応答する。仕様上、毎チャットでファイルを再添付する必要はない。
カスタム指示(Custom Instructions)の運用
プロジェクト単位で 「Custom instructions」 を設定できる。これは ChatGPT の system prompt に相当する固定指示で、毎回の対話に必ず適用される。
業務運用での実践例:
- 「回答は日本語で、です・ます調」
- 「参照した資料名と該当箇所のページ番号を必ず明記」
- 「回答は200文字以内で簡潔に」
- 「社内用語の定義(〜は〜を意味する)」を最初に列挙
運用判断: カスタム指示には「出力フォーマットの強制」と「ドメイン用語集」を入れるのが ROI が高い。毎回プロンプトに書く手間がゼロになるため、長期運用ほど効果が累積する。
Claude Projects vs ChatGPT GPTs:機能比較
| Claude Projects | ChatGPT GPTs | |
|---|---|---|
| コンテキスト容量 | 200K トークン(約 50万字) | 128K トークン(約 25万字) |
| 設定方式 | ファイル添付 + カスタム指示 | GPT Builder で対話式設定 |
| 共有 | Team / Enterprise でチーム共有 | GPT Store で公開、Team でチーム内配布 |
| 料金 | Claude Pro(月 $20)以上 | ChatGPT Plus(月 $20)以上 |
| API 化 | 直接の API 公開機能なし | Actions で外部 API 連携可 |
| 適性 | 社内資料分析・リサーチ・コード解析 | 公開ボット・対話型ツール構築 |
結論: Claude Projects は「自分の資料を読ませて分析する」のが得意、ChatGPT GPTs は「みんなに使ってもらうボットを作る」のが得意。両者は競合ではなく、用途で使い分けるツールとして並列に持つのが合理的だ。
業務利用時の活用パターン
1. 社内ナレッジベース化
過去の報告書・マニュアル・FAQ を1つのプロジェクトに集約し、「〇〇に関する過去の対応方針」を問い合わせるユースケース。社内 Wiki が散在している組織で、検索コストの削減効果が大きい。
2. リサーチ・要件定義
論文・規格書・競合プロダクトの仕様書を読み込ませ、横断的な要点抽出や差分分析に使う。技術選定や RFP 作成のフェーズで、エンジニア工数の削減効果が出る。
3. コードベース解析
既存リポジトリのソースコード(数百ファイル単位)を投入し、リファクタ提案・バグ特定・新機能設計に使う。Claude Sonnet 4.5 はコード理解性能が高いため、レガシーコード読解で特に効く。
4. ブログ・メディア運営の品質管理
過去記事を全件投入し、「まだ書いていないテーマの提案」「既存記事と矛盾しないかのチェック」に使う。SEO 重複コンテンツのリスク管理にも転用できる。
FAQ
プロジェクトは無料プランで使えるか
使えない。Projects は Claude Pro(月 $20)以上 のプランで利用可能。Free プランでは機能が無効化されている。Team / Enterprise プランではプロジェクトをチーム内で共有できる。
アップロードした資料は学習データに使われるか
Anthropic は プライバシーポリシー および 該当 Help 記事 で、Pro プランのユーザー入力をモデル学習に使用しないと明記している。業務データの投入も契約上は許容される。ただし第1層(通信)と第2層(一時保管)は引き続き Anthropic のサーバーを経由するため、業界規制で「クラウド送信が禁止された種類のデータ」は別途対応が必要。
1つのプロジェクトに何ファイルまで投入できるか
ファイル数に厳密な数値上限はないが、合計テキスト量はコンテキストウィンドウ上限(Sonnet 4.5 で 200K トークン)に収まる必要がある。仕様上、超過分は自動で切り詰められるため、関連性の低いファイルを大量投入するとコンテキストの希釈が起きる。「関連性の高い資料に絞る」 運用が、出力品質を維持する観点で合理的だ。
参考文献
- Claude 公式サイト — Anthropic
- Anthropic Documentation — Anthropic
- Privacy Policy — Anthropic






