母が病院に電話したら、まったく関係ない会社に繋がった。何かの間違いだろうと番号を確認してかけ直しても、また同じところに繋がる。母がメモしていたのは、Google検索の一番上に水色の枠で表示されていた番号でした。Googleが出してきた番号だから正しいはず、と疑いもしなかったそうです。
まずは安心してください。間違った番号に電話しただけなら、個人情報を伝えていない限り実害はほぼありません。ただ、あの水色の枠の正体を知っておかないと、同じことが繰り返されます。
検索結果の一番上に出る「水色の枠」はGoogleの公式回答ではない
Google検索で何かを調べると、通常の検索結果の上に水色〜紫がかった半透明の枠が表示されることがあります。これが「AIによる概要」(英語ではAI Overview)と呼ばれる機能です。GoogleのAI(Gemini)がWeb上の複数のページを自動で読み取り、要約文を生成して表示しています。
ここが大事なポイントです。あの枠に書いてある情報は、Googleが正しいと確認したものではありません。AIが「たぶんこういうことだろう」と推測して作った要約にすぎないのです。
AIスタートアップOumiが2026年に発表した調査によると、AI概要には約9%の確率で不正確な情報が含まれていました。Googleは年間5兆件以上の検索を処理しているため、計算上、毎時間数千万件の誤った回答が生成されていることになります。10回に1回は間違っている計算になる。
電話番号の間違いは「うっかりミス」では済まないことがある
AI概要が間違えやすい情報の中でも、特に注意が必要なのが電話番号です。
2025年8月、ワシントン・ポスト紙がこんな手口を報じました。詐欺グループが航空会社や銀行の偽カスタマーサポート番号を複数の低品質サイトやフォーラムに掲載し、GoogleのAIがそれを「正しい番号」として拾ってしまうというものです。偽番号に電話した人が、本物のサポートだと信じて個人情報やクレジットカード番号を伝えてしまう被害が報告されています。
先日、仕事仲間にこの話をしたら「あの水色の枠ってGoogleの公式回答だと思ってた」と驚かれました。母だけじゃなかったんです。
電話番号以外にも、以下の情報はAI概要で間違いやすい傾向があります。
- 営業時間: 祝日や臨時休業が反映されていないことがある
- 価格・料金: 古い料金プランや改定前の金額が表示される
- サービスの仕様: 終了した機能や変更された条件が「現在の情報」として出てくる
AI概要かどうかを見分けるポイント
まず、目の前の情報がAIの生成したものかどうかを確認しましょう。
水色〜紫がかった半透明の枠で囲まれているのが一番わかりやすい目印です。通常の検索結果は白い背景ですが、AI概要は薄い色の枠や背景で視覚的に区別されています。枠の左上あたりにはGeminiのアイコン(星型のキラキラマーク ✦)が付いています。2026年7月時点のデザインでの話なので、今後変わる可能性はあります。
もう一つ。AI概要の下部には、AIが参照したWebページへのリンクがカード形式で並んでいます。この出典リンク自体が正しいとは限らない点にも注意してください。Oumiの調査では、AI概要が「正しい」と判定された回答でも、その半数以上は引用元ソースまで遡って確認できなかったと報告されています。
母に「水色っぽい枠の中の情報は、Googleが調べて確認した答えじゃないよ」と伝えたら、「えっ、てっきりGoogleが調べてくれた結果だと思ってた」と目を丸くしていました。
「ウェブ」タブに切り替えて、AI概要のない検索結果を見る方法
AI概要を表示せず、従来のテキスト中心の検索結果だけを見る方法があります。意外と簡単です。
iPhone(Safari)の場合:
- いつもどおりGoogle検索する
- 検索結果画面の上部に「すべて」「画像」「動画」「ニュース」…とタブが並んでいるのを確認する
- タブを右にスクロールすると「ウェブ」が出てくるので、そこをタップ
これだけです。「ウェブ」タブに切り替えると、AI概要が消えて、各Webサイトへのリンクだけが表示されます。AndroidやパソコンのChrome・Edgeでも同じ操作で切り替えられます。
もし「ウェブ」タブが見当たらない場合は、タブの一覧をもう少し右にスクロールしてみてください。「すべて」の右側に隠れていることが多いです。
2026年7月時点で、Googleアカウントの設定からAI概要を完全にオフにする公式オプションは提供されていません。パソコンのChromeであればHide Google AI Overviewsのような拡張機能もありますが、スマホではこの「ウェブ」タブ切り替えが一番手軽な方法になります。
母にもこの方法を教えたところ、翌週には自分で切り替えられるようになっていました。毎回切り替える必要はなくて、電話番号やお金の話など正確さが大事な情報を調べるときだけ使えば十分です。
電話番号・営業時間・価格は必ず公式サイトで裏取りする
一番確実な対策はシンプルです。AI概要に表示された電話番号をそのままメモするのではなく、公式サイトや公式アプリで確認してください。
具体的な手順としては、検索結果の「ウェブ」タブに切り替えてから、企業名や店舗名の公式サイトへのリンクを探して開きます。公式サイトの「お問い合わせ」や「会社概要」ページに載っている電話番号が正しい番号です。
病院であれば、自治体の医療機関検索やGoogleマップのビジネスプロフィール(Googleマイビジネスに登録された情報)のほうが、AI概要よりも正確な場合が多いです。ただしGoogleマップの情報も100%正確とは限らないので、心配なら公式サイトと突き合わせてください。
先日も、母に「電話番号を調べるときは、水色の枠は飛ばして、その下のリンクから公式サイトを開いてね」と伝えました。覚えることはこれだけ。たった一つのルールで、間違った番号に電話してしまうリスクをぐっと減らせます。
FAQ
AI概要に間違った情報が表示されていた場合、Googleに報告できますか?
AI概要の右下にある低評価アイコン(👎マーク)をタップし、「問題を報告」を選ぶとGoogleにフィードバックを送ることができます。ただし報告してもすぐに修正される保証はなく、2026年7月時点で確実に訂正する手段は提供されていません。
AI概要に表示された偽の電話番号に電話してしまいました。どうすればいいですか?
電話しただけで個人情報を伝えていなければ、実害はほぼありません。その番号をブロックして、折り返しの電話には出ないようにしてください。もしクレジットカード番号や暗証番号を伝えてしまった場合は、すぐにカード会社に連絡して利用停止を依頼し、最寄りの警察署(または警察相談専用電話 #9110)に相談してください。
「ウェブ」タブでの検索結果と通常の検索結果は何が違いますか?
「ウェブ」タブではAI概要、ナレッジパネル(右側の情報ボックス)、画像・動画のカルーセルなどが表示されず、各Webサイトへのテキストリンクだけが並びます。情報の正確さを自分の目で判断したいときに便利です。
AI概要はすべての検索に表示されますか?
すべてではありません。Googleが「AIの回答が有益」と判断した検索クエリに対してのみ表示されます。表示の有無はGoogleのアルゴリズムが決めるため、ユーザー側でコントロールすることはできません。
参考文献
- Oumi's Study Finds 50% of AI Overviews Untrustworthy — Oumi, 2026年
- Beware of this customer service scam in Google's AI Overviews — The Washington Post, 2025年8月
- Googleの「AIによる概要」が嘘を捏造?自信満々な誤情報を見破る3つのファクトチェック手順 — 財経新聞, 2026年6月
- GoogleのAI概要、10回に1回は誤回答、毎時数千万件の誤情報があることが調査結果で判明 — カラパイア, 2026年
- 「AIによる概要」の誤りを訂正したい — Google 検索 コミュニティ





