筆者が自分のGoogleアカウントでマイアクティビティを初めて開いたのは2023年、SIerを辞めて独立した直後だった。画面をスクロールすると、2015年からの検索履歴がずらりと並んでいる。「ジャンク WiFi 設定手順」「COBOL IF文 ネスト」「品川区 保育園 空き状況」。仕事の調べものから娘の保育園探しまで、8年分の行動記録がGoogleに丸ごと残っていた。

SIer時代、顧客情報のログ保持期間は「最大5年、超過分は自動パージ」と設計していた人間が、自分のアカウントではデフォルトの無期限保持をそのまま放置していた。恥ずかしい話だ。

結論から言う。2020年6月より前にGoogleアカウントを作った人は、検索履歴・YouTube視聴履歴・位置情報がデフォルトで無期限保存されている可能性が高い。自動削除の設定は5分で終わる。まだ設定していないなら今日中にやるべきだ。

マイアクティビティに記録されているデータは3種類ある

Googleが記録するアクティビティは、大きく3つに分類される。

「ウェブとアプリのアクティビティ」が最も守備範囲が広い。Google検索のキーワード、Chromeの閲覧履歴(同期オンの場合)、Googleマップの検索クエリ、Google Playのダウンロード履歴、Googleアシスタントへの音声コマンド、そして2025年以降はGeminiとの会話内容もここに含まれる。日常的にGoogleを使っていれば、この1項目だけで自分の行動パターンがほぼ丸裸になると考えていい。

次に「YouTubeの履歴」。視聴した動画と検索キーワードの両方が記録対象だ。最後に「ロケーション履歴(タイムライン)」で、スマホのGPSをもとに移動経路が保存される。ただし2024年以降、ロケーション履歴はクラウドから端末内保存へ段階的に移行しているため、従来とは仕組みが変わりつつある点は留意が必要だ。

問題は、これらのデフォルト設定にある。Googleが2020年6月に発表した変更で、新規アカウントではウェブとアプリのアクティビティが18ヶ月、YouTubeの履歴が36ヶ月で自動削除されるようになった。ところが、それ以前に作成された既存アカウントにはこの自動削除がデフォルトで適用されていない。

つまり2020年5月以前にGoogleアカウントを作った人は、アカウント開設時からのすべての検索履歴がそのまま蓄積され続けている可能性がある。SIer時代に基幹システムの承認ログが「全社読み取り可」のデフォルトパーミッションで半年間放置されていた苦い経験を思い出す。デフォルト設定の放置は、企業システムでも個人のWebサービスでも構造的に同じリスクを生む。

自分のマイアクティビティを確認する

確認は1分で終わる。

ブラウザで myactivity.google.com にアクセスする。Googleアカウントにログイン済みなら、検索履歴・閲覧履歴・YouTube視聴履歴が時系列で表示される。画面上部の「日付とサービスでフィルタ」をクリックすると、Google検索だけ、YouTubeだけ、Chromeだけ、といったサービス別の絞り込みが可能だ。

日付範囲を「全期間」に設定してスクロールすると、自分のアカウントに何年分のデータが残っているかが一目でわかる。筆者の場合、2015年1月の「Excel VLOOKUP 複数条件」という検索が最も古い記録だった。10年以上前の検索クエリが残っている。

これを初めて見たとき、正直なところ背筋が冷えた。SIer時代に毎朝アクセスログを目視チェックしていた経験があるから断言できるが、アクセスログを1年分読めばその人間の行動パターンはほぼ特定できる。勤務時間、関心領域、生活圏、健康上の不安。Googleには自分の10年分が蓄積されていたわけだ。

スマホからも確認できる。Googleアプリを開いて右上のプロフィールアイコン →「検索履歴」で同じ画面に遷移する。Androidの場合は「設定」→「Google」→「Googleアカウントの管理」→「データとプライバシー」→「ウェブとアプリのアクティビティ」からも到達可能だ。

自動削除を設定する手順

確認が済んだら自動削除を設定する。手順はシンプルだ。

ウェブとアプリのアクティビティの自動削除は以下の流れで設定する。

  1. Googleアカウント → データとプライバシーを開く
  2. 「履歴の設定」セクションで「ウェブとアプリのアクティビティ」をクリック
  3. 「自動削除」のオプションを選択
  4. 保存期間を「3ヶ月」「18ヶ月」「36ヶ月」のいずれかに設定
  5. 確認画面で「次へ」→「確認」

設定を有効にすると、選択した期間より古いデータは順次自動削除される。すでに蓄積済みの古いデータも、設定後に順次消えていく仕組みだ。Google公式ヘルプにも「選択した保存期間を過ぎたデータは、順次アカウントから自動的に削除されます」と明記されている。

YouTubeの履歴は別の設定が必要になる。同じ「データとプライバシー」画面で「YouTubeの履歴」を選択し、同様に自動削除を3ヶ月・18ヶ月・36ヶ月から選ぶ。ウェブとアプリのアクティビティとは独立した設定なので、片方だけ設定して安心すると片落ちになる。

どの期間を選ぶべきか。筆者の判断基準は18ヶ月だ。

3ヶ月だと短すぎる。Google検索のパーソナライズやGoogleマップのおすすめ表示は、ある程度の履歴データがあった方が精度が高くなる。Geminiに過去の会話文脈を踏まえた回答を出させるにも直近の活動データが必要になる。利便性を犠牲にしすぎると、結局不便になって設定を戻してしまうリスクがある。

一方、36ヶ月は長すぎると判断した。3年分の検索履歴があれば、住所の変遷、職業の変化、健康上の関心事まで推定可能である。万が一アカウントが侵害された場合の被害範囲が広がる。18ヶ月は利便性とリスクのバランスが取れる着地点だと考えている。

なお、IPアドレスと端末の位置情報については、ウェブとアプリのアクティビティから30日後に自動削除される。この挙動は自動削除設定の期間とは無関係に適用される(Google公式ヘルプに記載あり)。

アクティビティを「オフ」にすると何が起きるか

自動削除とは別に、ウェブとアプリのアクティビティそのものを「オフ」にする選択肢もある。ただし副作用が大きい。

オフにするとGoogle検索のパーソナライズが消える。いつも調べている話題の関連候補が出なくなり、Googleマップのおすすめも汎用的なものに変わる。Geminiとの会話はセッションをまたいだ継続ができなくなり、Googleアシスタントの応答精度も下がる。Chrome同期をオンにしている人は、別端末から「最近閲覧したページ」を参照する機能も使えなくなる。

筆者の運用方針は、アクティビティはオンのまま自動削除を18ヶ月に設定する方式だ。SIer時代のログ管理と同じ発想で、「ログは記録するがローテーションを設定する」。完全にログを止めるのではなく、保持期間を制御する方が実運用として現実的だと判断している。

ただし、ひとつ知っておくべき事実がある。2025年9月、Rodriguez v. Google LLC 集団訴訟で連邦陪審が約4億2,570万ドル(約660億円)の賠償命令を出した。訴訟の公式サイトによれば、ウェブとアプリのアクティビティをオフに設定していたユーザーのデータを、Googleがなお収集し続けていたことが争点になった。対象ユーザーは9,800万人、1億7,400万台に及ぶ。Googleは判決の取り消しを求めて争っている(2026年6月時点)。

設定画面でオフにしたからといって、裏側で完全にデータ収集が停止する保証はない。この事実は認識しておくべきだ。

過去のデータを手動で一括削除する

自動削除は「これから」の保持期間を制御する仕組みである。すでに蓄積された過去のデータを今すぐ消したいなら、手動の一括削除を実行する。

マイアクティビティの画面で「削除」ボタン(ゴミ箱アイコン)をクリックし、「全期間」を選択すると、ウェブとアプリのアクティビティに記録されたすべてのデータを一括削除できる。日付範囲を指定して特定期間だけ消すことも可能だ。削除は全端末に即座に反映される。PCで消せばスマホ側の履歴も消える。

注意点がひとつある。削除した検索履歴は元に戻せない。業務で過去の検索をたどる必要がある人は、消す前にGoogle Takeoutでデータをエクスポートしておくことを推奨する。TakeoutではマイアクティビティのデータをJSON形式でダウンロードでき、ローカル保存した上で必要な場面で参照が可能だ。SIer時代にログを消してしまって障害の原因追跡ができなくなった教訓がある。消す前にバックアップは鉄則だ。

妻のGoogleアカウントも確認したところ、自動削除が未設定で7年分の検索履歴が残っていた。家族分も一緒に設定してしまうのが早い。

※ 検証はChrome 137 / macOS Sequoia 15.5 / Android 16にて2026年6月に実施。Google側のUI変更で画面遷移が変わる可能性がある。

FAQ

マイアクティビティを削除するとGmailやGoogleドライブのデータも消える?

消えない。マイアクティビティで管理されるのは検索履歴・閲覧履歴・YouTube視聴履歴・位置情報などの「行動ログ」であり、GmailのメールやGoogleドライブのファイルは別の仕組みで保存されている。マイアクティビティを全削除してもメールやファイルには一切影響しない。

自動削除を設定する前の古いデータはどうなる?

消える。たとえば18ヶ月の自動削除を設定した場合、18ヶ月より古いデータは設定後に順次自動削除される。Google公式ヘルプに「選択した保存期間を過ぎたデータは、順次アカウントから自動的に削除されます」と明記されている。

アクティビティを完全にオフにするとGeminiの精度は下がる?

下がる。ウェブとアプリのアクティビティをオフにすると、Geminiはセッションをまたいだ会話継続ができなくなり、過去のやり取りを踏まえた応答が返せなくなる。アクティビティをオンのまま自動削除で期間を制御する運用が、利便性と安全性を両立できる。

家族のGoogleアカウントも確認すべき?

確認すべきだ。特に2020年6月以前にアカウントを作った家族は、自動削除が未設定の可能性が高い。設定手順は本記事と同じなので、一緒に5分で終わらせてしまうのが確実である。

参考文献