Obsidianは無料で使える高機能なメモアプリ(マークダウンエディタ)として人気ですが、Mac・iPhoneでiCloudを使って同期しようとしたとき、「Macで書いたノートがiPhoneに出てこない」「iPhoneで開くとVaultが空っぽ」というトラブルに悩む人がかなり多いです。

2026年2月現在、Obsidianの公式フォーラムでもiCloud同期の問題は継続的に報告されており、根本的にはiCloudの仕組みに起因する制約があります。この記事では、ObsidianのiCloud同期がうまくいかない原因を整理し、具体的な対処法をひとつずつ解説します。

そもそもObsidianのiCloud同期はどういう仕組み?

Obsidianには公式の同期サービス「Obsidian Sync」(月額4ドル〜)がありますが、Apple製品だけで使うならiCloud Driveを使った無料同期も可能です。

仕組みはシンプルで、Mac上のiCloud Driveフォルダ内にObsidianのVault(ノートの保管庫)を置き、iPhoneのObsidianアプリからそのVaultを開くだけ。ただし、これはObsidian公式の機能ではなく、Appleのファイル同期サービスにおんぶしている状態です。

つまり、iCloud側の都合で同期が遅れたり止まったりすることがあり、Obsidianアプリ側からは「同期を今すぐ強制実行する」ということができません。ここがトラブルの最大のポイントです。

iCloud同期ができない・反映されない原因5つ

Obsidianフォーラムやユーザー報告をもとに、よくある原因をまとめました。

原因1: Macの「ストレージを最適化」が有効になっている

これが一番多い原因です。Macの「システム設定」→「Apple ID」→「iCloud」→「iCloud Drive」で「Macストレージを最適化」がオンになっていると、容量節約のためにiCloud上のファイルがMacのローカルから削除されてしまうことがあります。

Obsidianはローカルのファイルを直接読む仕組みなので、ファイルがクラウドにしかない状態(Finderでファイル名の横に雲マーク☁が付いている状態)だと読み込めません。

対処法: 「Macストレージを最適化」をオフにしてください。さらに、Finderで iCloud Drive → Obsidian フォルダを右クリックし、「今すぐダウンロード」を選択して、すべてのファイルをローカルに落とします。

原因2: iPhoneのiCloud Driveが無効になっている

iPhoneの「設定」→「自分の名前」→「iCloud」→「iCloud Drive」がオフになっていると、当然同期されません。また、Obsidianアプリ自体のiCloudアクセスが許可されているかも確認してください。

対処法: 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」→「iCloud Drive」をオンにし、「iCloud Driveを使用しているApp」の一覧でObsidianがオンになっているか確認します。

原因3: Vault作成の順番が間違っている

意外と見落としがちなのが、最初にどちらのデバイスでVaultを作ったかです。Obsidianフォーラムの報告によると、Mac側で先にVaultを作ってからiPhoneで開こうとすると、「Your iCloud vault was not detected」というエラーが出ることがあります。

対処法: うまくいかない場合は、iPhone側のObsidianアプリでVaultを新規作成し、「iCloudに保存」にチェックを入れます。その後、Macの Finder で iCloud Drive → Obsidian フォルダにVaultが表示されるのを待ち、Mac版Obsidianで「保管庫を開く」からそのフォルダを選択してください。

原因4: iOSの同期タイミングはアプリから制御できない

iCloud Driveの技術的な調査によると、iOSではバッテリーやパフォーマンスを優先するため、iCloud Driveの同期タイミングはOS側が完全に制御しています。アプリから「今すぐ同期して」と命令することはできません。

つまり、Macで保存してから数分〜数十分のタイムラグが発生するのは仕様です。Wi-Fi環境や充電中かどうかでも同期の優先度が変わります。

対処法: iPhoneをWi-Fiに接続した状態で充電器に繋ぎ、Obsidianアプリを開いた状態で数分待ってみてください。また、「設定」→「一般」→「バックグラウンドApp更新」でObsidianがオンになっているかも確認しましょう。

原因5: iCloudの容量が足りない

iCloudの無料プランは5GBしかありません。写真やバックアップでいっぱいになっていると、新しいファイルの同期ができなくなります。

対処法: 「設定」→「自分の名前」→「iCloud」→「アカウントのストレージを管理」で空き容量を確認してください。足りない場合は不要なバックアップを削除するか、iCloud+(月額130円〜)にアップグレードを検討しましょう。

それでもダメなときに試す3つの方法

上記を確認しても同期されない場合は、以下を試してください。

方法1: iCloud Driveをオフ→オンし直す

MacとiPhoneの両方で、iCloud Driveを一度オフにして数分待ち、再度オンにします。これでiCloudのインデックスが再構築され、止まっていた同期が再開されることがあります。※ オフにする前に、大事なノートのバックアップを取ってください。

方法2: .obsidianフォルダをデバイスごとに分ける

Obsidianの設定ファイルが入っている.obsidianフォルダの同期で問題が起きることがあります。とくにMacとiPhoneでプラグインの対応状況が違う場合、設定ファイルの競合が起きやすいです。

penchi.jpの解説によると、MacとiPhone(iOS)で設定フォルダを分ける方法が有効です。たとえばMac側では.obsidianをそのまま使い、iOS側では「Override config folder」でフォルダ名を.obsidian-mobileのように変更することで、設定の競合を回避できます。

方法3: Obsidian Syncへの乗り換えを検討する

どうしても安定しない場合は、公式のObsidian Syncに乗り換えるのが確実です。2026年2月現在、料金は月額4ドル(年払い・1GBプラン)から。エンドツーエンド暗号化に対応しており、Mac・iPhone・iPad・Windows・Android・Linuxのすべてで安定して同期できます。

学生・教職員・非営利団体は40%割引が適用されるので、該当する方はチェックしてみてください。

Windows×iPhoneの組み合わせは要注意

ちなみに、WindowsパソコンとiPhoneでiCloud同期を使おうとするのはさらにハードルが上がります。Windows版iCloud Driveはファイルの重複やファイル名の競合が複数報告されており、Obsidianフォーラムでも「Windowsでの iCloud同期は推奨しない」という声が多いです。

WindowsとiPhoneの組み合わせなら、Obsidian Syncか、Self-hosted LiveSync(無料だが設定がやや複雑)などの別の同期方法を検討しましょう。

FAQ

ObsidianのiCloud同期は無料でできる?

はい、Apple製品同士(Mac・iPhone・iPad)であればiCloud Driveを使って無料で同期できます。ただし、公式にサポートされている方法ではなく、同期の安定性はiCloud側の挙動に依存します。Windowsとの同期は問題が起きやすいため非推奨です。

Macで編集したのにiPhoneにすぐ反映されないのはなぜ?

iOSではバッテリーとパフォーマンス優先のため、iCloud Driveの同期タイミングをOS側が制御しています。アプリから強制的に同期することはできないため、数分〜十数分のタイムラグが発生することがあります。Wi-Fi接続中かつ充電中の状態が最も同期されやすいです。

「Your iCloud vault was not detected」というエラーが出たら?

iPhone側のObsidianアプリでVaultを新規作成(iCloudに保存にチェック)し、その後Macから同じVaultを開く方法を試してください。Mac側で先にVaultを作った場合にこのエラーが出やすい傾向があります。

Obsidian Syncとの違いは?

Obsidian Syncは公式の有料同期サービス(月額4ドル〜)で、エンドツーエンド暗号化・バージョン履歴・全OS対応といった機能があります。iCloud同期はApple製品限定・無料ですが、安定性に難があり公式サポートの対象外です。

ノートが消えた・競合した場合、復元する方法はある?

iCloud Driveの場合、iCloud.comの「最近削除したファイル」から30日以内であれば復元できることがあります。ただし確実ではないため、重要なノートは定期的にGitやローカルフォルダにバックアップを取ることをおすすめします。

参考文献