先週、試しにスマホのストップウォッチで在宅勤務中に家事へ使った時間を計ってみました。洗濯機のブザーが鳴って干しに行く、シンクの洗い物が目に入ってサッと片付ける。「ちょっとだけ」のつもりで動いた合計が、1日40分を超えていたんです。

我が家は共働きで、夫も週に何日か在宅勤務をしています。札幌の2LDKに年中の長男と1歳の次男がいるので、家事の手はつねに足りません。在宅の日は「今のうちにやっておこう」と手が動く。でもその40分が仕事の集中力まで道連れにしていると気づいたのが、対策を始めるきっかけでした。

在宅勤務の「ちょっとだけ」が止められない理由

出社していれば、洗濯物は視界に入りません。でも在宅だと、デスクからキッチンのシンクが丸見えだったりします。干しっぱなしの洗濯物がリビングに出ている。視界に入るたびに「やらなきゃ」が頭をよぎるんです。

カリフォルニア大学アーバイン校のGloria Mark教授の研究(2008年)によると、作業が中断されてから元のタスクに集中を戻すまで、平均23分15秒かかるとされています。5分だけ洗い物をしたつもりでも、復帰までの時間を含めると実質30分近い仕事ロスです。

花王「くらしの研究」の調査(2021年7月、首都圏在住25〜64歳の既婚男女対象)でも、在宅勤務者は勤務時間帯(8時〜18時台)に洗濯や掃除をする割合が出勤者よりはっきり高い結果が出ています。在宅だからこそ「合間にできる」環境が、逆に仕事の中断を誘っている構造です。

ストップウォッチで1週間計測して見えた内訳

やったことはシンプルです。仕事中に家事に手を出したらストップウォッチを押す。戻ったら止める。これだけ。

1週間の記録を振り返ると、だいたいこんな内訳でした。

  • 洗濯物を干す・取り込む:10〜15分/日
  • 食器洗い(朝食分・昼食後):8〜12分/日
  • 床のゴミ拾い・掃除機:5〜8分/日
  • 宅配便の受け取りと開封:5分前後/日
  • その他(ゴミ出し準備、棚の片付けなど):5〜10分/日

合計すると1日の平均は42分。週5日換算で約3時間半です。

数字を目の前に置いた瞬間、「意志の力で何とかする」は無理だと腹落ちしました。仕組みで止めるしかありません。

仕組みで「ついで家事」を断つ

計測のあと、仕組みを変えていきました。全部やる必要はありません。あなたの環境で効きそうなものから1つ試してみてください。

「やらないことリスト」を書き出す

ToDoリストより先に効いたのが、仕事時間中にやらない家事を具体的に書き出す方法でした。私の場合は4項目です。

  • 洗濯物干し
  • 食器洗い
  • 掃除機がけ
  • 届いた荷物の開封

書き出すと、「今はやらなくていい」と自分に許可が出せるようになります。やることリストはタスクを増やしますが、やらないことリストは罪悪感を消してくれました。2〜3項目でも十分効果があるので、まず自分がいちばんやりがちな家事だけ書いてみてください。

家事タイムを1日3回に固定する

「いつでもできる」が中断の元凶でした。家事をやる時間を3枠に限定しています。

  1. 朝の仕事前(7:00〜7:30)
  2. 昼休み(12:00〜12:30)
  3. 仕事終了後(18:00〜)

リビングのホワイトボードに「家事タイム:朝・昼・夕」と書いて、それ以外は手を出さないルールにしました。最初の3日はそわそわします。でも1週間もすると「昼にやればいい」と割り切れるようになりました。

ポイントは「いつやるか」を決めること。決めた瞬間に「やらなきゃ」のモヤモヤが消えます。

デスクの向きを壁側に変える

うちのワークスペースはリビング兼用です。以前はキッチンが見える配置にしていたのですが、デスクを壁向きに変えました。背中側にキッチンとリビングが来る形です。

シンクの洗い物が視界から消えるだけで、「気になる→立ち上がる」のサイクルがぐっと減りました。個室がなくても向きを変えるだけで効くので、やってみると意外と簡単です。突っ張り棒と布のパーティションを足せば、視界をさらに遮断できます。100均の突っ張り棒と布で1,000円もかかりません。

家族に共有すると仕組みが長続きする

夫に渡したら案外うまくいった、という話です。ホワイトボードの「家事タイム」を見た夫が「俺も在宅の日は同じことやってた」と言い出しました。夫婦で同じ悩みを共有していたわけです。

年中の長男まで「ママ、今お仕事の時間でしょ」と声をかけてくれるようになりました。子どもが外圧になるのは想定外でしたが、ホワイトボードに書いてあることで家族全員のルールとして機能しています。

一人暮らしの場合は、スマホのリマインダーで「家事タイム」の通知を朝・昼・夕の3回セットしておくと似た効果があります。仕組みは家族の有無に関係なく使えます。

うちの場合はこれで仕事中の家事が週3時間半から30分以下まで減りました。ただ家のつくりや家族構成で合う方法は変わるので、あなたの環境でいちばん効きそうなものから試してみてください。

FAQ

在宅勤務中の家事は「サボり」になりますか?

就業規則にもよりますが、休憩時間内であれば問題ないケースが大半です。業務時間中の中断が常態化するとレスポンス速度や成果に影響が出るため、仕事時間と家事時間を明確に分けるのが安全です。

家事をゼロにする必要はありますか?

ゼロにする必要はありません。昼休みや休憩のタイミングにまとめれば十分です。仕事時間中に割り込ませないことが大事で、タイミングを固定するだけで集中力のロスは大幅に減ります。

小さい子どもがいて、おむつ替えなど急な対応が避けられない場合は?

育児対応は「ついで家事」とは別枠で考えてください。子どもの急な対応はコントロールできないので、会議のない時間帯に集中タスクを入れるなど、仕事側にバッファを持たせるほうが現実的です。

ストップウォッチ計測は何日間やればいいですか?

5営業日(平日1週間)で十分です。私も1週間で平均値が安定しました。計測すること自体が意識を変えてくれるので、まず1週間だけ試してみてください。

参考文献