副業の確定申告で「スマホ代やWi-Fi代は経費にした」「カフェ代もOKだった」——でも、それ以外の細かい出費を見落としていませんか?

FP相談でよく聞かれるのが、「振込手数料って経費にできるんですか?」「業務で買った本は?」という質問です。1件あたりは数百円でも、年間で合計すると数万円になることは珍しくありません。結論から言うと、副業に直接必要な支出であれば、これらはすべて経費として計上できます。

この記事では、副業をしている会社員・フリーランスが確定申告で計上し忘れやすい経費を7つピックアップし、勘定科目の選び方やレシート管理のコツまで解説します。2026年5月時点の税制に基づいた内容です。

そもそも「経費」として認められる条件は?

国税庁の所得税法第37条では、必要経費に算入できる金額を「総収入金額を得るために直接要した費用」と定めています。つまり、副業の売上を得るために必要だった支出なら経費にできるということです。

ただし、プライベートとの線引きが曖昧な支出は「家事按分(かじあんぶん)」が必要です。たとえば自宅兼事務所の家賃を経費にする場合は、仕事に使っている面積や時間の割合で按分します。

ここからは、副業ワーカーが見落としやすい経費を7つ紹介します。すべて「副業に直接関係する支出であること」が前提なので、プライベート利用分は除外してください。

見落としがちな経費① 振込手数料(支払手数料)

クラウドソーシングや取引先から報酬を受け取るとき、振込手数料が差し引かれていませんか? この手数料は「支払手数料」として経費に計上できます

たとえば、クラウドワークスやランサーズでは報酬の振込時に100〜500円程度の手数料がかかります。月に数回振り込まれると、年間で3,000〜6,000円ほどになることも。PayPalやStripeなどの決済手数料(売上の3〜4%前後)も同様に経費です。

見落としがちな理由は、「入金額=売上」と思い込んでしまうこと。正しくは手数料を引かれる前の金額が売上で、手数料は経費です。freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトでは、口座連携すると振込手数料が自動で仕訳されるので活用しましょう。

見落としがちな経費② 書籍・参考書代(新聞図書費)

副業のスキルアップや情報収集のために購入した書籍は、「新聞図書費」として経費に計上できます。紙の本だけでなく、Kindle本や電子書籍、有料ニュースレターの購読料も対象です。

具体的には以下のようなものが該当します。

  • 副業に関連する技術書・専門書
  • 確定申告や税金に関する書籍
  • 業界の専門雑誌・有料メルマガ
  • 副業スキルに関するオンラインコースの教材費

注意点は、副業との関連性を説明できること。「Webライターの副業をしているので、SEOの専門書を購入した」はOKですが、趣味の小説や漫画は当然NGです。レシートの裏にどの業務に関連するかメモしておくと、あとで帳簿をつけるときにスムーズです。

見落としがちな経費③ 交通費(旅費交通費)

副業の打ち合わせやセミナー参加のための電車代・バス代・タクシー代は、「旅費交通費」として経費に計上できます

交通系ICカード(SuicaやPASMO)を使っている場合は、利用履歴を印字しておくか、モバイルSuicaのアプリで履歴をダウンロードしておきましょう。履歴の保存期間は直近26週間(約6か月)なので、半年に1回は必ず保存するのがおすすめです。

筆者自身、毎週金曜にfreeeで記帳する習慣をつけていますが、交通費はつい後回しにしがちです。レシートが出ない電車賃こそ、移動した日付・区間・目的をメモに残すのが鉄則。税務調査では「いつ・どこへ・何のために行ったか」を聞かれることがあるので、メモがあると安心です。

なお、自家用車を副業に使う場合は、ガソリン代・駐車場代・高速代も経費にできます。ただし、プライベートとの兼用なら走行距離で家事按分する必要があります。

見落としがちな経費④ サブスク・ソフトウェア代(通信費・消耗品費)

副業で使っているサブスクリプションサービスやソフトウェアの月額料金は、経費として計上できます。たとえば以下のようなものです。

  • Adobe Creative Cloud(デザイン系副業)
  • ChatGPT Plus・Claude Pro(AI活用)
  • Canva Pro(画像作成)
  • 会計ソフト(freee、マネーフォワード)の有料プラン
  • レンタルサーバー・ドメイン代(ブログ・Webサイト運営)
  • Zoom・Google Workspace の有料プラン

勘定科目は月額課金なら「通信費」、買い切りソフトなら「消耗品費」(10万円未満の場合)が一般的です。年間一括払いをしている場合でも、その年の期間分を経費にできます

ただし、プライベートでも使うサービス(たとえばAdobe を趣味の写真編集にも使う場合)は、業務利用割合で家事按分してください。

見落としがちな経費⑤ 文房具・消耗品代(消耗品費)

ボールペン、ノート、コピー用紙、インクカートリッジ、USBメモリ……こうした細かい文房具や消耗品も、副業に使っているなら経費です。勘定科目は「消耗品費」

1個あたりの金額が小さいので「わざわざ経費にするほどでもない」と思いがちですが、年間で合計すると1万円を超えることもあります。コンビニで買ったボールペン1本でも、レシートを残しておけば計上できます。

10万円以上のもの(高性能モニター、カメラなど)は「減価償却資産」として耐用年数に応じて分割計上する必要があるので注意しましょう。

見落としがちな経費⑥ セミナー・研修費(研修費)

副業スキルを高めるために参加した有料セミナーや研修の受講料は、「研修費」として経費に計上できます。オンラインセミナーの参加費も同様です。

  • 副業に関連するオンライン講座(Udemy、Schooなど)
  • 業界のカンファレンス・勉強会の参加費
  • 資格取得のための講座受講料

FP相談でよく聞かれるのが、「資格の受験料も経費になりますか?」という質問。副業に直結する資格(たとえばWebデザインの副業でデザイン系の資格を取る場合)なら、受験料も経費にできます。ただし、業務との関連性が薄い資格は否認されるリスクがあるので、「なぜこの資格が副業に必要か」を説明できるようにしておきましょう。

見落としがちな経費⑦ 銀行口座の手数料・クレジットカード年会費

副業専用の銀行口座を持っている場合、口座維持手数料や振込手数料は経費にできます。同様に、副業の経費決済に使っているクレジットカードの年会費も「支払手数料」として計上OKです。

ただし、プライベートと兼用のカードなら全額は認められません。独立1年目に税理士friendに相談したとき、「副業用と生活用で口座・カードを分けるだけで、確定申告がびっくりするほど楽になるよ」と言われたのですが、本当にそのとおりでした。分けておけば家事按分の計算も不要で、通帳やカード明細がそのまま帳簿の裏付けになります。

経費の計上漏れを防ぐ3つのコツ

ここまで7つの見落としがちな経費を紹介しましたが、「知っていたのに計上し忘れた」では意味がありません。以下の3つの習慣で計上漏れを防ぎましょう。

コツ1: レシート・領収書はその日のうちにスマホで撮影する

freeeやマネーフォワードのスマホアプリには、レシート撮影→自動仕訳の機能があります。週末まで溜めると面倒になるので、買い物をした直後にパシャッと撮るのが最強のルーティンです。

コツ2: 交通費は「出金伝票」を活用する

電車やバスのようにレシートが出ない支出は、出金伝票(100均で売っています)に日付・金額・区間・目的を記入して保管します。これが領収書の代わりになります。

コツ3: 年末ではなく「週1回の記帳」を習慣にする

記帳は溜めるほど辛くなります。筆者の場合、毎週金曜の午後にFP相談が終わったあと、その週のレシートをfreeeに取り込む習慣をつけたことで、確定申告前の帳簿整理が劇的に楽になりました。1週間分なら5〜10枚程度で10分もかかりません。完璧にやろうとしないのがコツで、勘定科目は後から修正できます。

計上を忘れた経費は「更正の請求」で取り戻せる

もし確定申告後に「あの経費を入れ忘れた!」と気づいた場合は、「更正の請求」という手続きで修正できます。法定申告期限から5年以内であれば、税務署に更正の請求書を提出して、払い過ぎた税金の還付を受けられます。

更正の請求書は国税庁の確定申告書等作成コーナーからオンラインで作成・提出できます。e-Taxを使えば税務署に行く必要もありません。

ただし、更正の請求には「当初の申告が間違っていた」ことを証明する書類(領収書・レシートなど)が必要です。だからこそ、日頃からレシートを保管しておくことが大切です。

FAQ

副業の経費に上限金額はありますか?

法律上、経費の上限金額は定められていません。ただし、売上に対して経費の割合が極端に高い場合は税務署から問い合わせが来る可能性があります。経費はあくまで「業務に必要な支出」を正しく計上するもので、節税のために水増しするものではありません。

レシートをなくした場合、経費にできませんか?

レシートや領収書がなくても、出金伝票やクレジットカード明細、銀行の振込記録など、支払いの事実を証明できる書類があれば経費として認められる場合があります。ただし、税務調査では領収書の有無が重視されるため、原則としてレシートは保管しておきましょう。

雑所得でも経費は計上できますか?

はい、雑所得でも必要経費を差し引くことができます。ただし、事業所得のように青色申告特別控除(最大65万円)は使えません。副業の規模が大きくなったら、開業届を出して事業所得として申告することも検討しましょう。

副業の経費を計上したら会社にバレますか?

経費の計上そのものが原因で会社にバレることはありません。バレる主な原因は住民税の金額変動です。確定申告時に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」にすれば、副業分の住民税が会社に通知されるのを防げます。

参考文献