「親が急に亡くなって、スマホのパスコードがわからない……」「写真や連絡先を取り出したいけど、ロック画面から先に進めない」——そんな声がSNSでも増えています。2026年2月現在、故人のスマホのロック解除はキャリアショップでは対応してもらえないのが現実。でも、正しい手順を知っていれば道はあります。
この記事では、故人のスマホ(iPhone・Android)のロック解除方法を具体的に解説します。さらに、「自分の親にはこうなってほしくない」という方のために、生前にやっておくべき設定もまとめました。
まず知っておきたい:キャリアショップではロック解除できない
「ドコモやau、ソフトバンクのショップに持っていけば開けてもらえるんじゃない?」と思いますよね。残念ながら、キャリアショップで対応できるのは「契約の解約」や「SIMカードの停止」までです。端末そのもののパスコード解除は行っていません。
つまり、スマホ本体のロックを開けるのは、キャリアの管轄外。じゃあどうすればいいのか?iPhone と Android でそれぞれ方法が違うので、順番に見ていきましょう。
iPhoneのロックを解除する方法
iPhoneの場合、ロック解除の選択肢は大きく3つあります。
方法①:パスコードを推測して入力する
家族の誕生日、電話番号の下4桁、「0000」「1234」など、思い当たるパスコードを試す方法です。ただし、10回間違えるとデータが全消去される設定になっている場合があるので要注意。まずは6回目まで(ロックアウトの警告が出る前)にとどめておくのが安全です。
ちなみに、iPhoneの「データ消去」設定がオンになっていると、10回の失敗で工場出荷状態に戻ります。慎重に。
方法②:Appleの「故人アカウントへのアクセスリクエスト」を利用する
Appleには、故人の家族がデータにアクセスするための公式の手続きが用意されています。2026年2月時点で必要なものは以下の通りです。
- 死亡証明書(英訳が必要な場合あり)
- 裁判所命令または故人アカウント管理連絡先のアクセスキー
- リクエスト者の身分証明書
「故人アカウント管理連絡先(Legacy Contact)」が生前に設定されていれば、裁判所命令なしでデータにアクセスできます。これが一番スムーズなルートです。設定されていない場合は、相続人であることを証明する裁判所命令が必要になります。
ざっくり言うと、生前に設定してあれば数日、設定なしだと数週間〜数ヶ月かかる可能性があります。
方法③:デジタル遺品整理の専門業者に依頼する
「裁判所命令はハードルが高い」「でもデータを取り出したい」という場合、デジタルフォレンジック(データ復旧)の専門業者に依頼する方法もあります。費用は5万〜30万円程度が相場とされていますが、成功率や対応範囲は業者によってまちまちです。
依頼する際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- ロック解除の実績があるか
- 料金体系が明確か(成功報酬型か固定料金か)
- プライバシー保護の体制が整っているか
Androidのロックを解除する方法
Androidの場合は、iPhoneと比べて選択肢がやや多いです。
方法①:Googleアカウントでリモート初期化する
故人のGoogleアカウント(メールアドレスとパスワード)がわかれば、Googleの「デバイスを探す」からリモートで端末を初期化できます。ただし、初期化するとデータは消えます。あくまで「端末を再利用したい」「ロックを解除して処分したい」という場合の方法です。
方法②:Googleアカウントのパスワードを使ってロック解除
Android 4.4以前の古い端末では、パスコードを5回間違えると「Googleアカウントでロック解除」のオプションが表示されます。ただし、最近のAndroid(5.0以降)ではこの方法は使えません。
方法③:メーカーのサポートに相談する
Samsung、SONY、SHARPなど各メーカーによって対応は異なりますが、死亡証明書などを提出することでサポートを受けられるケースもあります。まずはメーカーのサポート窓口に問い合わせてみましょう。
生前にやっておくべき3つの設定
「自分の親にこんな思いをさせたくない」「逆に、自分が突然いなくなったら家族が困る」——そう思った方は、今すぐ以下の設定をしておきましょう。10分もあれば終わります。
① iPhoneの「故人アカウント管理連絡先」を設定する
iOS 15.2以降で利用できるApple公式の機能です。設定手順は以下の通り。
- 「設定」アプリを開く
- 自分の名前(Apple ID)をタップ
- 「サインインとセキュリティ」をタップ
- 「故人アカウント管理連絡先」をタップ
- 信頼できる家族を追加する
- アクセスキーをiMessageで送信するか、印刷して保管
設定した相手には「アクセスキー」が送られます。万が一のとき、このキーと死亡証明書があれば、写真・メモ・連絡先などのデータにアクセスできるようになります。
② Googleの「アカウント無効化管理ツール」を設定する
Androidユーザーなら、Googleの「アカウント無効化管理ツール」を設定しておきましょう。これは、一定期間アカウントが使われなかった場合に、指定した相手にデータを共有する仕組みです。
- Googleアカウント無効化管理ツールにアクセス
- 「開始」をクリック
- 待機期間(3ヶ月〜18ヶ月)を設定
- 通知先と共有するデータの範囲を指定
Gmail、Googleフォト、Googleドライブなどのデータを、信頼できる人に自動で引き継げます。
③ パスコードを「エンディングノート」に記録する
デジタルな設定と併せて、アナログでの備えも大事です。スマホのパスコードや主要なサービスのパスワードを、紙のエンディングノートに書いておくのが最もシンプルで確実な方法。金庫や封筒に入れて、信頼できる家族に保管場所だけ伝えておきましょう。
「パスワードを紙に書くなんて危険では?」と思うかもしれませんが、自宅の金庫に保管する分にはネット上に流出するリスクよりはるかに安全です。
やってはいけないNG行動
焦ってやりがちだけど、絶対にやってはいけないこともあります。
- パスコードを何度も適当に入力する:iPhoneは10回失敗でデータ全消去の可能性あり
- 非正規の「ロック解除ツール」を使う:データ破損やマルウェア感染のリスク。そもそも法的にグレーな場合も
- キャリアショップに「ロック解除して」と何度も頼む:対応できないものは対応できません。時間の無駄になります
- 故人のスマホを長期間放置する:バッテリーが完全放電すると、一部のデータ復旧が困難になる場合があります。充電だけはしておきましょう
FAQ
故人のスマホの解約に必要な書類は?
一般的には、死亡証明書(または除籍謄本)、来店者の本人確認書類、故人との関係を証明する書類(戸籍謄本など)が必要です。キャリアによって異なるので、事前に電話で確認するのがおすすめです。
ロック解除の専門業者に依頼する費用はどれくらい?
デジタルフォレンジック業者の場合、5万〜30万円が相場です。端末の種類やOSバージョン、ロックの種類によって変わります。無料見積もりを実施している業者が多いので、まずは問い合わせてみましょう。
故人のApple IDでiCloudにログインしてデータを取り出せる?
Apple IDのパスワードがわかれば技術的には可能ですが、2ファクタ認証が有効な場合は認証コードが故人のデバイスに届くため、ロックされた端末なしではアクセスできません。正式なルートはAppleの故人アカウントリクエストです。
生前の設定は親に頼みづらいのですが、どう切り出せばいい?
「スマホの写真を見せてもらうときに一緒に設定しよう」と自然に誘うのがコツ。エンディングノートの話題と絡めると、スマホだけでなく銀行口座や保険の情報整理にもつながります。
参考文献
- 故人の家族のApple Accountへのアクセスをリクエストする方法 — Apple公式サポート
- Apple Accountに故人アカウント管理連絡先を追加する方法 — Apple公式サポート
- アカウント無効化管理ツール — Google公式
- Appleユーザーはこれで安心!? 亡くなった後のデータを託す「デジタル遺産プログラム」 — INTERNET Watch, 2022年
- 故人のスマホロック解除に76%が成功、生前の情報共有が鍵に — INTERNET Watch(GOODREI調査)



