Zoom飲み会で全員が黙り込んだ夜の話

フリーランス仲間とのZoom飲み会で「自分にもしものことがあったら、あのサブスクの解約は誰がやるんだろう?」という話が出ました。画面の向こうの4人が一斉に黙り込んで、誰も答えられなかった。あの数秒の沈黙、けっこう重かったんです。

サブスクリプション(定額課金サービス)は、契約者が亡くなっても自動で解約されません。サービス側が契約者の生死を検知する仕組みは存在しないからです。国民生活センターが2024年11月に公表した注意喚起でも、遺族がIDやパスワードを知らずに解約手続きができないトラブルが複数報告されています。クレジットカードを止めても、支払い請求だけが届き続けるケースもあるとのことです。

でも、焦らなくて大丈夫です。GoogleとAppleには「もしものとき」に備える公式機能がすでに用意されていて、どちらも5〜10分で設定が終わります。

Googleの「無効化管理ツール」で信頼できる人にデータを渡す

Googleアカウントには「アカウント無効化管理ツール」(Inactive Account Manager)という機能があります。一定期間ログインがなかったときに、あらかじめ指定した相手にデータを共有できるものです。

設定の手順はこちらです。

  1. Googleにログインした状態で myaccount.google.com/inactive にアクセスする
  2. 「プランを開始する」をタップ
  3. 非アクティブ期間を選ぶ(3か月・6か月・12か月・18か月から選択できます。迷ったら12か月がおすすめ)
  4. 通知を受け取る連絡先を追加する(最大10人まで指定できます)
  5. 共有するデータの種類を選ぶ(Gmail、Googleフォト、Googleドライブなど個別にチェックを入れます)
  6. 「プランを確認」で内容をチェックして保存

実家の母のGoogleアカウントにも設定してあげました。連絡先には筆者のメールアドレスを入れて、非アクティブ期間は12か月に。設定自体は5分もかからなかったです。母は「こんな機能あったの?」と驚いていました。

「非アクティブ期間が短すぎて誤発動しないか心配」という声もあるかもしれませんが、安心してください。プランが実行される前にGoogleから本人のメールアドレスと登録済み電話番号の両方に通知が届きます。普段使っているアカウントなら、誤ってデータが共有されることはまずありません。

Appleの「故人アカウント管理連絡先」でiCloud上のデータを守る

iPhoneやMacを使っている方は、Appleの「故人アカウント管理連絡先」(Legacy Contact)も一緒に設定しておくと安心です。自分に何かあったとき、指定した相手がApple IDに保存された写真やメッセージ、メモ、ファイルなどにアクセスできるようになります。iOS 15.2以降のiPhoneで設定できます。

iPhoneでの設定手順です。

  1. 「設定」アプリを開き、いちばん上の自分の名前をタップ
  2. 「サインインとセキュリティ」をタップ
  3. 「故人アカウント管理連絡先」をタップ
  4. 「故人アカウント管理連絡先を追加」を選ぶ
  5. ファミリー共有のメンバー、または連絡先から相手を選択
  6. アクセスキーの共有方法を選ぶ(iMessageで送信するのがいちばん手軽です)

ここで大事なのが「アクセスキー」の管理です。故人アカウント管理連絡先に指定された人は、このアクセスキーと死亡証明書の両方がないとデータにアクセスできません。アクセスキーを紛失すると家族でもデータを取り出せなくなります。QRコード付きのPDFを印刷して、紙で保管しておくのがおすすめです。

注意点がひとつ。Apple IDで購入した映画や音楽、サブスクの契約情報、iCloudキーチェーン(保存済みパスワード)は、故人アカウント管理連絡先の対象外です。パスワード類は別の手段で家族に伝えておく必要があります。

紙とスプレッドシートの「両方」でアカウント一覧を作る

GoogleとAppleの設定が終わったら、もうひと手間。サブスクやWebサービスのアカウント一覧を作っておくと、家族がいざというとき何をどこで解約すればいいかがわかります。

筆者は紙のノートとGoogleスプレッドシートの両方に同じ情報を書いています。紙だけだとノートが見つからなければ終わりだし、デジタルだけだとパスワードがわからなければ開けない。二重にしておくことで、片方がダメでも対応できるようにしています。

書いておくのは4項目だけで大丈夫です。

  • サービス名(例: Netflix、Amazonプライム、Adobe Creative Cloud)
  • 登録メールアドレス
  • 支払い方法(クレジットカード下4桁、キャリア決済、Apple経由など)
  • 月額 or 年額

パスワードそのものは書かなくても構いません。遺族がサブスクを解約するとき、パスワードよりも「どのサービスに契約しているか」と「どのカードで払っているか」を知ることのほうがずっと大事です。存在さえわかっていれば、サービス提供元に直接連絡して解約できるケースがほとんどです。

契約中のサブスクがわからない場合は、iPhoneなら「設定」→ 自分の名前 →「サブスクリプション」、AndroidならGoogle Playのサブスクリプション管理ページで一覧を確認できます。クレジットカードの明細もあわせて確認すると、アプリストア経由ではない契約も見つかります。

FAQ

サブスクは契約者が亡くなったら自動で解約されますか?

いいえ、自動では解約されません。サービス提供元が契約者の生死を検知する仕組みはないため、遺族が個別に解約手続きをする必要があります。クレジットカードを止めても支払い請求だけ届き続けるケースもあるので、カード会社への連絡とサービス提供元への解約手続きの両方が必要です。

Google無効化管理ツールの設定で、間違ってデータが共有されることはありますか?

プラン実行前に、本人のメールアドレスと登録済み電話番号宛に通知が届きます。通知を受け取ってログインすればプランは実行されないため、普段使いのアカウントで誤発動する心配はほぼありません。非アクティブ期間を12か月以上にしておくとより安心です。

Appleの故人アカウント管理連絡先でパスワードも引き継げますか?

引き継げません。iCloudキーチェーンに保存されたパスワード、Apple IDで購入した映画や音楽、サブスク契約情報、決済情報は対象外です。パスワードは紙のノートやパスワードマネージャーの緊急アクセス機能など、別の手段で共有する必要があります。

デジタル終活は何歳から始めるべきですか?

年齢は関係ありません。サブスクを1つでも契約していれば、いつ始めても早すぎることはないです。GoogleとAppleの設定は合わせて10〜15分、アカウント一覧の作成も30分あれば終わります。

参考文献