去年の秋、ライター仲間から「副業やってみない?」と声をかけてもらった。やりたい気持ちはある。でも共働きで子ども2人(長男は年中、次男は1歳)、在宅勤務とはいえ朝から晩まで家事と仕事で埋まっている。空き時間なんてどこにもなかった。

夫に「朝30分だけ集中したい」と口頭でお願いしてみた。3日で形骸化した。次男の夜泣きで起きられない朝が続くと、そのまま自然消滅。お願いベースでは副業の時間は確保できないと痛感した。

我が家では最終的に、リビングのホワイトボードに「6:00〜6:30 ママ副業タイム」と書いて家族全員に見えるようにする方法に落ち着いた。これだけで月10時間の副業時間が安定している。

口頭の「お願い」では副業時間が定着しない理由

副業を始めたいとき、最初にやりがちなのが「明日から朝30分早く起きるね」と家族に宣言すること。私も同じだった。

問題は、口頭のお願いだと夫の状態や子どもの機嫌に左右されること。次男が夜泣きした翌朝は起きられないし、長男が「ママ遊ぼう」と来たら断りにくい。パーソル総合研究所の「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年10月発表)では、副業で過重労働になり「仕事に支障をきたした」「体調を崩した」と答えた人が計27%にのぼっている。副業は始めることより、無理なく続ける仕組みのほうがずっと難しい。

産後1年のとき、夫に「皿洗いお願い」と頼んだら同じことが起きた経験がある。お願いベースだと夫の気分に左右されて3日で破綻したのに、ホワイトボードに「夜の食器:夫」「翌朝の食器:私」と固定したら3ヶ月続いた。名前を書いた瞬間に責任が定着する。副業時間の確保にも同じ仕組みが使えると気づいた。

ホワイトボードに「副業タイム」を書いたら家族のルールに変わった

やったことはシンプルで、リビングのホワイトボードに「6:00〜6:30 ママ副業タイム」と書いただけ。

これが想像以上に効いた。年中の長男が「ママ、まだお仕事の時間だよね」と自分で理解してくれるようになった。お願いではなく「家に貼ってあるルール」として認識されると、子どもも自然に従ってくれる。夫も、書いてあるのを見て「この時間は自分が子どもを見ればいいんだな」と行動が決まるようになった。

週5日×30分で週2.5時間。月に換算すると約10時間になる。副業の最初の一歩としては十分な時間が確保できた。ポイントは「お願い」ではなく「宣言」にすること。ホワイトボードに書いた瞬間、それは個人の希望から家族のルールに変わる。

続かない日のために「振替ルール」を先に決めておく

朝30分の副業タイムを始めて2週間ほど経ったころ、次男の夜泣きがひどい週が来た。3日連続で早起きできず、「やっぱり無理かも」と心が折れかけた。

ここで踏ん張れたのは、最初から「振替ルール」を決めていたから。

  • 朝がダメなら、昼休みに15分だけやる
  • 平日がダメなら、土曜の朝1時間にまとめる
  • 今週まるごとダメなら、潔くスキップする

この3段階を事前に決めておくと、「今日できなかった」が「今週ゼロ」にならない。完璧にこなそうとするより、ゼロに戻さないことを目標にしたほうがずっと続く。

スキップした週はホワイトボードに「今週おやすみ」と書く。書くことで「休んでいい」と自分に許可を出せる。罪悪感が消えると翌週にまた自然と手が動くようになった。全部やる必要はありません。家事でも副業でもそこは同じです。

月10時間の上限ラインで「やりすぎ」を自分で止める

副業が軌道に乗ると、逆に「もっとやりたい」という欲が出てくる。朝30分では足りなくなって、夜も家族が寝た後に作業を始めてしまう日があった。

パーソル総合研究所の同調査では、本業の残業時間と副業の活動時間を合わせて月45時間を超えた人が34%にのぼっている。しかもその半数が、本業先に副業していることを報告していなかった。知らないうちに過重労働に突入するリスクは想像以上に高い。

我が家では朝30分×週5日=月10時間を副業の上限ラインに設定した。セルフチェックの項目はこの3つ。

  1. 本業の始業に影響が出ていないか
  2. 家族との時間を削っていないか
  3. 月の副業時間をストップウォッチで記録しているか

上限を超えそうなときは量を増やすのではなく、単価の高い仕事に絞る方向で調整する。副業は「続けること」が最優先で、短期間で詰め込んで燃え尽きるのがいちばんもったいない。

夫婦で曜日をずらしたら朝活が2人分に拡張できた

半年ほど経って、夫も副業に興味を持ち始めた。ただ同じ時間帯に2人とも作業すると、子どもの対応が手薄になる。

そこでホワイトボードの「6:00〜6:30 ママ副業タイム」を曜日で分けた。月水金は私、火木は夫。夫に渡したら案外うまくいった。曜日をずらすことで副業タイム中もどちらかが子どもを見られる体制が整った。ホワイトボードに書いてあるから、誰がいつ副業するかは家族全員に見えている。

夫はコンビニコーヒーを買ってから帰宅する「フェイク通勤」を副業の開始合図にも応用していて、蓋を開けたら副業スタートというルールで動いている。仕組みの形は夫婦で違っても、「物理的な区切りがある」という共通点さえあれば、切り替えはうまく回るようになった。

うちの場合はこの方法で月10時間を安定確保できているけれど、家族の生活リズムや子どもの年齢で変わる部分はある。自分の環境で効くものから試してみてください。

FAQ

副業の時間は朝以外でも確保できますか?

昼休みや子どもを寝かしつけた後でも確保できます。ただし夜は本業の疲れで集中力が落ちやすく、在宅勤務の終業があいまいになるリスクもあります。朝は家族が起きる前の静かな時間帯で、脳がリフレッシュされた状態なので効率がいい実感があります。

ホワイトボードがない場合は何で代用できますか?

冷蔵庫に貼るマグネットシートやスマホの共有カレンダーでも同じ効果が期待できます。ポイントは「家族全員の目に入る場所に書く」こと。口頭の約束より、書いて貼ったほうが定着しやすいです。

副業していることを本業の会社に報告する必要がありますか?

就業規則で確認が必要です。2025年10月時点で企業の副業容認率は64.3%まで上がっていますが(パーソル総合研究所調査)、届出が必要な会社がほとんどです。未申告のまま副業すると発覚時にトラブルになるリスクがあります。

月10時間で副業の収入はどれくらい見込めますか?

業種や単価によりますが、パーソル総合研究所の同調査で副業の平均時給は3,617円(2025年10月時点)です。月10時間なら単純計算で約36,000円ですが、始めたばかりは単価が低いことも多いです。まず時間を安定確保する仕組みを先に作って、単価は後から上げていく順番がおすすめです。

参考文献