同じアドレスを使い回していると、犯人は見つからない

フリーランス仲間とのZoom飲み会で「登録した覚えのない通販サイトから営業メールが届くようになった」と話題になったことがあります。4人中3人が同じ悩みを抱えていて、全員が「どのサイトから漏れたか見当もつかない」と口をそろえていました。

犯人がわからない理由はシンプルで、どのサービスにも同じGmailアドレスで登録しているから。10個、20個と使い回していれば、どこが出どころなのか特定しようがありません。

ただ、Gmailには「+エイリアス」という機能があって、これを使うと登録先ごとにアドレスを変えられます。設定不要、料金ゼロ、今日から使えます。iPhoneユーザーにはiCloud+の「メールを非公開」という選択肢もあるので、両方の使い分けを整理しておきます。

Gmail「+エイリアス」の仕組みと流出元の特定方法

Gmail「+エイリアス」は、自分のアドレスの@の直前に「+好きな文字列」を足すだけで、別のアドレスとして使える機能です。Google公式ブログでも紹介されています。

たとえば tanaka@gmail.com を持っている人なら、こう使います。

  • Amazon用: tanaka+amazon@gmail.com
  • 楽天用: tanaka+rakuten@gmail.com
  • ニュースサイト用: tanaka+news-abc@gmail.com

+のあとは自由。届いたメールはすべて元の tanaka@gmail.com の受信トレイに入ります。アドレスの個数に制限はなく、Gmailの設定画面を開く必要もありません。

ここからが本題です。もし tanaka+rakuten@gmail.com 宛に心当たりのないスパムが届いたら、流出元は楽天に登録したアドレスだとわかります。30秒で犯人特定。それがこの仕組みの最大のメリットです。

さらに、Gmailのフィルタ機能と組み合わせると便利になります。「To」欄に tanaka+rakuten@gmail.com と指定してフィルタを作れば、楽天関連のメールだけを自動でラベル分け。受信トレイがすっきりします。

登録するときに「+」を足す。それだけで完了

やることは本当にこれだけです。

  1. Webサービスの新規登録画面を開く
  2. メールアドレス欄に 自分のGmail+サービス名@gmail.com と入力する
  3. 確認メールが届いたら、ふだんどおり受信トレイで開いてリンクをクリック

先日、実家の母のGmailにも営業メールが急に増えたので一緒に確認してみました。受信トレイを遡ったところ、10年以上前に登録したポイントサイトから漏れていた形跡が見つかりました。同じアドレスを使い回していたので特定に時間がかかりましたが、「もっと早くエイリアスを知っていれば」と実感した出来事でした。

母のGmailにはひとまずフィルタをかけて迷惑メールを自動振り分けする設定にしましたが、今後の新規登録からは+エイリアスを使うようすすめています。

「+」が弾かれるサイトへの対処法

+エイリアスには弱点もあります。

一部のWebサイトでは、アドレスに「+」が含まれていると登録を受け付けてくれません。フリーランス仲間のZoomでも「ECサイトで+入りのアドレスが通らなかった」という報告がありました。また、+の前に元のアドレスがそのまま残っているため、受け取った側が本来のアドレスを推測するのは簡単です。プライバシーの面で万全とは言えません。

そんなときに使える代替サービスを3つ紹介します。

iCloud+「メールを非公開」(月130円〜、2026年6月時点)

iPhoneやMacを使っている方におすすめなのが、iCloud+の「メールを非公開」(Hide My Email)です。完全にランダムな英数字のアドレスが生成されるので、本物のメールアドレスを推測される心配がありません。

Safariで「Appleでサインイン」を使うときに「メールを非公開」を選ぶか、設定アプリの「iCloud」→「メールを非公開」から手動で新しいアドレスを作成できます。届いたメールは自動で本来のアドレスに転送されます。

不要になったらアドレスごと無効化できるのが大きい。退会後もしつこく届くメルマガを根元から止められます。iCloud+の50GBプラン(月130円)から利用でき、作成数の上限はありません。すでにiCloud+に加入済みの方は追加料金なしで使えるのに、存在を知らない人がけっこういます。フリーランス仲間4人のうち2人が「そんな機能あったの?」と驚いていました。

Firefox Relay(無料〜月約150円)

Mozillaが提供するFirefox Relayは、無料プランで5つまでエイリアスアドレスを作れます。Firefoxブラウザとの連携が強く、登録フォームでエイリアスの自動生成を提案してくれるのが便利です。有料プラン(月0.99ドル、約150円)にすればアドレス無制限になります。

SimpleLogin(無料〜年約4,500円)

Proton Mail傘下のSimpleLoginは、無料で10個までエイリアスが使えます。オープンソースで透明性が高く、転送メールのPGP暗号化にも対応しています。Chrome・Firefox・Safariいずれの拡張機能もあるので、ブラウザを選びません。年30ドル(約4,500円)の有料プランで無制限に。

Gmail「+」とiCloud+「メールを非公開」の選び方

両方を場面で使い分けるのがいちばん実用的です。

比較項目Gmail「+エイリアス」iCloud+「メールを非公開」
料金無料月130円〜(iCloud+加入が必要、2026年6月時点)
設定の手間なしiCloud+への加入が必要
元アドレスの秘匿×(+の前が丸見え)○(完全ランダム生成)
アドレス単位の無効化×
「+」非対応サイト登録不可問題なし
対応デバイスGmailが使える全端末Apple製品中心

ふだん使いのECサイトやSNSの登録にはGmailの+エイリアスで十分です。無料で手軽、流出元の特定という目的ならこれで事足ります。

個人情報を多く入力するサービス(不動産サイト、転職サイト、保険見積もりなど)にはiCloud+「メールを非公開」が安心です。アドレスが完全にランダムなので、万が一流出しても本来のアドレスへの影響はゼロ。不要になったらワンタップで無効化できます。

もしどちらか迷ったら、まずはGmailの+エイリアスから試してみてください。新しく登録するサービスに「+サービス名」を足すだけなので、5秒で始められます。iCloud+にすでに加入している方は「メールを非公開」も併用すると、プライバシーの守りがもう一段上がります。

FAQ

Gmail「+エイリアス」で受け取ったメールに返信すると、相手には元のアドレスが見えますか?

はい、初期設定では元のGmailアドレス(+なし)が送信元になります。エイリアスアドレスを差出人にしたい場合は、Gmailの「設定」→「アカウントとインポート」→「他のメールアドレスを追加」でエイリアスを送信元として登録する必要があります。

iCloud+「メールを非公開」で作ったアドレスの上限はありますか?

iCloud+に加入していれば、作成数に上限はありません。50GBプラン(月130円、2026年6月時点)でも無制限に作成できます。「Appleでサインイン」経由の非公開アドレスは無料のiCloudアカウントでも使えますが、手動でランダムアドレスを自由に作る機能はiCloud+限定です。

すでに登録済みのサービスに+エイリアスを適用する方法はありますか?

各サービスのアカウント設定画面からメールアドレスを「+サービス名」付きに変更できます。ただし全サービスを一括で変更する方法はないので、よく使うサービスから順番に切り替えていくのが現実的です。今後の新規登録からエイリアスを使い始めるだけでも十分に効果があります。

Gmailのエイリアスアドレス宛に届いた迷惑メールだけをブロックできますか?

Gmailのフィルタ機能を使えば可能です。「To」欄にエイリアスアドレスを入力し、「削除する」や「迷惑メールにしない」などの操作を設定できます。ただし、エイリアスアドレス自体を無効化する機能はGmailにはありません。特定のエイリアスを完全に止めたい場合は、iCloud+「メールを非公開」やFirefox Relayのほうが向いています。

参考文献