実家に帰ったら、母のiPhoneがテーブルの上でホカホカに熱くなっていました。画面は真っ暗で、何を押しても反応しない。聞けば、充電ケーブルを挿したまま2時間ほど動画を観ていたそうです。
安心してください。この状態は故障ではありません。iPhoneが「これ以上温度が上がると危ない」と判断して、自分で動きを止めている安全モードです。正しい方法で冷ませば、ほとんどの場合は元どおり使えるようになります。
ただし、冷まし方を間違えると本当に壊れます。冷蔵庫に入れたり保冷剤を当てたりするのは絶対にやめてください。
「高温注意」はiPhoneが自分を守るための安全モード
iPhoneの内部温度が一定の範囲を超えると、画面に「高温注意」や「Temperature: iPhoneは使用する前に冷やす必要があります」といった警告が表示されます。Appleの公式サポートページ(2026年6月時点)によると、iPhoneの動作温度は0〜35℃です。内部温度がこの範囲を超えると、iPhoneは自動的に以下の保護動作に入ります。
- 充電が一時停止する(ワイヤレス充電も含む)
- 画面が暗くなる、または消える
- カメラのフラッシュが使えなくなる
- アプリの動作が極端に遅くなる
- 携帯電話の電波が弱くなる
母のiPhoneのように画面が真っ暗になるのは、ディスプレイの発熱を抑えるためにiPhoneが画面を消しているからです。フリーズしたように見えますが、実際にはiPhoneが内部を冷やすために「待っていてくれ」と言っている状態になります。緊急通話だけはできるようになっているので、完全に壊れたわけではありません。
充電しながら動画を観ると熱くなりやすい理由
iPhoneに限らず、スマホは「充電」と「画面表示」と「データ処理」を同時にやると発熱しやすくなります。充電中はバッテリーが熱を出し、動画再生中はCPU(処理チップ)とディスプレイも熱を出す。この3つが重なると、排熱が追いつかなくなるんです。
特に以下のような条件が重なると危険度が上がります。
- 手帳型ケースをつけたまま充電:ケースが断熱材のように働いて、放熱を妨げます
- 布団やソファの上で充電:通気性がなく、熱がこもりやすい場所です
- 直射日光が当たる場所:窓際のテーブルや車のダッシュボードは特に危険です
- 高画質の動画やゲーム:CPUに高い負荷がかかり、発熱量が増えます
- 急速充電やワイヤレス充電:通常の5W充電と比べて発熱量が大きくなります
母のケースは「手帳型ケースをつけたまま充電しながら2時間の動画視聴」で、まさに発熱しやすい条件が揃っていました。
画面が真っ暗になったときの正しい冷まし方
母のiPhoneを復活させたときの手順を紹介します。Apple公式の推奨手順にも沿っています。
- 充電ケーブルを抜く:まず最初に、充電を止めてください。充電中は常にバッテリーが発熱し続けるので、ケーブルを挿したままでは冷えません
- ケースを外す:手帳型やシリコン製のケースは熱がこもる原因になります。素の状態にしてあげてください
- 涼しい場所に移動する:エアコンが効いた部屋の、直射日光が当たらない場所に置きます。風通しのよいテーブルの上がベストです
- 5〜10分待つ:何も操作せずにそのまま放置します。触りたくなる気持ちはわかりますが、画面をつけようとするとiPhoneが余計な電力を使ってしまいます
- 強制再起動する:5〜10分冷ましたあと、音量を上げるボタンを押して離す、音量を下げるボタンを押して離す、サイドボタンをAppleロゴが出るまで長押し。この手順で強制再起動できます
母のiPhoneは、ケーブルを抜いてケースを外し、エアコンの前に5分ほど置いたあとに強制再起動したら、無事に復活しました。データも何も消えていなかったので、母も「もっと早く言ってよ」と笑っていました。
冷蔵庫・保冷剤・水で急冷するのは絶対NG
「熱いなら冷やせばいい」と思いがちですが、急激な温度変化はiPhoneにとって非常に危険です。
冷蔵庫に入れる。急激な温度差でiPhone内部に結露(水滴)が発生します。結露は基板のショートや腐食の直接的な原因です。精密機器にとって「急に冷やす」は「水に浸ける」に近いダメージを与えます。
保冷剤やアイスノンを当てる。冷蔵庫と同じ理由で結露のリスクがあります。保冷剤の表面についた水滴がコネクタやスピーカーの穴から内部に入り込むこともあります。
水で冷やす・濡れタオルを巻く。iPhoneには耐水性能(IP68等)がありますが、これは一時的な浸水に対する保護であり、意図的に水をかけて冷やすことは想定されていません。水分がコネクタやスピーカーの開口部に入ると、Appleの保証対象外になります。
扇風機やエアコンの冷風を直接当てる。涼しい部屋に置くのは問題ありませんが、冷風を至近距離で直接当て続けるのは避けてください。局所的な温度差が結露につながることがあります。
自然に冷えるのを待つのがいちばん安全です。焦らず、何もせずに待つ。これに尽きます。
熱暴走を繰り返さないための予防
母には「充電しながら動画はダメだよ」と伝えましたが、具体的にどう気をつければいいのかも整理しておきます。
充電中はなるべくiPhoneを使わない。充電が終わってから動画を観る、ゲームをする。これがいちばん簡単で効果的な予防策です。どうしても充電しながら使いたい場合は、画面の明るさを下げるだけでも発熱がかなり抑えられます。
ケースを外して充電する習慣をつける。特に手帳型ケースやシリコン製の厚いケースは、充電中に外すだけで放熱効率がぐっと上がります。母には充電するときだけケースを外す習慣をつけてもらいました。
充電場所を見直す。布団やソファの上ではなく、固くて平らな面(テーブルや棚の上)で充電してください。窓際も直射日光が当たる時間帯は避けたほうが安全です。
バッテリーの劣化を確認する。「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で最大容量を確認できます。80%を切っている場合はバッテリーが劣化している可能性があり、通常よりも発熱しやすくなっています。Apple StoreやApple正規サービスプロバイダでバッテリー交換を検討してみてください。
フリーランス仲間とのZoom飲み会でもこの話をしたら、4人中2人が「充電しながらYouTube観てるわ」と気まずそうにしていました。身に覚えがある方は、今日から充電中は画面を閉じる習慣を試してみてください。
FAQ
「高温注意」が出ている間、iPhoneのデータは消えますか?
いいえ、消えません。高温注意はiPhoneが内部を保護するための一時的なモードであり、写真やアプリ、LINEのトーク履歴などのデータには影響しません。冷めれば元どおり使えます。
充電しながらの通話やLINEも発熱の原因になりますか?
通話やLINEのテキストメッセージ程度であれば、動画やゲームほどの負荷はかかりません。ただし、LINEのビデオ通話を充電しながら長時間続けるとCPUとカメラの負荷が重なるため、熱くなりやすくなります。
毎年夏になると「高温注意」が出ます。故障でしょうか?
気温が高い時期に使用環境が高温になりやすいだけで、故障とは限りません。ただし、涼しい室内で軽い操作しかしていないのに頻繁に警告が出る場合は、バッテリーの劣化やiPhone内部の異常が考えられます。「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で最大容量を確認し、80%を切っていれば交換を検討してみてください。
強制再起動しても画面が真っ暗なままの場合はどうすればよいですか?
1時間程度の自然冷却を待ってから再度強制再起動を試してください。それでも復旧しない場合は、iPhoneをパソコンに接続してiTunes(Windows)またはFinder(Mac)で復元を試すか、Apple公式の修理サービスに相談してみてください。
参考文献
- If your iPhone or iPad gets too hot or too cold — Apple Support
- Understand Thermally Limited Charging on iPhone — Apple Support
- Water and other liquid damage to iPhone or iPod isn't covered by warranty — Apple Support





