「競輪で当たったからPayPayで送っておいたよ」「お年玉、今年はLINE Payで渡すね」——最近、家族間のお金のやり取りがキャッシュレスで完結するケースが増えています。

でもふと思いませんか? 「これって贈与税かかるの?」と。現金の手渡しなら何となくセーフな気がするのに、PayPayやLINE Payの送金は履歴がバッチリ残る……。税務署にバレるんじゃ?と不安になりますよね。

結論から言うと、キャッシュレスだろうが現金だろうが、贈与税のルールはまったく同じです。この記事では、2026年4月時点の国税庁の公式情報をもとに、PayPayなどの個人間送金で贈与税がかかるケース・かからないケースをわかりやすく解説します。

そもそも贈与税って何?年間110万円の「基礎控除」をざっくり理解

贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税金です。現金はもちろん、不動産や株式、そしてPayPay残高などの電子マネーも「財産」に含まれます。

ポイントは「暦年課税」という仕組み。1月1日〜12月31日の1年間に、もらった財産の合計額から基礎控除110万円を引いた残りに税金がかかります(国税庁 No.4408)。

つまり、年間でもらった合計が110万円以下なら、贈与税はゼロ。申告も不要です。

ここで大事なのは「1人からもらった額」ではなく、「すべての人からもらった合計額」で判定されること。お父さんから50万円、おばあちゃんから70万円もらったら合計120万円で、10万円分に贈与税がかかります(国税庁 No.4410)。

PayPay・LINE Payの送金も「贈与」になる?電子マネーと税金の関係

結論:なります。PayPay残高やLINE Pay残高は「財産的価値のあるもの」として、現金と同じ扱いを受けます。

PayPayの送金機能は、2026年4月時点で以下の上限があります:

  • 本人確認済み:1回あたり30万円、過去30日間で100万円まで
  • 本人確認なし:1回あたり10万円、過去30日間で50万円まで

手数料は無料なので気軽に使えますが、送金履歴はデジタルデータとして残り続けます。税務調査で「いつ・誰から・いくらもらったか」が一目瞭然になるのは、現金の手渡しとの大きな違いです。

ただし、PayPayで送金したから即課税、というわけではありません。次のセクションで「かからないケース」を確認しましょう。

贈与税がかからない4つのケース——知らないと損する非課税ルール

国税庁のNo.4405「贈与税がかからない場合」によると、以下のようなケースでは贈与税が非課税になります。

ケース1:年間の合計が110万円以下

前述のとおり、基礎控除の110万円以内なら贈与税はゼロです。たとえばお正月に親からPayPayで5万円、誕生日に3万円もらっても、年間合計8万円なので問題なし。

ケース2:生活費・教育費の仕送り

扶養義務者(親・祖父母・兄弟姉妹など)から受け取る「通常必要と認められる生活費や教育費」は、金額にかかわらず非課税です。

たとえば、一人暮らしの大学生に親が毎月10万円をPayPayで仕送りしても、それが家賃・食費・光熱費などの生活費に充てられるなら贈与税はかかりません。

ただし条件があります:

  • 「必要な都度」渡すこと(将来分をまとめて100万円ドカンと渡すのはNG)
  • もらったお金を実際に生活費・教育費として使うこと(もらった仕送りを株に投資したらアウト)

ケース3:お年玉・結婚祝い・香典など「社会通念上相当」な贈答

お年玉やご祝儀、お見舞い金、香典返しなど、日本社会の慣習として行われる贈答は、社会通念上相当と認められる範囲であれば非課税です。

「社会通念上相当」に明確な金額基準はありませんが、一般的にお年玉は数千円〜数万円程度が相場。たとえば孫にPayPayで1万円のお年玉を送っても、通常は問題ありません。

ただし、「お年玉です」と言って150万円を渡すのは、社会通念上相当とは言えないので贈与税の対象になる可能性があります。

ケース4:住宅取得資金・教育資金の特例

2026年4月時点で利用できる主な非課税特例は以下のとおりです:

  • 住宅取得等資金の非課税特例:親・祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、省エネ住宅なら最大1,000万円、それ以外は最大500万円が非課税(2026年12月31日まで)
  • 教育資金の一括贈与非課税:祖父母等から教育資金を一括贈与する場合、1,500万円まで非課税(2026年3月31日で終了済み)

これらの特例はPayPayの送金というより銀行振込が一般的ですが、制度として知っておくと親子間のお金のやり取りの全体像が見えてきます。

こんなケースは要注意!贈与税がかかる具体例

以下のようなケースでは、贈与税が発生する可能性があります。

パターン1:毎月の「お小遣い」が年間110万円を超える

親が社会人の子どもに毎月10万円をPayPayで送り続けると、年間120万円。基礎控除の110万円を超える10万円分に贈与税がかかります。「生活費の仕送り」と認められるかは、子どもが親の扶養に入っているかどうかや実際の使途がポイントです。

パターン2:複数人からの受け取りで合計110万円超え

父から80万円、母から40万円、合計120万円を受け取ると、10万円分が課税対象に。「1人からは110万円以内だからセーフ」は間違いです。

パターン3:「定期贈与」とみなされるケース

毎年決まった時期に同じ金額(例:毎年12月に100万円)を繰り返し贈与すると、税務署から「最初から○○万円を贈与する約束だった」(定期贈与)とみなされるリスクがあります。年によって金額や時期を変える、贈与契約書を都度作成するなどの対策が有効です。

パターン4:仕送りのはずが「貯蓄・投資」に回している

生活費名目で受け取ったお金を貯金したり、投資に回したりすると、「通常必要と認められる生活費」には該当しないと判断される可能性があります。生活費として受け取ったお金は生活費として使いましょう。

もし贈与税がかかるなら?確定申告の手続きと税率

年間の贈与額が110万円を超えた場合、翌年の2月1日〜3月15日に贈与税の確定申告が必要です。

贈与税の税率は、贈与額(基礎控除後)によって段階的に上がります。親や祖父母から20歳以上(2022年4月以降は18歳以上)の子・孫への贈与は「特例税率」が適用され、一般より少し税率が低くなります。

【特例税率の例(親→子)】

  • 200万円以下:税率10%
  • 400万円以下:税率15%(控除額10万円)
  • 600万円以下:税率20%(控除額30万円)

たとえば、年間で150万円もらった場合、基礎控除110万円を引いた40万円に10%の税率がかかるので、贈与税は4万円です。

申告はe-Taxからオンラインで可能。忘れると無申告加算税(5〜20%)や延滞税がかかるので注意しましょう。

FAQ

PayPayの送金履歴から税務署にバレることはある?

直接PayPayの履歴を税務署が閲覧する仕組みは現時点ではありませんが、銀行口座への出金記録や、税務調査の際に取引履歴の提出を求められる可能性はあります。デジタルの送金記録は消えないので、「バレないから大丈夫」という考えは危険です。

親子間で年間110万円以内なら何に使っても非課税?

はい、年間の贈与合計が110万円以内であれば、使い道に関係なく贈与税はかかりません。ただし、「すべての贈与者からの合計」で判定される点に注意してください。

お年玉をPayPayで送るのは贈与税の対象?

社会通念上相当な金額(一般的に数千円〜数万円程度)であれば、お年玉は非課税です。キャッシュレスかどうかは関係ありません。ただし、「お年玉」名目で高額(数十万円〜)を送ると課税対象になり得ます。

贈与税がかかるか不安なときは誰に相談すればいい?

最寄りの税務署に電話すれば無料で相談できます。また、税理士ドットコムなどのオンライン相談サービスも便利です。個別のケースは専門家に確認するのが確実です。

参考文献