フリーランス仲間がInstagram広告の「70%オフ」でブランドバッグを注文した話
先月のフリーランス仲間とのZoom飲み会で、ちょっとした事件がありました。仲間のひとりが「Instagramの広告で見つけたブランドバッグ、定価の70%オフだったから思わず買っちゃった」と報告してきたんです。
届いたのは、ロゴの位置がずれた明らかな偽物。しかもクレジットカード番号と住所は入力済みです。4人全員、画面の向こうで顔がこわばっていました。
SNS広告から飛んだ先の通販サイトが実は偽物だった、というトラブルが増えています。日本サイバー犯罪対策センター(JC3)によると、偽ショッピングサイトの報告は2026年に入っても毎月数十件から数百件のペースで検出されている状況です。ジェトロが2025年3月に公表した調査では、SNS上の誘導型詐欺広告による被害はFacebook経由が93.8%と突出しており、Instagramが43.8%で続いています。
まずは安心してください。偽サイトにはいくつか共通する「クセ」があるので、買い物前にちょっと確認するだけでかなりの確率で避けられます。もしカード情報を入力してしまった場合でも、すぐに動けば被害を最小限に抑えられることがほとんどです。
偽サイトに共通する「クセ」を知っておく
偽サイトは本物のショッピングサイトからデザインや商品画像をまるごとコピーして作られているため、見た目だけでは区別がつきにくくなっています。ただし、以下のポイントを確認すると怪しさに気づけることが多いです。
URLのドメインが不自然
正規の通販サイトは「.co.jp」「.jp」「.com」などのドメインを使っていることがほとんどです。偽サイトでは「.xyz」「.top」「.shop」「.buzz」といった、あまり見慣れないドメインが使われている傾向があります。
ブランド名に数字やハイフンを足した微妙に違うURL(例: 「brand-japan-shop.xyz」)になっていないか、アドレスバーをよく見てみてください。なお「https」で始まっていても安全とは限りません。2026年現在、偽サイトの多くもSSL証明書(暗号化の仕組み)を取得しており、鍵マークが表示されるケースが増えています。URLの確認だけで100%見抜けるわけではありませんが、「あれ?」と立ち止まるきっかけにはなります。
会社概要の連絡先がおかしい
正規のECサイト(ネット通販サイト)には特定商取引法に基づいて、事業者の名前・住所・電話番号が記載されています。偽サイトでは、このどれかが欠けているか、記載されていても実在しないことがよくあります。
こんなパターンに注意してみてください。
- 電話番号の記載がない、またはかけても繋がらない
- 住所をGoogleマップで検索すると空き地やまったく別の建物が表示される
- 問い合わせ先がフリーメール(Gmail、Yahoo!メールなど)だけ
- 会社名で検索しても公式サイトやSNSアカウントが見つからない
フリーランス仲間が引っかかったサイトにも会社概要のページ自体はありました。記載されていた住所をGoogleマップで調べたら、出てきたのはコインパーキングです。ここで気づけていたら防げた被害でした。
支払い方法が銀行振込だけ、または振込先が個人名
クレジットカード・代金引換・コンビニ払いなど複数の支払い方法に対応しているのが正規のECサイトの一般的な姿です。銀行振込しか選べない場合や、振込先の口座名義が会社名ではなく個人名になっている場合は偽サイトの可能性がかなり高いと考えてください。
最近はクレジットカード決済に対応している偽サイトも出てきています。カード情報そのものを盗むことが目的で、「決済できたのに商品が届かない」だけでなく、カード情報の不正利用という二重の被害につながることがあります。
日本語の表現が不自然
偽サイトの多くは海外で作成されており、自動翻訳をそのまま使っているケースが少なくありません。「お客様は今すぐ購入してください」「在庫は限り」のような、日本語としてどこか引っかかる文章が見つかったら要注意です。商品説明や利用規約のページにも目を通してみると、不自然さに気づきやすくなります。
SNS広告で気になった商品を安全に買うには
SNS広告そのものが悪いわけではなく、正規のブランドや企業もInstagramやFacebookに広告を出しています。問題は、偽サイトの広告も同じタイムラインに紛れ込んでくることです。
対策はシンプルで、「広告のリンクからそのまま買わない」を習慣にするだけ。具体的な手順はこうなります。
- SNS広告で気になる商品を見つけたら、ブランド名や商品名をメモする
- Googleやブランドの公式アプリで直接検索する
- 公式サイトや楽天・Amazonなど信頼できるモールで同じ商品を探す
- 価格が大幅に違う場合(定価の50%以上オフなど)は偽サイトを疑う
先日、母のiPhoneにもInstagram広告で「有名ブランドのフライパンが80%オフ」と表示されたことがありました。母は「こんなに安いなんてお得じゃない?」と嬉しそうに電話してきたのですが、ブランド名で検索したら公式サイトの価格とかけ離れていて、広告のリンク先はまったく別のドメインです。母には「SNSの広告で見つけたものは、広告のリンクを押さないでブランド名を自分で検索してね」と伝えています。
もう1つ覚えておいてほしいのが、JC3が提供している「SAGICHECK」です。怪しいと感じたURLを入力するだけで、そのサイトの危険性を無料でチェックできます。アカウント登録も不要なので、ブックマークしておくと便利です。
カード情報や個人情報を入力してしまったときの対処
焦らなくて大丈夫です。入力してしまった後でも、すぐに動けば被害を抑えられるケースがほとんどです。
クレジットカード番号を入力した場合は、以下の順番で対応してみてください。
- カード会社に電話して利用停止を依頼する。カード裏面の電話番号に連絡すれば、24時間対応してもらえるところがほとんどです
- カード明細を確認する。身に覚えのない請求があれば、カード会社に「不正利用の申告」を行ってください
- 偽サイトのURLや注文確認メールのスクリーンショットを保存する。警察やカード会社への相談時に証拠として使えます
- 最寄りの警察署に相談する。被害届の受理には時間がかかる場合もありますが、相談記録を残しておくことが大切です
住所や電話番号だけを入力した場合(カード情報は未入力)は、すぐに金銭被害が出る可能性は低めです。ただし迷惑メールや不審な電話が届く可能性はあるので、心当たりのない連絡には応じないようにしてください。
「どこに相談すればいいかわからない」というときは、消費者ホットライン「188」(いやや)に電話すると、最寄りの消費生活センターに繋いでもらえます。
偽サイトを見つけたら通報する
偽サイトを通報すると、ブラウザのセーフブラウジング機能への反映や、サイトの閉鎖につながることがあります。
- 悪質ECサイトホットライン(セーファーインターネット協会)。偽サイトのURLを入力するだけで通報できます
- 警察庁 偽ショッピングサイト対策ページ。各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口の一覧が掲載されています
- JC3(日本サイバー犯罪対策センター)。偽サイト情報を集約し、ブラウザのセーフブラウジングやSAGICHECKの判定データに反映されています
フリーランス仲間のケースでは、カード会社への連絡後に悪質ECサイトホットラインにも通報しました。カード会社の対応は早く、不正利用の形跡はなかったものの、念のためカード番号を再発行してもらったそうです。「通報なんて面倒」と思うかもしれませんが、URLを貼り付けるだけなので1分もかかりません。
FAQ
「https」で始まるサイトなら安全ですか?
https(通信の暗号化)だけでは安全とは判断できません。2026年7月現在、偽サイトの多くもSSL証明書を取得しており、アドレスバーに鍵マークが表示されます。URLのドメインや会社概要、決済方法もあわせて確認してみてください。
SNSの広告は審査されていないのですか?
Instagram、Facebook、Xなど主要なSNSでは広告審査を行っていますが、偽サイトの広告をすべて排除できているわけではありません。ジェトロの2025年3月の調査では、Facebook経由の被害報告が93.8%と最も多くなっています。広告プラットフォーム側の対策は進んでいるものの、すり抜けてくる広告もあるため、利用者側での確認が必要です。
偽サイトに銀行振込してしまった場合、お金は戻ってきますか?
振込先の口座が凍結されれば、「振り込め詐欺救済法」に基づいて被害回復分配金として返還される可能性があります。ただし、すでに引き出されていると戻ってこないケースもあるため、振込後はすぐに振込先の銀行と警察に連絡することが重要です。
JC3の「SAGICHECK」は無料で使えますか?
はい、無料で利用でき、アカウント登録も不要です。チェックしたいサイトのURLをコピーして貼り付けるだけなので、「このサイト大丈夫かな?」と思ったらまず試してみてください。
参考文献
- 偽ショッピングサイトに注意 — 一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)
- 偽ショッピングサイト・詐欺サイト対策 — 警察庁
- 「偽サイト」にご注意ください! — 消費者庁
- SNS等インターネット上の誘導型詐欺広告を利用した模倣品流通に関する調査(2025年3月) — 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)
- その通販サイト本物ですか!?"偽サイト"に警戒を!! — 国民生活センター






