結論から言うと、Zoomを解約・ダウングレードしてもクラウド録画は「即削除」されない。ただしデータの種類によって保存期限がまるで違うため、把握せずにプランを変更すると必要な録画やチャット履歴を取り戻せなくなる。
Zoomのデータは「種類ごとに保存期限が違う」
Zoomに保存されるデータは大きく4種類ある。2026年5月時点のZoom公式のデータ保持基準に基づいて整理すると、以下のとおりだ。
| データ種別 | 有料プラン契約中 | 解約・ダウングレード後 |
|---|---|---|
| クラウド録画 | アカウントが有効な限り保持(自動削除設定がなければ無期限) | 即アクセス不可→30日後に完全削除 |
| Team Chatメッセージ | デフォルト24ヶ月(管理者設定で最大10年) | アカウント削除で復元不可 |
| ミーティング診断データ | 収集日から15ヶ月 | アカウント終了後6ヶ月で削除 |
| 使用状況レポート(出席者リスト等) | 過去12ヶ月分 | 無料プランではレポート機能が使えなくなる |
最も注意すべきはクラウド録画だ。有料プランの契約が切れた瞬間にアクセス権を失い、そこから30日のカウントダウンが始まる。30日間はZoomのサーバー上に残るが、無料プランにダウングレードした場合はクラウド録画メニュー自体が表示されないケースがある。再契約すれば復元できる可能性はあるものの、Zoom公式は復元を保証していない。
解約・ダウングレードで何が起きるか——30日の猶予と落とし穴
Zoomの有料プランを解約すると、次回の更新日をもって無料プラン(Basic)に切り替わる。ここで起きることを時系列で整理する。
更新日当日——クラウド録画へのアクセス権が消える。Webポータルの「録画」メニューからクラウド録画を参照できなくなり、共有リンクも無効化される。40分の時間制限も復活する。
更新日から30日以内——録画データはZoomのサーバー上にまだ存在している。この期間内にProプラン以上を再契約すれば、データにアクセスできる可能性がある。ただし保証はない。
30日経過後——完全削除。復元手段はゼロだ。
筆者が前職で800名規模のZoomライセンスを管理していたとき、年度末の組織改編でライセンスを一部縮小したことがある。退職者のアカウントに紐づいていた録画データの移行を見落とし、クライアント向けのプレゼン録画を失った部署が出た。個人利用でも法人利用でも、「解約=データ消滅」ではなく「解約=30日のカウントダウン開始」と認識しておくべきだ。
チャット履歴の扱いも見落としやすい。ミーティング内チャット(会議中のメッセージ)はクラウド録画に含まれる場合とローカルに保存される場合がある。Team Chat(常設チャット)のメッセージはデフォルトで24ヶ月保持されるが、管理者設定で短縮されていることもあるため、自分のアカウントの設定を確認するのが先だ。
退会前にやるべきバックアップ3ステップ
プランの解約やダウングレードを決めたら、更新日の前に以下を実行する。録画10本程度なら30分で終わる作業だ。
ステップ1:クラウド録画をダウンロード
Zoom Webポータルにサインイン→左メニュー「録画」→「クラウド録画」タブを開く。録画ごとに「ダウンロード」ボタンがあり、MP4(動画)、M4A(音声)、チャットテキスト、文字起こしファイルの4種を個別に取得できる。
録画が50本を超える場合、手動ダウンロードは現実的ではない。日を分けて10〜15本ずつ処理するか、Zoom APIを使ったバッチダウンロードを検討する方が合理的だ。
ステップ2:チャット履歴をエクスポート
管理者権限があれば、Webポータルの「レポート」→「チャット履歴レポート」からCSV形式でエクスポートできる。個人ユーザーの場合は、デスクトップアプリのチャット画面から手動コピーするか、録画フォルダ内のchat.txtを確認する。
ステップ3:出席レポートをダウンロード
「アカウント管理」→「レポート」から、過去のミーティング出席レポートをCSVで取得しておく。無料プランではこのレポート機能にアクセスできなくなるため、必要な期間分をまとめて取得する。
ダウンロードしたファイルはGoogle DriveやOneDriveなど、Zoom以外のクラウドストレージに移しておくこと。ローカルのみに保存するとPCの故障で二次被害が出る。
プラン別クラウドストレージ容量と追加購入の損益分岐
クラウド録画のストレージ容量はプランごとに異なる。2026年5月時点の公式情報を表にまとめた。
| プラン | 月額(年払い) | クラウド録画容量 |
|---|---|---|
| Basic(無料) | ¥0 | なし(ローカル録画のみ) |
| Pro | ¥1,999/ユーザー | 10GB/ライセンス |
| Business | ¥2,749/ユーザー | 10GB/ライセンス |
| Business Plus | 要問い合わせ | 15GB/ライセンス |
| Enterprise | 要問い合わせ | 無制限 |
容量はアカウント全体でプールされる。5ライセンス契約なら合計50GBだ。1時間のミーティング録画は画質にもよるが200MB〜500MB程度。Proの10GBなら20〜50時間分の録画を保持できる計算になる。
容量が足りなくなった場合、Zoomの追加ストレージは30GBで月$40(約6,000円)からだ。一方、録画をダウンロードしてGoogle Driveの2TBプラン(月¥1,300)に保存すれば、1時間あたりの保存コストは1円以下になる。クラウド録画をZoom上に溜め続けるよりも、月次でダウンロード→外部ストレージに移す運用の方がコスト面で圧倒的に合理的だと判断する。
※ 料金は2026年5月時点の情報に基づく。Zoomはプラン改定の頻度が高いため、契約前に公式の料金ページで最新情報を確認してほしい。
FAQ
Zoomを解約したらクラウド録画は即座に消えるのか?
即座には消えない。有料プランの更新日にアクセス権を失い、録画はサーバー上に30日間保持される。30日経過後に完全削除され、復元手段はなくなる。
無料プランにダウングレードしても録画のダウンロードはできるのか?
ダウングレード後はクラウド録画メニューが制限される。ダウンロードは有料プランが有効な期間中に完了させるべきだ。更新日の1週間前にはバックアップを終えておくのが安全だ。
チャット履歴はアカウント削除後も残るのか?
Team Chatはデフォルト24ヶ月保持だが、アカウントを完全に削除するとそのユーザーのメッセージは復元できなくなる。ダウングレード(有料→無料)だけならアカウントは残るため、Team Chat履歴にはアクセスできる。
録画データをZoom以外に自動バックアップする方法はあるか?
Zoomの連携機能を使えば、録画終了後にGoogle DriveやDropboxへ自動コピーする設定が可能だ。手動ダウンロードの手間を省きたいなら、この自動連携を先に設定しておく方が合理的だ。
参考文献
- Zoom Meetings, Webinar, and Chat Data Retention Standard — Zoom公式サポート
- Managing cloud recording settings — Zoom公式サポート
- Cloud recording storage capacity — Zoom公式サポート
- サブスクリプションのキャンセル — Zoom公式サポート




