Chromeを使っていないのに「ウイルス検出」通知が止まらない

PCショップで働いていた頃、「ウイルスに感染した」と駆け込んでくるお客さんの3割くらいは、実はこのChromeの通知スパムだった。先月も妻の友人から「スマホに変な広告が止まらない」と相談されて、見せてもらったらChromeの通知欄に偽のウイルス警告と「当選おめでとうございます」がずらっと並んでいた。Chromeを開いていないのに、ロック画面にまで出てくる状態です。

落ち着いて大丈夫。これはウイルス感染ではなく、Chromeの「通知」という正規の機能を悪用した「通知スパム」です。

通知の許可を取り消すだけでぴたっと止まります。ウイルス対策ソフトのインストールも、スマホの初期化も不要です。

なぜChromeを閉じているのに通知が届くのか

Webサイトを閲覧していると、「通知を許可しますか?」というポップアップが出ることがあります。ニュースサイトやSNSが新着情報を届けるために使う、ブラウザの正規機能です。

問題は、悪質なサイトがこの仕組みを悪用していること。「ロボットでないことを確認するには『許可』を押してください」「動画を再生するには『許可』が必要です」といった紛らわしい文言で、ユーザーに通知許可を押させようとしてきます。

一度「許可」を押してしまうと、そのサイトはChromeが閉じていてもスマホの通知欄にメッセージを送れるようになります。内容はサイト側が自由に決められるので、「ウイルスが検出されました」「50万円が当選しました」といった偽の通知を大量に送りつけてくるわけです。妻の友人の場合も、あるWebサイトで「許可」を押してしまったのが原因でした。

通知スパムを今すぐ止める手順

スマホでもパソコンでも、やることは同じです。通知を許可してしまったサイトを見つけて、許可をブロックに変えるだけ。

Androidの場合

  1. Chromeアプリを開く
  2. 右上の「︙」(メニュー)をタップ
  3. 「設定」をタップ
  4. 「通知」をタップ
  5. 「サイトの通知」の一覧から、見覚えのないサイトを探す
  6. 該当サイトをタップして「ブロック」に変更

もし手順4で「通知」が見つからない場合は、「サイトの設定」→「通知」の順にたどってみてください。Chromeのバージョンやメーカーによって表示が違うことがあります。

iPhoneの場合

iPhoneのSafariではWebサイトからの通知許可が表示されない仕組みになっているため、通知スパムはほとんど発生しません。ただし、iPhoneでChromeを使っている場合も、iOS側の制限によりWebプッシュ通知はiOS 16.4以降のPWA(ホーム画面に追加したWebアプリ)でのみ動作するため、通常のブラウジングで通知スパムが届くケースはごくまれです。

もし届いている場合は、「設定」→「アプリ」→「Chrome」→「通知」からChrome自体の通知をオフにすることで止められます。

パソコン(Windows / Mac)の場合

  1. Chromeを開く
  2. アドレスバーに chrome://settings/content/notifications と入力してEnter
  3. 「通知の送信を許可するサイト」の一覧から怪しいサイトを探す
  4. 該当サイトの右にある「︙」をクリック → 「ブロック」を選択

そのスマホを確認したら、3つの見覚えのないサイトが「許可」になっていた。全部ブロックに変えたら、その場で通知がぴたっと止まりました。所要時間は2分ほどです。

今後の通知スパムを防ぐ設定

一度止めても、また別のサイトで「許可」を押してしまえば同じことの繰り返しになります。予防のために、Chromeの初期設定を変えておくのがおすすめです。

「サイトに通知の送信を許可しない」をデフォルトにする

Androidなら、Chromeの「設定」→「通知」→「サイトの通知」をオフ。パソコンなら、chrome://settings/content/notifications を開いて「サイトに通知の送信を許可しない」を選びます。

この設定にしておけば、「通知を許可しますか?」のポップアップ自体が表示されなくなるので、うっかり「許可」を押してしまう事故を防げます。LINEやGmailなど、Webサービスの通知は専用アプリ側で受け取れるので、Chromeの通知をオフにしても困ることはほとんどありません。

Chrome 144以降の自動保護機能(2026年1月〜)

2026年1月リリースのChrome 144以降では、通知スパム対策の機能が強化されています。ユーザーの反応が極端に低いサイトからの通知は、Chromeが自動でレート制限(1サイトあたり1分間に1,000件まで)をかけたり、最大14日間の送信停止ペナルティを課すようになりました。

さらに、ユーザーがほとんど開かない通知を送り続けているサイトに対しては、Chromeが自動で通知許可を取り消す機能も実装されています。ただし、すべてのスパムを自動で防げるわけではないので、先ほどのデフォルト設定を変えておくのが確実です。

気になって、自宅にある家族4人分のスマホとタブレットのChromeを全部チェックしてみた。妻のスマホに2件、子どものタブレットに1件、覚えのないサイトが「許可」になっていました。「通知を許可しますか?」のポップアップを何気なく「許可」してしまうのは、思ったより身近に起きていることのようです。

FAQ

通知スパムが届いたということは、スマホがウイルスに感染していますか?

感染していません。通知スパムはChromeの正規機能を悪用したもので、ウイルスやマルウェアとは仕組みが異なります。通知許可を取り消すだけで止まります。

通知に表示された「ウイルス検出」のボタンを押してしまったらどうなりますか?

フィッシングサイトや不正なアプリのダウンロードページに飛ばされることがあります。個人情報やカード情報を入力していなければ、ブラウザを閉じるだけで基本的に問題ありません。入力してしまった場合は、すぐにパスワード変更とカード会社への連絡を行ってください。

Safariでも同じ通知スパムが届くことはありますか?

iPhoneのSafariでは、Webサイトからの通知許可が表示されない仕組みになっているため、通知スパムはほぼ発生しません。MacのSafariでは通知許可が出るケースがあるので、見覚えのないサイトは「許可しない」を選んでください。

Chromeの通知をすべてオフにすると、何か困ることはありますか?

LINEやGmail、カレンダーなどの通知は専用アプリ側で受け取るため、Chromeの通知をオフにしても影響はほとんどありません。Web版のSlackやChatworkを通知頼りで使っている場合だけ、個別に許可を残しておくとよいです。

参考文献