「Google Apps Script(GAS)を使えばスプレッドシートやGmailを自動化できるらしい。でもプログラミングなんてやったことない……」。そんな人にこそ試してほしいのが、GeminiにGASのコードを書いてもらう方法です。

2026年2月現在、GoogleのAI「Gemini」はGASコードの生成がかなり得意になっています。日本語で「こういうことがしたい」と伝えるだけで、コピペで動くコードを出してくれるんです。

この記事では、プログラミング経験ゼロの人がGeminiを使ってGASのコードを生成し、Googleスプレッドシートの作業を自動化する手順をステップバイステップで解説します。さらに「Gem」機能を使って、よく使うプロンプトをテンプレ化する裏ワザも紹介します。

そもそもGAS(Google Apps Script)ってなに?

GAS(ガス)は、Googleが提供している無料のプログラミング環境です。JavaScriptベースのスクリプト言語で、Googleスプレッドシート・Gmail・Googleドライブ・Googleカレンダーなど、Google Workspaceのサービスを自動操作できます。

ざっくり言うと、「Excelマクロの Google版」みたいなもの。たとえばこんなことができます。

  • スプレッドシートのデータを毎日自動集計する
  • Gmailの特定の件名のメールを自動でスプレッドシートに転記する
  • Googleフォームの回答があったらSlackに通知を飛ばす
  • カレンダーの予定を一覧にしてメール送信する

ただし問題がひとつ。コードを書く必要があるということ。JavaScriptの文法を覚えて、Google固有のAPIの使い方を調べて……と、プログラミング未経験の人にはハードルが高いのが現実でした。

そこで登場するのが、AIにコードを書いてもらうアプローチです。

GeminiにGASコードを書いてもらう基本の流れ

GeminiでGASコードを生成する基本的な手順は、とてもシンプルです。

ステップ1:Geminiを開く

Gemini(gemini.google.com)にアクセスしてログインします。無料プランでもコード生成は利用できますが、Gemini Advanced(月額2,900円)のほうが精度が高く、長いコードにも対応できます(2026年2月時点)。

ステップ2:やりたいことを日本語で伝える

プロンプト(指示文)は日本語でOK。ポイントは「何を」「どこから」「どこへ」「いつ」を具体的に書くこと。

たとえばこんな感じです。

Google Apps Scriptで、スプレッドシート「売上管理」のシート「2月」にあるA列〜D列のデータを、毎朝9時に自動集計して、合計をE列の最終行に書き込むコードを作ってください。

これだけで、Geminiがコードを生成してくれます。あいまいな指示(「いい感じに集計して」など)だとAIも困るので、具体的に書くのがコツです。

ステップ3:コードをGASエディタに貼り付ける

生成されたコードをコピーしたら、次はGASのエディタに貼り付けます。

  1. Googleスプレッドシートを開く
  2. メニューの「拡張機能」→「Apps Script」をクリック
  3. エディタが開いたら、最初から書いてある function myFunction() { }全部消して、Geminiが生成したコードを貼り付ける
  4. 保存」ボタン(💾アイコン)をクリック
  5. 実行」ボタン(▶アイコン)をクリック

初回実行時は「承認が必要です」というダイアログが出ます。これはGASがスプレッドシートにアクセスする許可を求めているだけなので、「許可を確認」→Googleアカウントを選択→「許可」で進めてOKです。

ステップ4:エラーが出たらGeminiに聞く

コードを実行してエラーが出ることは珍しくありません。むしろ最初は出て当然です。

エラーが出たら、赤い文字で表示されるエラーメッセージをそのままコピーして、Geminiに貼り付けましょう。「このエラーが出ました。修正してください」と伝えるだけで、AIが原因を特定して修正コードを出してくれます。

Google公式のトラブルシューティングガイドも参考になりますが、Geminiに聞いたほうが早いケースがほとんどです。

「Gem」機能でGAS生成プロンプトをテンプレ化する

毎回同じような指示を書くのは面倒ですよね。そこで便利なのが、Geminiの「Gem(ジェム)」機能です。

Gemは、あらかじめ設定した指示(カスタム指示)をテンプレートとして保存しておける機能。つまり「GASの専門家として振る舞って」という前提条件を毎回書かなくても、Gemを起動するだけで最適なコードを生成してくれるようになります。

GAS専用Gemの作り方

  1. Geminiのサイドバーから「Gem マネージャー」を開く
  2. 新しい Gem」をクリック
  3. 名前を入力(例:「GASコード職人」)
  4. カスタム指示欄に以下のような内容を書く:

あなたはGoogle Apps Script(GAS)の専門家です。以下のルールを守ってコードを生成してください:
・コードにはコメントを日本語で入れる
・スプレッドシートのシート名やセル範囲は、ユーザーの指示に従う
・エラーハンドリング(try-catch)を必ず入れる
・実行時間が6分を超えないように最適化する
・コードの後に「使い方」を3行以内で説明する

  1. 保存」をクリック

これで、次回から「GASコード職人」Gemを選ぶだけで、毎回同じ品質のコードが出てきます。Gemの使い方はGoogle公式ヘルプで詳しく解説されています。

なお、Gem機能は2026年2月時点でGemini Advanced・Business・Enterprise・Educationプランで利用できます。無料プランでは使えないので注意してください。

AIが生成したGASコードの注意点5つ

Geminiが書いたコードは便利ですが、そのまま信用しすぎるのは危険です。ヨシヅミ社の解説記事でも指摘されている通り、以下の点に注意しましょう。

1. 古いAPIを使っていることがある

AIの学習データが最新とは限りません。すでに廃止された関数や古い書き方のコードが生成されることがあります。エラーが出たら「最新のAPIで書き直して」と追加指示しましょう。

2. シート名・セル範囲の間違い

AIは実際のスプレッドシートの中身を見ていないので、存在しないシート名やセル範囲を指定することがあります。シート名は正確に伝えるのが鉄則です。

3. 実行時間の制限(6分ルール)

GASには1回の実行が最大6分という制限があります(Google Workspaceアカウントは30分)。大量のデータを処理するコードでは、この制限に引っかかることがあるので、「実行時間を意識して最適化して」と伝えましょう。

4. 権限の問題

GASはスプレッドシートだけでなく、Gmail・ドライブ・カレンダーなどにもアクセスできます。AIが生成したコードが意図しないサービスへのアクセスを含んでいないか、初回実行時の権限確認画面でチェックしてください。

5. 個人情報の扱い

Geminiにプロンプトを送るとき、スプレッドシートの中身(顧客名・メールアドレスなど)をそのまま貼り付けないようにしましょう。「A列に顧客名、B列にメールアドレス」のように構造だけ伝えれば十分です。

実践例:スプレッドシートの日次レポートを自動送信する

ここでは具体例として、「スプレッドシートの売上データを毎朝メールで自動送信する」GASをGeminiに作ってもらう手順を紹介します。

Geminiへの指示文(プロンプト)

Google Apps Scriptで以下の処理をするコードを作ってください:
・スプレッドシート「月次売上」のシート「2月」を参照する
・A列に日付、B列に売上金額が入っている
・最終行の売上金額と、B列全体の合計を取得する
・取得した情報を「本日の売上:◯◯円 / 月累計:◯◯円」の形式でメール送信する
・送信先は xxx@example.com
・件名は「【日次レポート】売上報告」

自動実行(トリガー)の設定

コードができたら、毎朝自動で実行されるように「トリガー」を設定します。

  1. GASエディタの左メニューから「⏰ トリガー」をクリック
  2. トリガーを追加」をクリック
  3. 実行する関数を選択(Geminiが生成した関数名)
  4. イベントのソースを「時間主導型」に設定
  5. 日付ベースのタイマー」→「午前8時〜9時」を選択
  6. 「保存」をクリック

これで、毎朝自動的にスプレッドシートの売上データがメールで届くようになります。プログラミング知識ゼロでも、ここまでできるんです。

FAQ

GeminiでGASコードを生成するのは無料でできますか?

はい、Geminiの無料プランでもGASコードの生成は可能です。ただし、精度や対応できるコードの長さはGemini Advanced(月額2,900円)のほうが優れています。Gem機能を使うにはAdvanced以上のプランが必要です(2026年2月時点)。

ChatGPTでもGASコードは作れますか?Geminiとの違いは?

ChatGPTでもGASコードの生成は可能です。ただし、GeminiはGoogleが開発しているため、Google Workspace関連のAPI知識がより正確な傾向があります。どちらを使ってもエラーは出る可能性があるので、最終的には実行して確認することが大切です。

AIが生成したGASコードで会社のデータが漏れる心配はありますか?

GASコード自体はGoogleのサーバーで実行されるため、コードの実行でデータが外部に漏れることは基本的にありません。ただし、Geminiにプロンプトを送る際に実データ(顧客名・売上額など)を含めると、AIの学習データに使われる可能性があります。構造だけ伝えて、実データは入れないようにしましょう。

GASがエラーで動かないとき、Gemini以外に頼れる場所はありますか?

Google Apps Script公式ドキュメントや、Stack Overflow(英語)が定番です。日本語では「GAS 〇〇 エラー」で検索すると、同じ症状の解決策が見つかることが多いです。

参考文献