Googleアカウントに、パスワードなしでログインできる設定がある。指紋か顔認証、それだけでいい。フリーランス仲間とのZoom飲み会でこの話が出て、みんなでスマホを取り出して試した。

1人あたり2分もかからず設定が完了して、「これ、ずっとやっておけばよかった」という声が次々に上がった。

その新しいログイン方式が「パスキー(Passkey)」です。パスワードの代わりに、スマホの指紋認証や顔認証でWebサービスにログインできる仕組みで、設定自体は数分で終わります。

現在お使いのパスワードは削除されません。パスキーを設定した後も、従来のパスワードでログインできる環境はそのまま残ります。

パスキーって何?パスワードとどう違うの?

パスキーを一言で表すと「スマホの中に保存する、本人確認の鍵(かぎ)」です。

従来のパスワードは、ログインするたびにその文字列をサービスのサーバーに送って照合しています。フィッシング詐欺(偽サイトでパスワードを盗む手口)は、この「文字を入力させる」という動作を悪用しています。パスワードをどれだけ複雑にしても、偽サイトに入力した時点でアウトです。

パスキーは仕組みが根本から違います。スマホの中に「秘密鍵」(暗号化された本人確認データ)を保存しておき、ログイン時はFace IDや指紋認証で「このスマホの持ち主が本人です」と確認するだけです。パスワード文字列そのものが存在しないため、盗まれようがありません。

さらにパスキーは「登録したサービスのURL」と紐づいているので、偽サイトにアクセスしても認証画面が起動しません。フィッシングサイトに誘導されても「認証が始まらないから入力できない」という状態になります。

2026年5月7日(World Passkey Day 2026)にFIDO Alliance(パスキーの標準規格を管理する業界団体)が発表したデータによると、世界で約50億件のパスキーが利用されており、認知率は90%に達しています。Google・Amazon・Yahoo! JAPANなどメジャーなサービスで使えるようになっており、もはや「特別な技術」ではなくなっています。

GoogleアカウントにパスキーをiPhoneで設定する手順

設定に必要なのはiPhoneかAndroidのスマホだけです。Face IDや指紋認証が使える状態であれば、特別な準備はいりません。

iPhoneの場合の手順

  1. SafariでGoogleアカウントのページ(myaccount.google.com)を開く
  2. 「セキュリティ」をタップ
  3. 「Googleへのログイン方法」の中の「パスキーとセキュリティキー」をタップ
  4. 「パスキーを作成する」をタップ
  5. Face IDまたは指紋認証で確認する
  6. 「パスキーが保存されました」の画面が出れば完了です

保存先はiCloudキーチェーン(iPhoneに標準搭載されているパスワードや認証情報の保管場所)です。同じApple IDでサインインしているiPadやMacにも自動的に同期されます。

もし手順3で「パスキーとセキュリティキー」という項目が見当たらない場合は、SafariではなくChromeアプリから試してみてください。ブラウザの種類によって表示が異なることがあります。Googleアプリのバージョンが古い場合はApp Storeでアップデートを確認してみましょう。

Androidの場合

手順の流れはiPhoneと同じです。保存先がiCloudキーチェーンではなくGoogleパスワードマネージャーになる点だけ違います。同じGoogleアカウントでログインしている別のAndroid端末にも同期されます。

AmazonとYahoo! JAPANにもパスキーを設定してみた

Googleの設定が終わったら、次はAmazonです。毎回パスワードを打っていた手間が、顔認証1回で済むようになります。

Amazon(amazon.co.jp)の設定手順

  1. SafariかChromeでamazon.co.jpにログインする
  2. 右上のアカウントメニューから「アカウントサービス」を開く
  3. 「ログインとセキュリティ」をタップ
  4. 「パスキー」の項目を探して「設定」をタップ
  5. Face IDや指紋認証で確認して完了

Amazonの場合、アプリからは設定できないことが多いため、ブラウザ(SafariまたはChrome)から操作してください。アプリを開きがちですが、ここはブラウザが確実です。

Yahoo! JAPANも同様に、Yahoo! JAPANのWebサイトにログインした状態で「アカウント情報」→「セキュリティ」→「パスキー」から設定できます。

機種変更したとき、パスキーはどうなる?

「スマホを変えたらパスキーが全部消えるのでは」という心配をよく聞きます。焦らなくて大丈夫です。同じOSへの乗り換えなら、パスキーは自動で引き継がれます。

iPhoneからiPhoneに乗り換える場合

iCloudキーチェーンに保存されているパスキーは、新しいiPhoneにApple IDでサインインするだけで自動的に引き継がれます。追加の操作は必要ありません。

AndroidからAndroidに乗り換える場合

Googleパスワードマネージャーに保存されているため、新しい端末でGoogleアカウントにサインインすれば自動で使えるようになります。

iPhoneからAndroid(またはその逆)に乗り換える場合

iCloudキーチェーンとGoogleパスワードマネージャーはお互いに同期しません。そのため、新しい端末でパスキーを再設定する必要があります。

再設定の手順は難しくありません。新しい端末でパスワードを使って一度ログインし、その後「パスキーを追加」から再設定するだけ。2〜3分で終わります。乗り換え前に旧端末のパスキーを削除する必要もなく、新端末で再設定した時点で自動的に新しいパスキーが有効になります。

パスキー非対応のサービスはどうすればいい?

2026年8月現在、パスキーに対応しているサービスはどんどん増えていますが、まだすべてのサービスが対応しているわけではありません。2026年8月時点で対応している主なサービスは次の通りです。

  • Google(Googleアカウント全般)
  • Amazon
  • Apple ID(iCloud.com)
  • Yahoo! JAPAN
  • Microsoft(Microsoftアカウント)
  • PayPal
  • メルカリ
  • X(旧Twitter)
  • GitHub
  • Adobe

各サービスの「セキュリティ設定」または「ログインとセキュリティ」の中に「パスキー」の項目があれば対応しています。

パスキーに対応していないサービスには、iCloudキーチェーン(iOS標準のパスワード管理機能)やGoogleパスワードマネージャー(Android標準)でパスワードを管理すれば十分です。どちらも無料で使えます。Zoom仲間との結論は「パスキー対応サービスはパスキーで、未対応はパスワードマネージャーで」という使い分けに落ち着きました。

FAQ

パスキーを設定すると、パスワードはなくなるの?

なくなりません。パスキーを設定してもパスワードはそのまま残ります。パスキーに対応していない古いブラウザや共有PCからログインする場合は、今まで通りパスワードでログインできます。

家族と同じGoogleアカウントを使っているけど大丈夫?

パスキーは「そのスマホの指紋や顔認証で確認した本人だけが使える」仕組みのため、アカウントを共有していても自分のスマホでしか使えません。別の家族がログインするときは、その人のスマホでパスキーを設定するか、従来のパスワードでログインする形になります。

スマホを紛失したら、パスキーを悪用される?

スマホの画面ロック(Face ID・指紋認証・PINなど)がかかっているため、他人がパスキーを使うことはできません。パスキーの利用には「スマホのロック解除」が前提となります。スマホを紛失した場合は、Googleアカウントの「セキュリティ」画面から遠隔でパスキーを削除できます。

パスキーを削除したいときはどうすればいい?

各サービスの「パスキー設定」または「セキュリティ設定」から削除できます。削除してもパスワードは残っているので、そのままパスワードでのログインに戻せます。設定したパスキーの一覧は、iPhoneなら「設定」→「パスワード」→「パスキー」でも確認できます。

パスキーはiPhoneとMacどちらでも使える?

iPhoneで作成したパスキーはiCloudキーチェーンに保存されます。同じApple IDでサインインしているMacのSafariでも同じパスキーが使えます。WindowsのChromeなど別環境では、スマホのQRコードを読み取る方式でログインできる場合があります。

参考文献