PCショップ時代、「最近パソコンの調子がおかしい」と持ち込んでくるお客さんは、だいたいいつからおかしくなったかを覚えていなかった。自分がそのとき最初に開いていたのが、Windows標準の「信頼性モニター」なんですよね。安定性のグラフがガクっと落ちた日を見つけて、その日にWindows Updateが走っていたかドライバが入ったかを照合すれば、5分で当たりがつく。
それなのにこのツール、知らない人がかなり多い。2026年6月時点でもWindows 11に標準搭載されているのに、設定アプリには出てこないから気づきにくいんです。
「信頼性モニター」の開き方
開き方はシンプルです。キーボードの Win+R を押して「ファイル名を指定して実行」を出したら、perfmon /rel と入力してEnterを押す。これだけで信頼性モニターが立ち上がります。
コントロールパネルからたどる方法もあって、「システムとセキュリティ」→「セキュリティとメンテナンス」→「メンテナンス」の中にある「信頼性履歴の表示」をクリックしてもたどり着ける。ただ、ぶっちゃけperfmon /relを覚えたほうが圧倒的に早いです。
コマンドが苦手な人は、スタートメニューの検索バーに「信頼性」と打ってみてください。「信頼性履歴の表示」が候補に出るので、それをクリックすればOKです。
安定性インデックスのグラフを読む
信頼性モニターを開くと、画面上部に折れ線グラフが表示される。縦軸が「安定性インデックス」で、1(不安定)から10(安定)のスコア。横軸は日付で、過去数週間ぶんの推移が一目でわかります。
見るべきポイントはグラフが急落している日。10から6や7に一気に下がった日があれば、その日に何かが起きています。
グラフの下にはイベント一覧が5行並んでいて、赤い×マークが「重大イベント」(アプリのクラッシュやOSのエラー)、黄色い△が「警告」、青い○が「情報」(ソフトのインストールや更新の成功記録)です。Dellのサポートページにもアイコンの意味が詳しく載っています。
自分が工房の検証機7台の面倒を見るときも、まずこのグラフの形を確認する。スコアが右肩下がりなら慢性的に何かが腐っているし、特定日だけ急落していればピンポイントの原因がある。この見分けが最初の分岐点なんです。
エラー履歴から「犯人」を絞り込む流れ
グラフで急落日を見つけたら、その日付をクリックする。画面下部にその日のイベント一覧が出てきます。
まず赤い×(重大イベント)を開く。「アプリケーションエラー」なら特定アプリのクラッシュ、「Windowsエラー」ならOSレベルの問題。「技術的な詳細の表示」をクリックすると、エラーコードや障害モジュール名が確認できます。
次に青い○(情報イベント)と日付を照合する。急落日と同じ日や前日にWindows Updateの適用記録がないか、ドライバのインストール記録がないかを確認する。「KB〇〇〇〇〇〇が正常にインストールされました」という記録があれば、そのKB番号がトラブルの引き金になっている可能性が高い。
PCショップ時代、この「情報イベントとの日付照合」が初動の切り分けとして一番使えた手順でした。お客さんは「いつからおかしいか覚えてない」と言うけれど、信頼性モニターは正確に覚えてくれている。
犯人がわかったら対処を選ぶ。
- Windows Updateが原因の場合:「設定」→「Windows Update」→「更新の履歴」→「更新プログラムをアンインストールする」から該当KBを削除できる(Microsoft公式のWindows Update FAQを参照)
- ドライバ更新が原因の場合:デバイスマネージャーで該当デバイスを右クリック→「ドライバーを元に戻す」を選択
- 特定アプリが繰り返しクラッシュする場合:アプリの再インストール、または右クリック→「プロパティ」→「互換性」タブから互換モードを試す
実際にこれで原因がわかった実例
自分の自作機(Ryzen 9 7900X + RTX 4070 Super)でも、Windows Update後にChromeが頻繁にクラッシュする症状が出たことがある。信頼性モニターを開いたら、KB適用日を境にChromeの「STATUS_ACCESS_VIOLATION」が連発していた。情報イベントにはグラフィックドライバの更新記録も同じ日に残っていて、ドライバとChromeのGPU描画エンジン(ANGLEバックエンド)の相性が原因だとわかった。
結局のところ、chrome://flags/#use-angleでバックエンドをD3D11に変更したら症状が収まった。信頼性モニターがなかったら「最近Chrome不安定だな」で終わっていたと思います。
もうひとつ。工房の検証機でメモリ使用率が異様に高かった件では、グラフを見たら特定の日から安定性が落ちていて、その日に適用されたKBを調べたら配信の最適化サービス(DoSvc)のメモリリークが原因だった。信頼性モニターはメモリリークそのものを記録しないけれど、「いつから調子が悪いか」の日付を特定できるだけで原因にたどり着くまでの時間が全然違うんですよね。
信頼性モニターの限界と補助ツール
万能ではないです。ハードウェアの物理故障、たとえばメモリの接触不良やSSDの劣化は、信頼性モニターに記録されないケースが多い。ブルースクリーンの発生回数は「Windowsエラー」として残るけれど、原因がハードかソフトかまでは判別してくれません。
ハード故障が疑わしい場合は、CrystalDiskInfoでストレージの健康状態をチェック、mdsched.exe(Windowsメモリ診断)でメモリを検査するのが確実です。信頼性モニターは「ソフトウェア起因の不調を日付で特定するツール」と割り切るのがちょうどいい。
(ちなみに15年やっててもハード故障かソフト故障かの切り分けで最初に開くのはこの信頼性モニター。ここで「ソフト側にエラーが集中しているか」を見て、集中していなければハード側を疑う、という順番を崩したことがない)
FAQ
信頼性モニターのデータはどこまで遡れる?
環境によりますが、通常は過去1年分程度の履歴が保存されています。ただしOSのクリーンインストールやリセットを行うと履歴は消えるので、不調を感じた時点で早めに確認するのが鉄則です。
Windows 11 Homeでも使える?
はい。Home・Pro・Enterprise問わず、Windows 11のすべてのエディションに標準搭載されています。追加ソフトのインストールは不要で、perfmon /relだけで起動できます。
安定性インデックスが常に10なのにパソコンが遅い場合は?
信頼性モニターはアプリのクラッシュやOS障害を記録するツールなので、「遅い」だけの症状は反映されません。その場合はタスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)でCPUやメモリの使用率を確認して、負荷の高いプロセスを特定するほうが先です。
イベントビューアーと何が違う?
イベントビューアー(eventvwr.msc)はWindowsの全ログを網羅する上級者向けツールで、情報量が膨大です。信頼性モニターはその中から「安定性に関わるイベント」だけをグラフ付きで抽出してくれるので、トラブルシューティングの最初の一手として手軽に使えます。
参考文献
- Windows Update: FAQ — Microsoft サポート
- Windows信頼性モニターを使用してソフトウェアの問題を特定する方法 — Dell サポート
- [Windows 11] 問題が発生したアプリやハードウェアを確認する方法を教えてください。 — FMVサポート(富士通)
- CrystalDiskInfo — Crystal Dew World






