「副業の所得が20万円以下なら確定申告はいらないんでしょ?」——これ、半分は正解で半分はアウトです。たしかに所得税の確定申告は不要になるケースがありますが、住民税の申告はまた別の話。ここを知らずにスルーしてしまうと、あとから延滞金や無申告加算金を請求される可能性があります。

この記事では、2026年3月時点の情報をもとに、副業収入がある会社員が見落としやすい「住民税の申告」のルールと、具体的な手続き方法をわかりやすく解説します。

そもそも「20万円ルール」って何?

会社員(給与所得者)が副業で得た所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告が免除される——これが、いわゆる「20万円ルール」です。所得税法第121条に規定されています。

ここで大事なのは「収入」ではなく「所得」であること。つまり、副業の収入から必要経費を差し引いた金額が20万円以下であれば、所得税の確定申告はしなくてOKです。

ただし、このルールには3つの前提条件があります。

  • 年末調整を受けている1か所からの給与所得者であること
  • 給与収入が2,000万円以下であること
  • 医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例を使わないなど、他に確定申告が必要な理由がないこと

この条件を満たしていれば、副業所得20万円以下で所得税の確定申告は不要。ここまでは多くの人が知っています。問題はこの先です。

住民税には「20万円ルール」がない!

ここが最大の落とし穴です。住民税には「20万円以下なら申告不要」というルールが存在しません。

所得税の「20万円ルール」はあくまで国税(所得税)に関する特例であり、地方税(住民税)には適用されないのです。地方税法第317条の2では、一定の所得がある住民は市区町村に申告する義務があると定められています。

つまり、副業で1万円でも所得があれば、原則として住民税の申告が必要ということになります。

ざっくり言うと、こういう整理です。

副業所得所得税の確定申告住民税の申告
20万円超必要不要(確定申告データが自動連携されるため)
20万円以下不要必要(自分で市区町村に申告する)
0円(副業なし)不要不要

確定申告をすると、税務署から市区町村へ自動的にデータが送られるため、住民税の申告は不要になります。でも確定申告を「しない」なら、住民税の分は自分で申告しないと市区町村が副業収入を把握できないのです。

申告しないとどうなる?ペナルティと実際のリスク

「バレないでしょ」と思うかもしれませんが、リスクはゼロではありません。

無申告加算金

住民税の申告をしなかった場合、無申告加算金が課される可能性があります。本来納めるべき税額に対して、原則15%(50万円を超える部分は20%)が上乗せされます。

延滞金

申告が遅れた分の税金には延滞金がかかります。2026年の延滞金の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.4%程度、それ以降が年8.7%程度です(特例基準割合により毎年変動します)。

副業が会社にバレるケース

住民税は通常、会社の給与から天引き(特別徴収)されます。副業分の住民税が上乗せされると、会社の経理担当者が「この人、住民税が高いな?」と気づく可能性があります。副業を会社に知られたくない場合は、住民税の申告時に「普通徴収」を選ぶことが重要です(後述します)。

住民税の申告のやり方——5ステップで完了

住民税の申告は、確定申告よりもずっとシンプルです。以下の手順で進めましょう。

ステップ1:必要書類を準備する

  • 住民税申告書(市区町村の窓口 or 公式サイトからダウンロード)
  • 源泉徴収票(本業の会社からもらったもの)
  • 副業の収入がわかる書類(支払調書・報酬明細・売上帳簿など)
  • 経費の領収書(副業にかかった費用を証明するもの)
  • マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類

ステップ2:所得を計算する

副業の「所得」= 収入 − 必要経費 です。たとえば、フリマアプリで年間15万円の売上があり、仕入れや送料で5万円かかったなら、所得は10万円になります。

ステップ3:申告書を記入する

申告書の書式は市区町村によって異なりますが、基本的な記入内容は以下のとおりです。

  • 氏名・住所・マイナンバー
  • 本業の給与収入と所得
  • 副業の収入と経費、所得
  • 各種控除(基礎控除・社会保険料控除など)

ステップ4:「普通徴収」にチェックする

申告書の「住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選びましょう。これを選ぶと、副業分の住民税は会社の給与天引きではなく、自宅に届く納付書で自分で支払う形になります。

注意:自治体によっては、副業が「給与所得」の場合は普通徴収を選べないケースもあります。不安な場合はお住まいの市区町村に事前に確認してください。

ステップ5:提出する

提出方法は3つあります。

  • 窓口持参:市区町村の税務課に直接持っていく(その場で不備を確認してもらえるので初回はおすすめ)
  • 郵送:必要書類のコピーを同封して送る
  • 電子申告:eLTAX(エルタックス)に対応している自治体なら、オンラインで提出可能

申告期限は、確定申告と同じく原則3月15日まで(2026年分は2027年3月15日まで)です。

よくある疑問:「確定申告しちゃったほうが楽」は本当?

実は、副業所得が20万円以下でもあえて確定申告をしてしまうという選択肢もあります。

確定申告をすれば、税務署から市区町村にデータが自動送信されるため、住民税の申告は不要になります。さらに、副業先で源泉徴収されている場合は、確定申告で税金が還付されることもあります。

ただし、確定申告をすると副業所得が所得税の課税対象にもなるため、追加で所得税が発生する場合もあります。どちらが得かはケースバイケースなので、不安な場合は税理士やお住まいの税務署に相談しましょう。

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FAQ

副業所得が数千円でも住民税の申告は必要?

原則として必要です。ただし、自治体によっては「合計所得が一定額以下なら非課税」という基準があります(たとえば単身者で合計所得45万円以下など)。本業の給与があるなら基本的に住民税は課税されるため、副業分の申告も必要になります。

メルカリやヤフオクの売上も申告が必要?

生活用品(着なくなった服や使わなくなった家電など)の売却は、生活用動産の譲渡として非課税です。ただし、転売目的で仕入れて販売している場合や、1点30万円を超える貴金属・骨董品の売却は課税対象になります。

住民税の申告を忘れていた場合、今からでも大丈夫?

過去の分でも申告は可能です。気づいた時点で速やかにお住まいの市区町村に相談してください。自主的に申告すれば、無申告加算金が軽減されるケースもあります。

副業がバイト(給与所得)の場合も住民税の申告は必要?

はい、必要です。バイト先から市区町村に給与支払報告書が提出されるため、結果的に把握されますが、正しい控除を反映させるためにも申告しておくのが安心です。

参考文献