結論。Slackの無料(フリー)プランには、過去90日より前のメッセージとファイルが非表示になる制限がある。さらに2024年8月のルール変更で、1年経過後のデータは完全削除される運用に切り替わった。後から有料プランへアップグレードしても、削除済みデータは戻ってこない。

本記事は2026年4月時点のSlack無料プランの制限内容と、削除リスクを回避するためのバックアップ手段をコスト軸で整理する。新入社員や小規模チームでSlackを使い始めた人向けの実務マニュアルだ。

Slackの無料プランで「90日制限」って何?いつから変わった?

Slackの無料プラン(フリープラン)には、メッセージ閲覧に関する大きな制限がある。

もともとは「直近1万件のメッセージ」が閲覧できる仕組みだった。しかし2022年9月1日のプラン改定で、これが「過去90日間のメッセージとファイルのみ閲覧可能」に変更された。

3か月前より古いメッセージは画面上から消える、と読み替えればよい。チャンネルを開いても「このワークスペースのフリープランでは、過去90日間のメッセージ履歴のみ閲覧できます」というバナーが出るだけだ。

さらに2024年8月26日からは、1年以上経過したメッセージとファイルがワークスペースから完全に削除されるルールが追加された。Slack公式ヘルプによると、削除されたデータは有料プランへの移行でも復元できない。

整理すると、以下の3段階で扱いが変わる。

  • 投稿から90日以内 → 通常通り閲覧・検索が可能
  • 90日〜1年 → 非表示。ただし有料プランに移行すれば復元可能
  • 1年を超過 → 完全削除。復元手段なし

4月は新入社員の参加が集中する時期だ。会社やチームでSlackの無料プランを運用しているなら、「90日で非表示」「1年で完全削除」の2段階制限を最初に把握しておくべきだ。

無料プランと有料プランの違い:メッセージ保存以外にも差がある

有料プランに切り替えればすべて解決する、と単純化したくなるが、予算が限られる小規模チームやサークルでは現実的でないケースも多い。まずは無料プランと有料プランの差分を確認する。

2026年4月時点のSlack公式料金ページによれば、主な差分は以下のとおりだ。

項目フリー(無料)Pro(有料)
メッセージ履歴90日間のみ無制限
ファイルストレージ合計5GBメンバー1人あたり10GB
外部アプリ連携最大10個無制限
音声・ビデオ通話(ハドル)1対1のみ最大50人
ワークフロービルダー利用不可利用可能
料金(月額・年払い時)0円1人あたり約925円

履歴が無制限になるだけでなく、アプリ連携やグループ通話の上限も大幅に広がる。ただし5名なら月4,625円、10名なら月9,250円。年換算で5名=55,500円、10名=111,000円のコストになる。フリーランスや学生サークルにとっては、無視できない金額だと判断する。

結論。無料プランのまま運用し、重要情報を別ストレージに退避させる方が、規模次第ではROIで見て合理的だ。10名以上で履歴検索の頻度が週次以上なら有料、それ未満なら無料+外部バックアップで線を引くのが妥当だと読める。

大事なメッセージをバックアップする4つの方法

90日の制限に到達する前に、重要なやりとりを外部に退避させる。コストと運用負荷の低い順に4手法を示す。

方法1:ブックマーク+手動コピーで「今すぐ」残す

最も導入コストが低い手法は、重要メッセージをその場でコピーして別のメモアプリへ貼り付ける方法だ。

  1. Slackでメッセージにカーソルを合わせ、「...(その他)」メニューから「リンクをコピー」を選ぶ
  2. メモアプリ(Notion、Googleドキュメント、Appleメモなど)にリンクと本文を貼り付ける
  3. 必要に応じてスクリーンショットも併せて保存する

Slackの「ブックマーク」機能(メッセージの「...」メニュー→「ブックマークに追加」)も用意されているが、これはSlack内の保存に過ぎず、90日を超えるとブックマーク経由でもアクセスできなくなる。退避は必ずSlack外へ。

方法2:Slackの「エクスポート」機能で一括バックアップ(管理者向け)

ワークスペースの管理者(オーナーまたは管理者権限を持つ人)であれば、公式のエクスポート機能でメッセージを一括ダウンロードできる。

  1. PCブラウザでSlackを開き、左上のワークスペース名をクリック
  2. 設定と管理」→「ワークスペースの設定」を選択
  3. データのインポート/エクスポート」ページに移動
  4. エクスポート」タブで期間を指定し、「エクスポートを開始する」をクリック
  5. 完了メールが届いたら、ZIPファイルをダウンロード

Slack公式のエクスポートガイドによると、無料プランでエクスポート可能なのはパブリックチャンネルのメッセージのみだ。ダイレクトメッセージ(DM)やプライベートチャンネルは対象外なので、運用設計時に切り分けておく必要がある。

エクスポートされるデータはJSON形式だ。そのままでは可読性が低いため、月1回のペースでエクスポートして保管し、検索が必要になった時点でテキストエディタやJSONビューアで参照する運用が合理的だ。月1の作業で30分前後、業務時給換算で人月0.02弱に収まる。

方法3:Googleスプレッドシートに自動転送する(Slack連携)

特定チャンネルの内容を自動でGoogleスプレッドシートに記録する手段もある。Slack連携アプリやZapier、IFTTTなどの自動化ツールを使えば、メッセージ投稿のたびにスプレッドシートへ1行ずつ追記できる。

運用上の注意点が2点ある。

  • 無料プランでは外部アプリ連携が最大10個に制限される
  • Zapier・IFTTTも無料枠では月の実行回数に上限がある

連携枠に余裕があるなら、議事録チャンネルや業務連絡チャンネルに絞って設定するのが合理的だ。全チャンネルへ展開すると枠を即座に食い潰す。

方法4:チーム全体の「情報ストック先」を決めておく

そもそも「Slackは流れる情報、ストックする情報は別ツール」とルールを切ってしまうのが、長期で見ると最もコストが低い。

  • 議事録・決定事項 → Notion、Googleドキュメント、Confluenceなどのドキュメントツール
  • ファイル共有 → Googleドライブ、OneDrive、Dropboxなど
  • タスク管理 → Asana、Trello、Backlogなど

Slackでやり取りし、「これは残す」と判断したものはその場でドキュメントツールへ転記する。チーム全体で習慣化するのが、結局のところ最も歩留まりが良いと判断する。新入社員のオンボーディング情報は消えると引き継ぎコストが跳ね上がるので、Slack以外への二重保管が必須だ。

「うちのSlack、大丈夫?」プランと残り日数の確認方法

自分のワークスペースが無料プランか、メッセージがいつ消えるのかを確認する手順を示す。

  1. Slackの左上にあるワークスペース名をクリック
  2. 設定と管理」→「ワークスペースの設定」を開く
  3. お支払い」タブで現在のプランが表示される

「フリー」と表示されていれば、90日制限がかかっている。チャンネル上部に「フリープランでは過去90日間のメッセージ履歴のみ閲覧できます」のバナーが見えれば、すでに古いメッセージが非表示化されている証拠だ。

管理者でなくても、このバナーを確認したら管理者にエクスポートを依頼するか、自分の手元で方法1(手動コピー)を始めるべきだ。組織として動くのを待つと、その間に削除日が迫る。

やってはいけないNG対策と、よくある勘違い

ネット上で見かける裏ワザのうち、推奨できないものを整理する。

  • NG: 新しいワークスペースに移行すればリセットされる → メッセージ履歴はリセットされるが、過去のやり取りは全消失する。本末転倒だ
  • NG: ボットで全メッセージを別チャンネルにコピーする → APIの利用制限に引っかかりやすく、無料プランのアプリ連携枠(10個)も同時に消費する
  • 勘違い: 90日を過ぎたら完全に消える → 正確には「非表示」だ。90日〜1年の間なら有料プランで復元可能、ただし1年超で完全削除
  • 勘違い: ブックマークしておけば消えない → Slack内のブックマークは90日制限の対象。ブックマークしていても閲覧できなくなる

FAQ

Slackの無料プランで90日前のメッセージを見る方法はある?

無料プランのままでは閲覧できない。Proプラン(1人あたり月額約925円、年払い時)へアップグレードすれば、90日〜1年以内のメッセージは復元・閲覧が可能になる。ただし1年超で完全削除されたメッセージは、アップグレードしても戻ってこない。

Slackのエクスポート機能は誰でも使える?

エクスポート権限はワークスペースのオーナーまたは管理者のみが持つ。一般メンバーは権限を持たないため、管理者にエクスポートを依頼するか、自分でメッセージを個別コピーしてバックアップする運用になる。

ダイレクトメッセージ(DM)もエクスポートできる?

無料プランの標準エクスポートではパブリックチャンネルのみが対象だ。DMやプライベートチャンネルのエクスポートには、有料プランかつ「コンプライアンスエクスポート」の申請が必要になる。DMの内容を残したい場合は手動コピーが現実的な選択肢だ。

90日制限は「送信日」と「最終閲覧日」どちらで計算される?

メッセージの「送信日(投稿日時)」で計算される。何度読み返しても、投稿から90日が経過した時点で非表示になる。

参考文献