カバンの底から、ピッ、ピッという警告音が聞こえてくる。取り出してみると、画面には緊急SOSのカウントダウン。こんな場面は、実はめずらしくありません。

iPhoneが知らないうちに緊急SOSを始めたり、110番につながってしまったりする誤発信は、警察も注意を呼びかけているほどよくある出来事です。ここでは、その場でやることと、起きにくくする設定を、2026年11月時点のiOS 26で確認した内容で書いていきます。

なぜ勝手に動く?iPhoneで緊急SOSが始まる条件

緊急SOS(事故や急病のとき、ボタン操作だけで警察や消防に電話をかける機能)が始まる入口は、iPhoneにいくつかあります。

  • ボタンの長押し:サイドボタンと音量ボタンのどちらかを同時に押し続けると、スライダーが出てカウントダウンが始まります。カウントダウンが終わるまで押し続けると発信されます。
  • サイドボタンの5回押し:「5回押して通話」の設定がオンのとき、サイドボタンを素早く5回押すとカウントダウンが始まります。
  • 衝突事故検出:iPhone 14以降(iOS 16以降)で、初期状態ではオンです。車の激しい衝突を検知すると、まず10秒間アラートが出ます。そこで操作しないと30秒のカウントダウンに入り、反応がなければ自動で緊急通報サービスに発信します。

以上はAppleのPersonal Safetyガイドと衝突事故検出のサポートページの記載です。

では、なぜ操作していないのに始まるのでしょうか。鳥取県警の注意喚起ページには、誤発信の原因として「バッグやズボンのポケットに入れていて気づかないうちにつながった」「電源を入れようとしてボタンを長く押した」「指紋認証のときに電源ボタンに触れた」といった例が挙がっています。ボタンが連続して押されると、持ち主の意図に関係なく発信される仕組みだからです。

つまり壊れたわけではなく、機能が設計どおりに動いただけです。

カウントダウンの音が鳴り出したときの止め方

ポケットの中から警告音が聞こえたら、まずiPhoneを取り出して画面を見てください。カウントダウンの途中なら、まだ発信されていません。

  1. 画面の「停止」をタップする
  2. 確認が出たら「通話を停止」をタップする

この手順はソフトバンクの緊急SOSの案内ページに載っているものです。もし画面の表示が違って見える場合は、お使いのiOSのバージョンで文言が少し変わっている可能性があります。画面にある「停止」や「キャンセル」に近いボタンを探してみてください。

衝突事故検出のアラートが出たときは、画面に表示される緊急通報のスライダーで発信するか、アラートを閉じるかを選べます。最初の10秒以内に閉じれば、30秒のカウントダウンには進みません。

110番につながってしまったら、切っていいの?

ここがいちばん迷うところだと思います。画面に「発信中」と出ていると、反射的に赤い終話ボタンを押したくなりますよね。

鳥取県警の案内では、電話を切らずに、出た警察官へ「間違いでした」と伝えるようにとされています。切ってしまった場合も、警察に着信の記録が残るため、折り返しの電話には必ず出てください。秋田県警の資料でも、携帯電話からの110番は通話が切れても通信指令室から呼び返しがかかると説明されています。

やることは次の流れになります。

  1. つながっていたら、切らずに「間違ってかけてしまいました」と伝える
  2. もう切れていたら、知らない番号からの折り返しに出られるようにしておく
  3. 落ち着いたら、誤って発信した110番の発信履歴を消す(再び通報してしまうのを防ぐため。鳥取県警が案内しています)
  4. 家族に「誤発信だった」と一言送る

4つ目は、Appleの仕様に関わっています。緊急通報をかけると、iPhoneは設定した緊急連絡先に、通報したことを知らせるメッセージと現在地を送ります。通話が終わったあと、キャンセルしない限り送られる仕組みです。いきなり「母が緊急通報した」という連絡を受けた家族は驚きますので、先に「間違いだった」と伝えておくと安心されます。

家族に伝えるなら、細かい仕組みは省いて「間違えて110番につながったら、切らずに『間違いです』と言う」の一言だけで十分です。ルールが1つなら、覚えていてもらえます。

勝手にかからないようにするiPhoneの設定

誤発信を減らすには、「設定」アプリの「緊急SOS」で、ボタン操作で始まる項目を見直します。

  1. 「設定」アプリを開く
  2. 「緊急SOS」をタップする
  3. 「長押しして通話」「5回押して通話」「衝突事故後に通話」などのスイッチを確認する

項目名は、iOSのバージョンによって「通話」「通報」など表記が少し違う場合があります。名前が多少違っても、並んでいるスイッチの意味は同じです。ここは私が全バージョンの画面を確かめきれていない部分なので、見慣れない名前があったら、タップして説明文を読んでからオンかオフかを決めてください。

どれをオフにするかは、使い方で分かれます。

  • バッグやポケットに入れっぱなしの人:ボタン操作で始まる「5回押して通話」を、まずオフにする候補です。
  • 車を頻繁に運転する人:「衝突事故後に通話」は、事故で自分が動けないときに働く機能です。誤発信の原因になりにくいので、オンのままが安心です。
  • カウントダウン中の音の設定がある場合:音が出る設定にしておくと、ポケットの中で始まっても気づけます。

オフにしたら、本当の緊急時に電話できなくなるのでは、と心配になるかもしれません。大丈夫です。Appleのガイドでは、iPhoneがロックされた状態でもパスコード画面の「緊急」をタップして、番号を入力し、通話ボタンを押せば緊急電話をかけられます。長野県警の案内にも、自動通報をオフにしても、緊急通報の画面や通常の通話機能から110番はできるとあります。

Androidの場合は?

Androidにも、電源ボタンの連続押しで緊急通報が始まる機能があります。長野県警のページ(2023年3月更新)では、Android 12の例として、「設定」→「緊急情報と緊急通報」→「緊急SOS」で「緊急SOSの使用」をオフにできると紹介されています。

ただし、この画面名はメーカーや機種で変わります。見つからないときは、設定アプリの検索窓に「緊急」と入れてみてください。それでも分からなければ、メーカーのサイトか携帯電話会社に聞くのが確実です。

FAQ

緊急SOSをオフにしたあと、ほんとうに困ったときの電話はどうなりますか?

ボタン操作の自動発信が止まるだけで、電話そのものは使えます。ロック画面のパスコード入力画面にある「緊急」から、緊急通報用の番号を入力してかけられます。

カウントダウンの途中で止めたら、緊急連絡先にも通知は届きますか?

Appleの説明では、緊急連絡先へのメッセージは「緊急通報をかけたあと」に送られます。発信前に止めた場合の扱いまでは、公式ページで確認できませんでした。気になるときは、家族へ一言伝えておくと確実です。

衝突事故検出はiPhone 13以前にもありますか?

衝突事故検出の対象は、Appleの記載ではiPhone 14以降のモデル(iOS 16以降)です。それより前の機種には、この機能の項目自体が表示されません。

誤発信してしまったら、警察に怒られますか?

各県警の案内は、切らずに「間違いでした」と伝え、折り返しには出てほしいという内容です。相談や緊急ではない問い合わせは、警察相談専用電話の「#9110」を使うよう呼びかけられています。

参考文献