次男が1歳で保育園に入った4月のこと。最初の2週間でお迎えコールが3回来ました。電話を受けた瞬間、慌ててPCを閉じて自転車を飛ばす。それ自体は仕方ない。
問題はその後です。夕方に仕事を再開しようとPCを開くと、画面に並ぶタブとSlackの未読の山。「何やってたっけ」と思い出すだけで30分かかり、その日の進捗はほぼゼロでした。
3回目のコールの後、さすがにこのロスをどうにかしないとまずいと感じて「中断メモ」という仕組みを作りました。電話を受けてから迎えに出るまでの5分で、ホワイトボードに3項目だけ書く。たったそれだけで、再開までの思い出し時間が30分から15分に縮まっています。
お迎えコールの後に発生する「再開コスト」の正体
カリフォルニア大学アーバイン校のGloria Mark教授の研究によると、仕事を中断された後、元の作業へ戻るまでに平均23分15秒かかるとされています。オフィスでの「ちょっとした割り込み」でこの数字です。
在宅勤務でお迎えコールが来た場合、状況はもっと厳しくなります。保育園への往復、子どもの看病、場合によっては病院の受付待ち。数時間のブランクを挟んでの再開になるので、「何をやっていたか」だけでなく「どこまで考えていたか」も飛んでいます。
うちの場合、中断メモを導入する前は再開のたびにSlackを20分ほど遡り、「この件まだ返信してなかった」と思い出し、そこから本来の作業に取りかかるまでにさらに10分。合計30分以上を「思い出す作業」だけに使っていました。夕方の貴重な1時間のうち半分が消えていた計算です。
電話を受けてから5分で書く「中断メモ」
我が家では結局これに落ち着きました。冷蔵庫横のホワイトボードにテンプレートを貼っておいて、電話が来たらその前に立つだけ。書く項目は3つです。
- 今やっていた作業と「次の一手」
「記事Aの構成案、あと見出し3と4を書く」のように、再開時に最初にやることまで具体的に書きます。「記事Aの作業中」だけだと、戻ったときに「どこまでやったっけ」がまた始まります - 今日中に誰かに伝えるべきこと
Slackで返信待ちのメッセージや、チームへの共有事項を1行で。出発前にSlackのステータスを「保育園対応中」に変えておくと、個別の問い合わせも減ります - 今日やらなくてもいい「捨てリスト」
「資料の体裁修正は明日」「メール返信は夜でOK」のように書きます。帰宅後に「あれもこれも」と焦らないための、自分への許可書のようなものです
この3項目、慣れると5分で書けます。最初は「3つも書く余裕あるかな」と思ったのですが、やってみると電話を切ってから出発までに5分はある。靴を履く前の5分です。
書く場所は冷蔵庫の横にしています。帰宅してPCを開く前に、必ず目に入る場所だから。スマホのメモアプリでもノートでもかまわないのですが、PCを開く前の動線上に置くのがポイントです。PCを先に開くとSlackやメールに引き込まれて、思い出し時間がかえって伸びます。
この仕組みを入れてから、再開までの時間が30分から15分に縮まりました。5分の投資で15分を取り戻せる計算です。
コール時の夫婦交渉を「朝の5秒シェア」でゼロにする
中断メモで再開の速さは改善しました。でも、もうひとつ時間を食っていたものがあります。コールが来た瞬間の夫婦交渉です。
電話が鳴るたびにLINEで「どっちが行く?」と聞き、お互い「午後に会議がある」と言い合って5分、10分とロス。保育園は「なるべく早めに」と言っているのに、こちらの交渉が終わらない状態でした。
朝の保育園送りのとき、玄関で5秒だけ確認するようにしました。「今日、午前なら私が動ける。午後は夫」と共有するだけ。ホワイトボードに「AM:ママ / PM:パパ」と書いておく日もあります。
夫に渡したら案外うまくいって、2回目のコール後には「朝決めてあると楽だな」と自分から言ってくれました。どちらも動けない時間帯が被る日は、ファミリーサポートの連絡先をスマホに入れておくだけで気持ちが楽になります。事前登録しておけば、年に2〜3回の緊急時にお迎え代行を頼むこともできます。
7月からコールは増える。仕組みは早めに準備しておく
東京女子医科大学の研究(保育園児1,834名を対象とした5年間の病欠調査)によると、0歳児・1歳児ともに7月の病欠が多い傾向が報告されています。2026年7月現在、夏場は手足口病やヘルパンギーナなど保育園で広がりやすい感染症のシーズンです。お迎えコールの頻度も上がりがちな時期に入っています。
「いつコールが来るかわからない」と身構え続けるのはしんどい。でも、来たときに5分で対応できる仕組みがあると、不安の質が変わります。中断メモのテンプレートを貼っておく、朝の5秒シェアをルーティンにする。準備そのものは10分で終わります。
ちなみに、中断メモの仕組みは始業にも応用できます。前日の終業時に「明日の朝いちばんにやること」を1行だけホワイトボードに書いておく。翌朝PCを開く前に目に入るので、着席してからの「何から手をつけよう」がなくなりました。うちでは中断メモと始業メモをホワイトボードの左右で分けて使っています。
全部やる必要はありません。まず中断メモの3項目だけ、次のコールが来たときに試してみてください。
FAQ
中断メモは紙よりスマホのメモアプリのほうが便利では?
どちらでも大丈夫です。ただ、帰宅後にPCを開く前に目に入る場所に置くのが大事なので、スマホだと通知でSlackを開いてしまうリスクがあります。うちではアナログのホワイトボードに落ち着きました。
5秒シェアを忘れた日にコールが来たらどうする?
忘れた日はLINEで「午前と午後、どっちが空いてる?」と1行だけ送ります。ただ、朝の送り時に玄関でやる習慣がつくと忘れることはほぼなくなりました。ホワイトボードに書いておけば口頭確認を忘れても安心です。
夫が出社で在宅勤務ではない場合も使える?
中断メモは自分だけで完結する仕組みなので、夫の勤務形態に関係なく使えます。5秒シェアは、夫が出社の場合は基本的に在宅側がお迎え担当になるため、交渉自体が不要になることが多いです。
子どもが小学生になったら不要になる?
保育園のお迎えコールは減りますが、学童からの体調不良連絡や長期休みの突発対応は続きます。中断メモの仕組み自体は「急な作業中断からの復帰」に使えるので、子どもの年齢に関係なく応用できます。
参考文献
- 保育園児の病欠頻度に関する研究 — 東京女子医科大学雑誌, 第87巻第5号
- コンテキストスイッチが生み出す生産性の低下 [2025] — Asana(Gloria Mark教授の研究を紹介)
- 育休復帰特集|事前準備が9割!突然の「お迎えコール」への対応は? — NPO法人ノーベル
- 仕事のちょっとした中断が、1日の生産性にかなりのロスを発生させる — ライフハッカー・ジャパン






