リビングで仕事していると、シンクの洗い物が気になる

在宅勤務を始めて4年目。うちは札幌の賃貸で、夫と年中の長男、1歳の次男の4人暮らしです。「仕事専用の部屋」なんてない。リビングのダイニングテーブル横にデスクを置いて、そこが筆者の仕事場になっています。

最初の1年は「家で仕事できるだけありがたい」と思っていました。けれど、だんだんストレスが溜まってきたんです。原因は、仕事中にキッチンのシンクや散らかったおもちゃが目に入ること。つい「ちょっとだけ」と手を出して、気づくと仕事時間が30分、40分と削られていました。

国土交通省の令和6年度テレワーク人口実態調査によると、テレワーク実施場所の約97%が自宅。多くの人がリビングやダイニングを仕事場にしているわけです。コクヨが2021年に行った在宅勤務の悩みごと調査でも、回答者の95%が「在宅勤務で困ることがある」と答えていて、「空間・設備」の悩みが全体の13.4%と3番目に多い結果でした。

個室がないなら、仕組みで切り替えるしかありません。うちで実際に試して定着した方法を、費用と所要時間つきで並べてみました。

デスクの向きを「壁側」に変えたら家事が視界から消えた

最初にやったのは、デスクの向きを変えること。家具の移動だけなので15分で終わります。費用はゼロです。

以前はデスクをリビングの中央寄りに置いていて、正面にキッチンが見える配置でした。シンクに食器が残っていると、どうしても立ち上がってしまう。スマホのストップウォッチで仕事中の家事時間を計ったことがあるのですが、1日40分以上を家事の中断に費やしていました。

デスクを壁向きに変えただけで、キッチンが視界の外に出ます。背中側にリビングがある形。「見えなければ気にならない」は本当で、仕事中に家事へ手を出す回数がぐっと減りました。

壁に向くと圧迫感が出るのでは、と心配する方もいると思います。うちの場合、デスクの正面にたまたま小さな窓があったのでむしろ開放感が出ました。窓がない壁なら、突っ張り棒に薄手のカフェカーテンを垂らして視線だけ遮る方法もあります。100均の突っ張り棒とカーテンで500円以内、設置は10分で終わります。

ラグ1枚で「ここは仕事の場所」が家族に伝わる

デスクの向きを変えた次にやったのが、足元のゾーニングです。

デスクの下に70cm×100cmのグレーのラグを1枚敷きました。リビングのフローリングとは色が違うので、視覚的に「ここは仕事エリア」とわかります。費用はニトリやIKEAで1,500〜3,000円くらい。洗えるタイプを選ぶと、飲み物をこぼしても対応できます。

想定外だったのは、年中の長男のほうです。口で「今お仕事だよ」と言っても5分で忘れるのに、床の色が変わっただけで「ママ、グレーの上だね」と自然に仕事中を理解してくれるようになりました。子どもは言葉より視覚の情報で状況を判断しているんだな、と実感した出来事です。

一人暮らしの方でも、仕事エリアとくつろぎエリアの境界線として使えます。自分自身の集中スイッチとしても効果があるので、切り替えが苦手な方は試してみてください。ただし1〜2歳のお子さんはゾーニングの概念がまだ通じません。うちの次男(1歳)は平気でラグの上に侵入してくるので、小さいお子さんがいる家庭ではラグだけに頼らず、赤青の札やパーティションなど別の仕組みとの組み合わせをおすすめします。

終業後の「3分リセット」でリビングを生活空間に戻す

仕事を終えた後のルーティンも大事です。リビング兼用のワークスペースは、片付けないと夕食時にも仕事モードの痕跡が残ります。ノートPCが開きっぱなし、充電ケーブルが床に這ったまま。これがけっこうストレスになるんです。

我が家で定着したのは「3分リセット」というルーティンです。手順は3つだけ。

  1. ノートPCを閉じてカラーボックスに立てる(30秒)
  2. 充電ケーブル・マウスをデスク横のカゴにまとめる(30秒)
  3. デスク上の書類・ペンを引き出しに戻す(1〜2分)

全部やっても3分かかりません。ポイントは、収納場所を先に決めておくこと。「どこにしまうか」を毎回考えるのが面倒の正体なので、場所さえ固定してしまえばハードルは限りなく低くなります。

夫にも同じルールを渡したら案外うまくいって、副業で使った後のデスクもきれいな状態で戻ってくるようになりました。夫婦で同じ仕組みを共有できたのは大きかったです。夕食時にリビングがちゃんと「生活空間」に戻っていると、オフの時間を落ち着いて過ごせます。

ケーブルと充電器の「見えない収納」で散らかりを防ぐ

在宅勤務のデスク周りで生活感が出る原因の大半は、ケーブル類です。電源タップ、充電器、USBハブが床に散乱していると、仕事エリアなのかリビングなのかわからなくなります。1歳の次男はなんでも引っ張るので、安全面でも床にケーブルを這わせたくありませんでした。

うちで使っている方法は次の3つです。

  • ケーブルトレーをデスク裏に取り付けて、電源タップごと隠す(3COINSで550円)
  • マグネット式の充電ケーブルにして、使わないときはデスク脚に吸着させておく
  • カラーボックスにPC・タブレット・ヘッドセットをまとめて、終業時に一括収納する

全部やる必要はありません。ケーブルトレー1つだけでも、床の配線がすっきりして見た目は大きく変わります。元住宅メーカーの営業をしていたときに「見えない収納は、掃除のしやすさと見た目の両方を解決する」と上司に教わりましたが、在宅ワークのデスク周りでもまったく同じでした。

「デスクの向きを変える」だけでも十分

費用と所要時間の一覧をまとめておきます。

対策費用の目安所要時間効果
デスクを壁向きに配置0円15分家事が視界から消える
足元にラグを敷く1,500〜3,000円5分仕事エリアの可視化
3分リセット0円毎日3分終業後の空間切り替え
ケーブルトレー550円〜20分配線の散らかり防止
突っ張り棒パーティション500円程度10分視線の遮断

全部そろえる必要はまったくないです。まずは「デスクの向きを壁側に変える」、これだけで十分効果があります。費用ゼロ、15分で終わるのに、仕事中に「あ、あれやらなきゃ」と家事に引っ張られる回数が減ります。今週末にでも試してみてください。

うちの場合はこの組み合わせで落ち着きましたが、間取りや家族構成で最適解は変わります。賃貸で壁に穴を開けられない方、ワンルームの方は、パーティションとラグの組み合わせから始めてみるのがおすすめです。

FAQ

壁向きにデスクを置くと背後が気になりませんか?

最初の2〜3日は落ち着かないかもしれません。うちでは1週間で慣れました。どうしても気になる方は、壁ではなく窓の前にデスクを置くと圧迫感が和らぎます。背後に棚を置いてゆるく仕切る方法もあります。

ラグの下にフローリングの傷防止は必要ですか?

キャスター付きの椅子を使うなら、ラグの上に透明なチェアマットを重ねると安心です。キャスターなしの椅子であれば、ラグ1枚で十分。賃貸のフローリング保護にもなるので一石二鳥です。

1LDKや1Kの一人暮らしでも使えますか?

使えます。むしろ一人暮らしのほうがデスクの配置を自由に変えられるので、壁向き配置は取り入れやすいです。ベッドのそばで仕事する環境なら、ラグのゾーニングが心理的な切り替えに特に効きます。

3分リセットが面倒で続かないときはどうすればいいですか?

最初はPCを閉じてカラーボックスに立てる、この1ステップだけに絞ってみてください。それだけでもデスク上の「仕事中」感はかなり消えます。慣れてきたらケーブルと書類の片付けを足せばOKです。

参考文献