パソコンを使っていて、ブルースクリーンが何度も出る、アプリが突然落ちる、動作がやたら不安定……。こういう症状が続くと「ウイルス?」「ハードディスク?」と疑いがちですが、実はメモリ(RAM)の故障が原因というケースが意外と多いんです。

筆者は自作PC歴20年以上で、工房に常時7台のPCを置いて検証していますが、「原因不明の不安定さ」の犯人がメモリだったことは何度もあります。今回は、2026年4月時点の最新情報をもとに、メモリ故障を疑うべき症状と、無料ツール「memtest86+」を使った診断方法、そしてエラーが出たときの対処法をまとめました。

こんな症状が出たらメモリ故障を疑おう

メモリが壊れかけているとき、パソコンにはいくつかの「サイン」が出ます。以下のような症状が繰り返し起きる場合は、メモリの不具合を疑ってみてください。

  • ブルースクリーン(BSoD)が頻発する — 特に「MEMORY_MANAGEMENT」「IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL」「PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA」などのエラーコードが出る場合は、メモリ起因の可能性が高いです
  • アプリが突然クラッシュする — 特定のアプリではなく、いろんなソフトがランダムに落ちるのが特徴です
  • パソコンが勝手に再起動する — 操作中に突然再起動がかかり、前兆がないケースはメモリ異常のサインです
  • 起動時にビープ音が鳴る — マザーボードがメモリを認識できていないと、「ピーピーピー」と連続音が鳴ることがあります
  • Windowsが途中で固まる — 操作とは無関係にフリーズが発生し、マウスカーソルも動かなくなります

ポイントは「特定の操作と無関係に、ランダムなタイミングで不具合が起きる」こと。ソフトウェアの問題なら再現パターンがありますが、メモリ故障は再現性がないのが厄介なところです。

まずはWindows標準の「メモリ診断ツール」で簡易チェック

Windows 11には、メモリの異常を検出する診断ツールが標準で搭載されています。まずはこれで簡易チェックしてみましょう。

  1. Win + R キーを押して「ファイル名を指定して実行」を開く
  2. mdsched.exe と入力してEnterを押す
  3. 「今すぐ再起動して問題の有無を確認する」を選択
  4. PCが再起動し、自動的にメモリテストが始まる(8GBで約10〜12分)
  5. テスト完了後、Windowsが起動してデスクトップ右下に結果が通知される

結果の詳細はイベントビューアー(eventvwr.msc → Windowsログ → システム → ソース「MemoryDiagnostics-Results」)で確認できます。

ただし、Microsoftのメモリ診断ツールは検出精度が高くありません。「エラーなし」と出ても安心はできないので、次のmemtest86+で本格的にチェックするのがおすすめです。

memtest86+でメモリを本格診断する手順

memtest86+は、OSを通さずにメモリを直接テストできる無料のオープンソースツールです。Windows上で動くツールより精度が高く、自作PC界隈では定番中の定番です。

15年やっててもメモリのトラブル対応は毎回このツールから始めます。手順は以下のとおり。

USBブートディスクの作成

  1. memtest86+公式サイトから「Download - Pre-built Bootable ISO (.zip)」をダウンロード
  2. ZIPを展開し、中にあるISOファイルを確認
  3. RufusなどのツールでUSBメモリ(1GB以上)にISOを書き込む
  4. Rufusの場合:USBを選択 → ISOイメージを指定 →「スタート」で書き込み完了

テストの実行

  1. 作成したUSBメモリをPCに挿し、再起動する
  2. 起動時にブートメニューを開く(F12:Dell/Lenovo/Gigabyte、F11:MSI、F8:ASUS、Esc:HP)
  3. USBメモリを選択して起動
  4. memtest86+が自動的にテストを開始する
  5. 最低1パス(全テスト1周)が完了するまで待つ。メモリ16GBで約30〜60分が目安

画面に赤い行が表示されたら、それがエラーです。1つでもエラーが出たらメモリに問題があると判断できます。より確実に診断するなら、4パス(4周)以上を推奨します。可能なら一晩放置して回すのが理想です。

memtest86+でエラーが出る原因5つ

エラーが検出された場合、原因は大きく5つに分かれます。

1. メモリモジュールの物理的な故障

最も多い原因です。メモリチップ内部のセルが経年劣化や製造不良で壊れているケースです。同じメモリアドレスに繰り返しエラーが出る場合は、物理故障の可能性が非常に高いです。

2. メモリの差し込み不良・接触不良

意外と見落としがちですが、メモリがスロットにしっかり挿さっていない、または端子部分にホコリや酸化膜が付着しているケースです。自分の自作機でも、掃除のあとにメモリを挿し直したら症状が消えたことがあります。

3. メモリとマザーボードの相性問題

特にDDR5世代では、メモリとマザーボードの組み合わせによって動作が不安定になる「相性問題」が起きることがあります。マザーボードメーカーが公開しているQVL(Qualified Vendor List=動作確認済みメモリリスト)に載っていないメモリだと、トラブルが発生しやすいです。

4. XMP/EXPOプロファイルの設定ミス

メモリのオーバークロック設定であるXMP(Intel環境)やEXPO(AMD環境)を有効にしている場合、マザーボードのBIOSバージョンや他のパーツとの組み合わせで不安定になることがあります。以前、DDR5メモリのXMPプロファイルで特定マザーボードだけ起動しなくなる事例に遭遇したとき、結局マザーボードメーカーの最新BIOSリリースノートを読み直して、対象メモリの制限値を確認したら解決しました。15年やっててもメモリOC設定は毎回マニュアルを当たります。

5. 電圧不足・電源の劣化

電源ユニットが劣化して安定した電圧を供給できなくなると、メモリが誤動作することがあります。特に5年以上使っている電源は要注意です。

エラーが出たときの対処法

memtest86+でエラーが確認できたら、以下の順番で原因を切り分けていきましょう。

ステップ1:メモリを挿し直す

まずはPCの電源を切り、メモリを一度抜いて端子部分を無水エタノールと柔らかい布で軽く拭き、しっかり挿し直します。これだけで直ることもあります。掃除して直ることもある、というのは冗談ではなく本当の話です。

ステップ2:1枚ずつテストして故障モジュールを特定する

メモリが2枚以上挿さっている場合は、1枚ずつにしてmemtest86+を実行します。エラーが出るメモリを特定できれば、そのモジュールが故障しています。

ステップ3:スロットを変えてテストする

エラーが出たメモリを別のスロットに挿してテストします。スロットを変えてエラーが消えた場合は、マザーボード側のスロットが故障している可能性があります。

ステップ4:XMP/EXPOを無効にしてテストする

BIOSでXMP/EXPOを無効(Disabled)にし、メモリをJEDEC標準の定格速度で動かした状態でテストします。これでエラーが消えれば、オーバークロック設定が原因です。BIOSを最新版に更新するか、XMPのクロックを1段階下げて試してみてください。

ステップ5:メモリを交換する

上記で故障モジュールが特定できたら、保証期間内であればメーカーに交換を申請しましょう。購入から数年以内なら永久保証が付いているメモリも多いです(CorsairやG.Skillなど主要メーカーは永久保証を提供しています)。保証が切れている場合は、マザーボードのQVLリストに掲載されているメモリを選んで購入するのが安全です。

FAQ

memtest86+とmemtest86は何が違うの?

memtest86+はオープンソースで無料のツール、memtest86はPassMark社が提供する商用版(無料版あり)です。どちらもメモリテストツールですが、memtest86+は完全無料で十分な検出精度があるため、個人ユーザーにはmemtest86+がおすすめです。

Windowsメモリ診断で「エラーなし」でもメモリが壊れていることはある?

あります。Windowsメモリ診断はテストパターンが限られており、memtest86+でのみ検出できるエラーも少なくありません。症状が続く場合は、必ずmemtest86+で4パス以上テストしてください。

memtest86+でエラーが1つだけ出た場合も交換すべき?

はい。メモリエラーは1つでもあれば異常です。ただし、まずはメモリの挿し直しやXMP無効化を試してから判断してください。再テストでもエラーが再現するなら交換を検討しましょう。

メモリの故障を防ぐ方法はある?

静電気を避ける(メモリの着脱時はPCの電源プラグを抜き、金属部分に触れて放電する)、PC内部のホコリを定期的に掃除する、過度なオーバークロックを避ける、安定した電源ユニットを使う——この4つが基本です。

参考文献