在宅勤務をしていると、目の前にたまった洗い物やリビングの散らかりが気になって、つい手を出してしまう。気づけば仕事の集中が途切れて、結局どっちも中途半端……。これ、テレワーク経験者なら誰でも一度はぶつかる「あるある」です。
国土交通省の令和6年度テレワーク人口実態調査でも、テレワーカーの多くが「家事や生活行動に変化があった」と回答しています。つまり、在宅勤務で家事が気になるのは意志が弱いからじゃなく、環境の問題なんです。
この記事では、共働き+保育園児2人の家庭で在宅ワークを続けている筆者が、実際に試行錯誤して「これなら続く」と思えた仕組みを5つ紹介します。やる気に頼らず、仕組みで仕事モードを守る方法です。
なぜ在宅勤務で家事が気になるのか?3つの原因
対策の前に、まず原因を整理しましょう。在宅勤務中に家事が気になってしまう理由は、大きく3つあります。
1. 視界にモノが入る
オフィスには洗濯物もシンクの汚れもありません。でも自宅には「やるべき家事」が常に視界に入ります。Panasonicの調査コラムでも、在宅勤務の集中を妨げる要因として「生活感のある環境」が挙げられています。
2. 切り替えのスイッチがない
通勤という物理的な移動がなくなると、「仕事モード」と「家モード」の境目があいまいになります。朝起きてそのまま仕事、昼休みにそのまま家事……と、オン・オフの切り替えが難しくなるのは当然です。
3.「ついでにやっちゃおう」が止まらない
洗濯機が止まったピーッという音、食洗機のタイマー、宅配の不在票。在宅だからこそ発生する「ちょっとだけ」の積み重ねが、1日のうちに何度も仕事を中断させます。経済産業研究所(RIETI)の在宅勤務の生産性に関する研究でも、自宅環境の整備不足が生産性低下の主要因と報告されています。
仕組み1:仕事スペースから「家事の視界」を物理的に消す
最初にやるべきは、仕事中に家事が目に入らない環境を作ることです。個室がなくても大丈夫。ポイントは「視線の方向を変える」だけ。
我が家では結局これに落ち着いたのですが、デスクをリビングの壁向きに配置して、背中側にキッチンやリビングが来るようにしました。たったこれだけで、シンクの洗い物が視界に入らなくなります。
もう少し本格的にやるなら、パーティションやカーテンで仕切るのも効果的です。大建工業の在宅ワーク特集でも、パーティションによる空間の仕切りが集中力向上に有効とされています。
予算をかけたくなければ、突っ張り棒+布でもOK。2,000円もあれば「視界を切る壁」は作れます。完璧な書斎じゃなくていいんです。視線が家事に行かない角度を作ることがゴールです。
仕組み2:「家事は何時にやる」をホワイトボードに書き出す
在宅勤務中に家事が気になる大きな理由のひとつが、「あれもやらなきゃ」「これも後でやらなきゃ」と頭の中がモヤモヤすること。これを解決するには、家事の時間をあらかじめ決めて「見える化」するのが一番です。
以前、夫に皿洗いを「お願い」ベースで頼んでいたら3日で破綻したことがありました。そこでホワイトボードに「夜の食器:夫」「翌朝の食器:私」と固定割り当てに変えたら、3ヶ月どころかもう2年以上続いています。お願いじゃなくなった瞬間に、夫婦のストレスがガクッと減りました。
これと同じ考え方を、在宅勤務中の家事にも使います。具体的にはこんな感じです。
- 朝の仕事開始前(8:30まで):洗濯機を回す+朝食の片付け
- 昼休み(12:00〜13:00):洗濯物を干す+掃除機をかける
- 仕事終了後(17:30以降):夕食準備+翌日の下ごしらえ
この3つの「家事タイム」以外は、家事に手を出さないと決めるのがポイント。洗濯機がピーッと鳴っても、昼休みまで放置する。これを家族全員が見えるホワイトボードに書いておくと、「あ、今は仕事の時間だ」と自分にも家族にもルールが伝わります。
仕組み3:「赤青カード」で家族に仕事中を伝える
在宅勤務の集中を妨げるのは家事だけではありません。家族からの声かけも大きな中断要因です。特に小さい子どもがいる家庭では、「ねぇねぇ」の一言で仕事が完全にストップしてしまいます。
うちでは年中の長男がZoom会議中に話しかけてくることが多くて困っていました。そこで試したのが、ドアに貼る赤と青の札。赤い札=「今は話しかけないでね」、青い札=「大丈夫だよ」という視覚的なサインです。
導入して驚いたのは、長男が「赤のときはお絵描きタイム」と自分でルールを作ってくれたこと。子どもには言葉で「静かにして」と言うより、目で見てわかるルールのほうが断然伝わります。
これは夫婦間でも使えます。パートナーが在宅勤務中に「ちょっとこれやっといて」と家事を頼みたくなっても、赤い札が出ていたら後回し。会議中か否かを家族が聞かなくても判断できる仕組みにすることで、双方のストレスが減ります。
仕組み4:家事の「自動化・時短」で中断の回数自体を減らす
家事が気になる回数を減らすには、そもそも家事の発生回数を減らすのが根本解決です。全自動にできなくても、手が止まる回数を最小化する工夫はたくさんあります。
タイマー系家電のセット時間を見直す
洗濯機や食洗機のタイマーを、仕事時間外に終わるように設定します。たとえば洗濯機は朝6時にスタートして7時半に終了させれば、仕事中に「ピーッ」が鳴ることはありません。
日用品のストック管理を仕組み化する
「あ、洗剤がない」→ 買い物メモ → 仕事中断、という流れを避けるために、日用品はAmazonの定期便やネットスーパーの自動配送を活用します。2026年4月時点では、Amazon定期おトク便で洗剤・トイレットペーパー・ゴミ袋などを1〜6ヶ月の周期で届けてもらえます。
「ちょい家事」のハードルを物理的に上げる
これは意外と効くのですが、仕事中は掃除機やモップを手の届かない場所にしまいます。手元にあると「ついでにサッと」の誘惑に負けるので、物理的に距離を置くのがコツです。
仕組み5:週1回の「家族会議」で仕事と家事のバランスを調整する
ここまでの仕組みを導入しても、共働き家庭の状況は毎週変わります。繁忙期、子どもの体調不良、急な出社日……。だからこそ大事なのが、週に1回、5分でいいから家事の分担を夫婦で見直す時間を持つことです。
うちでは日曜夜に5分だけ「家族会議」をやっています。ホワイトボードの前で、来週の在宅勤務の曜日を確認し、どちらがどの家事を持つかを書き換えるだけ。夫に渡したら案外うまくいったタスクもあれば、やっぱり自分がやったほうが早いと判明するものもあります。
リクルートワークス研究所のコラムでは、テレワークの普及後も家事分担の偏りは完全には解消されていないと指摘されています。だからこそ、定期的に「見える化」して調整し続けることが重要です。完璧に50:50にする必要はなくて、お互いが「これなら回せる」と納得できる状態を毎週更新するのがコツです。
まとめ:やる気じゃなく「仕組み」で仕事モードを守ろう
在宅勤務で家事が気になるのは、あなたの意志が弱いからではありません。仕事と家事が同じ空間にある以上、仕組みで境界を作ることが最善の対策です。
今回紹介した5つの仕組みをまとめると:
- 視界を切る — デスクの向きやパーティションで家事を目に入れない
- 時間割を決める — 家事タイムを3回に固定し、それ以外は手を出さない
- 視覚サイン — 赤青カードで家族に仕事中を伝える
- 自動化・時短 — 家電のタイマーや定期便で中断回数を減らす
- 週1見直し — 家族会議で分担を毎週調整する
どれも特別な道具や費用はほとんどかかりません。大事なのは「完璧にやること」ではなく、「続けられる仕組みを回すこと」。1つでも取り入れてみてください。
FAQ
在宅勤務中に家事をするのは就業規則違反になりますか?
多くの企業では、テレワーク中の私用中断について「業務に支障がなければ柔軟に対応」としています。ただし、長時間の中断や就業時間中の家事を明確に禁止している企業もあるため、自社のテレワーク規定を確認しましょう。昼休みなど業務時間外に家事を集中させるのが無難です。
一人暮らしでもこの仕組みは使えますか?
はい。赤青カード以外の仕組みはすべて一人でも実践できます。特に「視界を切る」「家事タイムを固定する」「家電タイマーの見直し」は一人暮らしのほうがすぐに実行しやすいです。
夫(妻)がテレワーク中の家事分担に協力してくれません。どうすれば?
まずは「お願いベース」から「ホワイトボードなどに書き出す固定ルール」に切り替えてみてください。名前と担当を明記するだけで、「頼んだのにやってくれない」というストレスが減ります。最初は小さなタスク1つからでOKです。
ノイズキャンセリングイヤホンは効果がありますか?
音による中断(洗濯機の終了音、掃除機のCMなど)には非常に効果的です。ただし、家事が「見える」ことによる中断にはイヤホンだけでは対応できないため、視界を遮る工夫と併用するのがおすすめです。
参考文献
- 令和6年度 テレワーク人口実態調査 調査結果 — 国土交通省, 2025年3月
- 在宅勤務で個人の生産性はどう変わるか — 経済産業研究所(RIETI), 2023年
- テレワークは男女の家事・育児の分担を変えるのか — リクルートワークス研究所
- 在宅勤務で集中できない!?仕事に集中するための環境作りとは — Panasonic UP LIFE
- テレワーク、集中できない!対処法6選とやる気になる自宅環境について — 大建工業





