在宅勤務を始めてから、シンクの洗い物やたまった洗濯物が視界に入るたびに「ちょっとだけ片付けよう」と手を出してしまう。気づけば午前中の集中タイムが細切れになっていた――そんな経験、あなたにもありませんか。

この記事では、共働き+子ども2人の在宅ワーカーである筆者が実際に試して効果のあった「ついで家事を仕組みで止める方法」を5つ紹介します。週末の30分で準備できるものばかりなので、明日の在宅勤務から試してみてください。

なぜ在宅勤務で「ついで家事」が止まらなくなるのか

オフィスに通勤していたころは、家事のことなんて勤務中に思い出しもしなかったはずです。それが在宅勤務になった途端、洗濯機の終了音が聞こえたり、キッチンのシンクが見えたりするだけで「今やっちゃおう」と体が動いてしまう。

これは意志が弱いからではありません。人間の脳は、視界に入った未完了タスクを自動的に処理しようとする性質があります。心理学で「ツァイガルニク効果」と呼ばれるもので、オフィスでは物理的に家事と距離があったから気にならなかっただけ。自宅では常に「やりかけの家事」が視界にある状態なんです。

レノボが世界10か国で実施した国際調査では、在宅勤務で「生産性が下がった」と答えた日本人は40%にのぼり、世界平均の13%を大きく上回っています。家事との境界があいまいになりやすい日本の住環境も、その一因と考えられています。

「ついで家事」を仕組みで止める5つの方法

1. 家事タイムを1日3回に固定する

我が家では結局これに落ち着いた方法です。「朝の仕事前」「昼休み」「仕事終了後」の3回だけ家事をやると決めて、それ以外は一切手を出さない。

ポイントは、このルールをリビングのホワイトボードに書いて家族全員に見える状態にすること。口頭の約束だと3日で崩れます。書いて貼ったら、夫も「今は仕事の時間だよね」と自然に協力してくれるようになりました。

洗濯機の終了音が鳴っても「昼休みに干す」と割り切れるようになると、仕事中のモヤモヤがかなり減ります。最初の1週間はソワソワしました。でも慣れると逆に集中力が上がったと感じるはずです。

2. デスクの向きを壁側に変える

個室がなくてリビングで仕事をしている人は、デスクの向きを変えるだけで効果があります。キッチンやリビングの散らかりが視界に入らないよう、壁に向かって座る配置にしてみてください。

筆者もリビングのデスクをキッチン向きから壁向きに変えたところ、シンクの洗い物が目に入らなくなって「あ、洗わなきゃ」と思う回数が激減しました。突っ張り棒と布で簡易パーティションも追加したら、視界の遮断はほぼ完璧。費用は100均で1,000円もかかりませんでした。

お子さんがいる家庭では、デスクの足元に色の違うラグを敷くのもおすすめです。うちの年中の長男は「ママ、グレーの上だね」と、ラグの色で仕事中かどうかを自分で判断してくれるようになりました。

3. 仕事終わりの「3分リセット」を導入する

リビング兼用のワークスペースを使っている場合、仕事が終わった後にデスク上が散らかったままだと、夕食時にも仕事モードの空気が残ってストレスになりがちです。

そこで、終業時にPCを閉じてカラーボックスに立て、ケーブル類をまとめ、デスク上をリセットする「3分リセット」ルーティンを始めました。たった3分。この短さがポイントで、長いルーティンは絶対に続きません。

夫に渡したら案外うまくいって、副業の作業後もデスクがきれいな状態で戻ってくるようになりました。仕事の始まりと終わりに物理的な区切りを作ると、「ついで家事」の逆パターン――仕事中に家事が気になる問題も自然と減っていきます。

4. 「やらないことリスト」を作る

ToDoリストは多くの人が使っていますが、在宅勤務では「やらないことリスト」のほうが効きます。仕事時間中にやらない家事を具体的に書き出してみてください。

例えばこんな感じです。

  • 洗濯物を干すのは昼休みまで触らない
  • 食器洗いは仕事終了後にまとめてやる
  • 掃除機は週末だけ(平日はロボット掃除機に任せる)
  • 届いた荷物の開封は昼休みに

全部やる必要はありません。あなたが「つい手を出してしまう家事」を2つか3つ書き出すだけで十分です。書き出した瞬間、「やらなくていい」という許可を自分に出せるので、罪悪感がぐっと減ります。

5. 家電のタイマー機能で「鳴る時間」をコントロールする

洗濯機や食洗機にタイマー機能がついているなら、昼休みや仕事終了後に合わせて終わるようセットしておくのが効果的です。

仕事中に「ピーピー」と終了音が鳴ると、どうしても気になって中断してしまう。でもタイマーで昼休み開始に合わせておけば、鳴ったタイミングがそのまま家事タイムの開始合図になります。中断ではなく切り替え。この差は大きいです。

2万円台のシンプルな洗濯機でもタイマー機能はたいてい付いています。高機能モデルの多彩なコースより、タイマー1つを使いこなすほうがよほど生活が回ります。

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家族と共有して「仕組み」を定着させるコツ

ここまでの5つの方法は、どれも自分ひとりで始められます。ただ、共働き家庭で仕組みを家族と共有すると、定着率がまるで違ってきます。

筆者の場合、毎週日曜の夜に5分だけ家族会議をしています。ホワイトボードに翌週の家事担当と仕事の予定を書き出すだけの簡単なもの。これだけで「お願いベース」から「仕組みベース」に変わります。

お願いベースだと相手の機嫌や忙しさに左右されました。でもホワイトボードに名前を書いた瞬間、それは「ルール」になる。夫婦間の「やってくれると思ってた」「聞いてない」が激減しました。

一人暮らしの場合は、スマホのリマインダーを家事タイムの3回だけに設定するのが手軽です。「12:00 洗濯物干す」「18:30 食器洗い」のように具体的なタスクで通知を出しておけば、仕事中に頭の中で家事を気にし続ける必要がなくなります。

「ちょっとだけ」の積み重ねを数字で見てみる

仕組みを作っても、最初のうちは「あと1個だけ」と手が伸びてしまう日があります。完璧にコントロールする必要はありません。

そんなときは、スマホのストップウォッチで「家事に使った時間」を1週間だけ計測してみてください。筆者の場合、「ちょっとだけ」のつもりが1日合計40分を超えていました。週5日で3時間以上。この数字を見た瞬間、仕組みで止めないとまずいと腹落ちしました。

総務省の社会生活基本調査でも、在宅勤務をしている人はしていない人に比べて家事関連時間が長くなる傾向が報告されています。在宅勤務のメリットを活かしつつ、仕事時間を守るには「いつ家事をやるか」を先に決めてしまうのがいちばん確実です。

やる気や意志力ではなく、仕組みと数字で解決する。うちの場合はこれで落ち着きました。全部やる必要はないので、まずは1つだけ、明日から試してみてください。

FAQ

在宅勤務中に家事をするのは本当にダメなの?

ダメではありません。問題は「思いつきで中断する」ことです。家事タイムを決めてまとめてやるなら、むしろ在宅勤務のメリットを活かせています。大切なのは「いつやるか」をあらかじめ決めておくことです。

一人暮らしでもホワイトボードは必要?

ホワイトボードは家族共有向けのツールなので、一人暮らしなら不要です。代わりにスマホのリマインダーや付箋アプリで家事タイムを3回設定するだけで十分効果があります。

ロボット掃除機がない場合、平日の掃除はどうすればいい?

デスク周りだけフローリングワイパーで30秒さっと拭くルールにすると、全体を掃除したい衝動を抑えやすくなります。本格的な掃除機がけは仕事終了後か週末にまとめるのが現実的です。

「ついで家事」をやめたら家が汚くならない?

家事の総量は変わりません。「ついでにバラバラやる」を「決まった時間にまとめてやる」に変えるだけです。むしろまとめたほうが効率が良く、トータルの所要時間は短くなることが多いです。

参考文献