在宅勤務が当たり前になったとはいえ、「そもそも仕事部屋なんてないんですけど……」という人、かなり多いのではないでしょうか。国土交通省が2025年3月に公表した令和6年度テレワーク人口実態調査によると、在宅勤務者のうち仕事専用の個室を使えている人は約27%。残りの約3割は「リビング・ダイニング」で仕事をしているのが現実です。

筆者も札幌の賃貸マンションで夫と子ども2人(年中+1歳)と暮らしていますが、仕事部屋なんて夢のまた夢。リビングのダイニングテーブル横に小さなデスクを置いて、午前中に原稿を書く日々です。でも、整理収納アドバイザーとして断言できるのは、「専用部屋がなくても、仕組みさえ作れば集中できる」ということ。この記事では、共働き・子育て家庭でもすぐ実践できるワークスペースの作り方を5つ紹介します。

在宅勤務者の約3割は「リビング・ダイニング」で働いている

まず知っておきたいのが、「自分だけじゃない」という事実です。パーソル総合研究所が2025年8月に公表した第十回・テレワークに関する調査でも、テレワーク実施者が感じる課題として「仕事に適した環境が整っていない」が上位に挙がっています。

特に共働き家庭は深刻です。夫婦どちらもリモートワークの日にWeb会議がかぶると、片方がキッチンに避難するなんて話もよく聞きます。問題の根っこは「専用部屋がないこと」ではなく、「仕事モードに切り替えられる仕組みが空間にないこと」です。つまり、個室がなくても仕組みさえ整えれば、集中力は取り戻せます。

リビングの一角で集中できるワークスペースの作り方5つ

1. デスクは壁向きに置いて「家事視界」を遮断する

在宅勤務中に集中が途切れる最大の原因は、キッチンのシンクやリビングの散らかりが目に入ることです。キングジムのデスク整理術でも紹介されている通り、視界に不要な情報が入ると脳が無意識に処理してしまい、集中力が削がれます。

我が家では結局これに落ち着いたのですが、デスクをリビングの壁向きに配置するだけで、背中側にキッチンが来るので洗い物が気にならなくなりました。さらに突っ張り棒+布で簡易パーテーションを足したら、視界の誘惑がほぼゼロに。費用は100円ショップの突っ張り棒と布で1,000円以下です。

2. 仕事道具は「指定席」を決めて90秒で戻せる仕組みにする

リビング兼用のデスクでありがちなのが、「ノートPCの充電器どこ行った?」「ペン立てが子どものクレヨンに侵食されてる」問題です。仕事道具が散らかる原因はシンプルで、「戻す場所」が決まっていないから。

整理収納の世界では「すべてのモノに住所を決める」が鉄則ですが、在宅勤務のデスク周りでもまったく同じです。おすすめは、デスク横に3段のカラーボックスを1つ置いて、上段=PC周辺機器、中段=文具・手帳、下段=書類ボックスと決めること。90秒以内に全部元に戻せるかどうかが基準です。90秒を超えるようなら、モノが多すぎるか、収納場所が遠すぎるサインです。

3. 床の素材やラグを変えて「仕事エリア」を視覚的に区切る

個室がなくても「ここから先は仕事の場所」という境界線を作ることは可能です。DAIKENのテレワークレイアウト特集でも推奨されている方法ですが、デスクの足元にだけ色の違うラグやジョイントマットを敷くと、視覚的にゾーンが分かれます。

これは自分の集中スイッチになるだけでなく、家族にも「この上に座ってるときは仕事中」と伝わる効果があります。うちでは70cm×100cmのグレーのラグをデスク下に敷いていますが、長男(年中)が「ママ、グレーの上だね」と自然に理解してくれるようになりました。

4. Web会議の「映り」を意識して背景をコントロールする

リビングで仕事をしていると、Zoom会議のたびに「背景に洗濯物が映ってないか」とヒヤヒヤしませんか? バーチャル背景という手もありますが、動くと輪郭がガタつくし、相手にも「何か隠してるな」と思われがちです。

現実的な対策は、デスクの背面を壁か本棚にすること。壁向きにデスクを置いている場合、背中側にカラーボックスや突っ張り棚を置けば、カメラに映る範囲をコントロールできます。棚の上に観葉植物を1つ置くだけで、「きちんとした在宅ワーカー」の印象になります。Zoom映えのために部屋全体を片付ける必要はなく、カメラに映る幅50cmだけ整えればOKです。

5. 仕事終わりに「3分リセット」でデスクを翌朝の状態に戻す

リビング兼用のワークスペースで一番大事なのは、仕事の痕跡を翌日のプライベート空間に持ち越さないことです。仕事が終わったらPCを閉じてカラーボックスに立て、ケーブル類をまとめ、デスク上をリセットする。この「3分リセット」を毎日のルーティンにすると、家族の夕食タイムにデスクの上が仕事モードのままというストレスがなくなります。

先週、夫に「3分リセットやってみて」と渡したら案外うまくいって、夫がリビングで副業の作業をした後もデスクがきれいな状態で戻ってくるようになりました。やる気じゃなく仕組みで解決する――これが続くコツです。

共働き・子育て家庭なら「家族との境界線」も仕組みにする

ワークスペースの物理的な整備に加えて、共働き・子育て家庭では家族との「仕事中ルール」を見える形にすることが欠かせません。

うちで効果があったのは、ドアに「赤い札」と「青い札」を貼る方法です。赤=話しかけないで、青=大丈夫だよ、という視覚的なサインを導入したところ、年中の長男が「赤のときはお絵描きタイム」と自分で決めてくれるようになりました。言葉で「今は仕事中だから静かにして」と何度言っても伝わらなかったのに、視覚的なルールにした途端に定着したんです。

子どもだけでなく、パートナーとの間でも「この時間帯は話しかけない」をホワイトボードに書いておくと、お互いのストレスがぐっと減ります。お願いベースだとどうしても相手の機嫌に左右されますが、ルールとして書き出すと「仕組み」になるので続きます。

FAQ

仕事部屋がない場合、ダイニングテーブルで仕事してもいい?

もちろんOKですが、食事のたびにPCや書類を片付ける必要があるので、できれば幅60cm程度の小型デスクを別に用意するのがおすすめです。ニトリやIKEAで5,000円前後から手に入ります。

突っ張り棒パーテーションは賃貸でも大丈夫?

壁と天井に突っ張るタイプなら、釘穴を開けずに設置できるので賃貸でも問題ありません。ただし、天井の強度が弱い箇所(石膏ボードの薄い部分など)は避け、下地のある場所に設置しましょう。

夫婦2人とも在宅勤務で同時にWeb会議がある場合はどうすれば?

同じ部屋での同時Web会議は音声が干渉するため避けたほうが無難です。片方がキッチンや寝室に移動するか、Web会議の時間帯をずらすのが現実的です。Googleカレンダーなどで夫婦の会議予定を共有しておくと、バッティングを事前に防げます。

子どもが小さくてワークスペースを荒らされてしまう場合は?

カラーボックスの上段に仕事道具をまとめ、子どもの手が届かない高さに配置するのが基本です。また、100円ショップで買えるキャビネット用ロックを引き出しに付けると、1歳児のいたずら防止になります。

在宅勤務のデスク周りの整理に最低限必要なグッズは?

最低限あると便利なのは、3段カラーボックス(約2,000円)、ケーブルクリップ(約300円)、デスク上トレー(約500円)の3点です。合計3,000円以内でデスク周りが劇的にすっきりします。

参考文献