副業で収入が増えたけど、ふるさと納税の上限額って会社の給料だけで計算していいの? ワンストップ特例を出したのに、確定申告もしなきゃいけないの?

FP相談でよく聞かれるのが、まさにこの「副業 × ふるさと納税」の組み合わせです。副業している人は上限額の計算方法が変わるだけでなく、手続きを間違えると控除がゼロになる落とし穴もあります。

この記事では、副業している会社員がふるさと納税で損しないための正しい上限額の計算方法と、ワンストップ特例制度の注意点をFP2級の筆者が実体験を交えて解説します。2026年5月時点の制度に基づいた内容です。

副業があるとふるさと納税の上限額は「上がる」ことが多い

結論から言うと、副業で所得が増えれば、ふるさと納税の控除上限額も上がります。

ふるさと納税の控除上限額は「その年の所得金額」と「所得税率」「住民税所得割額」をもとに計算されます。副業の収入(雑所得や事業所得)は本業の給与所得と合算されるため、トータルの所得が増える分だけ、上限額も高くなるわけです。

たとえば、年収500万円の会社員(独身)の場合、ふるさと納税の上限額の目安は約6万1,000円です。ここに副業の所得(収入マイナス経費)が100万円加わると、上限額は約8万円前後まで上がります。つまり、副業の所得を計算に含めないと「もっと寄付できたのに」という機会損失が起きるのです。

逆に注意したいのが、副業で経費を多く計上した結果、所得が思ったより少なくなるケースです。その場合は上限額が下がるため、年末ギリギリまで寄付額を確定させないほうが安全です。

副業している人のふるさと納税上限額 — 正しい計算の3ステップ

副業がある場合の上限額を正しく計算するには、以下の3ステップで進めます。

ステップ1: 本業の給与所得を確認する

毎年12月〜1月に届く源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を確認します。まだ届いていない時期は、前年の源泉徴収票の金額をベースに見積もりましょう。

ステップ2: 副業の所得を計算する

副業の所得は「収入 − 必要経費」で求めます。事業所得(青色申告)なら青色申告特別控除(最大65万円)も差し引けます。雑所得の場合は控除なしの実額計算です。

ここで大切なのが、「収入」ではなく「所得」で計算すること。副業の売上が年間150万円でも、経費が80万円なら所得は70万円です。この70万円を合算します。

ステップ3: 合算所得でシミュレーションする

ステップ1の給与所得とステップ2の副業所得を合計した金額を、ふるさと納税のシミュレーターに入力します。さとふるの控除上限額シミュレーションふるさとチョイスの詳細シミュレーションでは、給与所得以外の所得欄に副業分を入力できます。

なお、総務省のふるさと納税ポータルによると、控除額は「所得税からの控除」「住民税からの控除(基本分)」「住民税からの控除(特例分)」の3つの合計で決まります。特例分の上限が住民税所得割額の20%とされているため、この計算にはすべての所得を含める必要があります。

最大の落とし穴 — 副業で確定申告するなら「ワンストップ特例」は無効になる

副業をしている人がふるさと納税で最もハマりやすいのが、ワンストップ特例制度の無効化です。

ワンストップ特例制度は、確定申告をしなくていい給与所得者が、寄付先の自治体に申請書を送るだけで控除を受けられる便利な仕組みです。しかし、確定申告をした時点でワンストップ特例の申請はすべて無効になります

副業所得が年間20万円を超える会社員は確定申告が必要です。つまり、ワンストップ特例を提出していても、確定申告書にふるさと納税の寄附金控除を記載しなければ、控除はゼロ。せっかく寄付したのに自己負担だけが残る……という悲惨な結果になります。

筆者自身、副業1年目の確定申告で手続きの順序を誤り、還付を取り損ねた経験があります。当時は開業届と青色申告承認申請の提出タイミングを間違えて白色申告になっただけでなく、ワンストップ特例で済ませていたふるさと納税分の控除も申告書に書き忘れて、二重にもったいないことをしました。制度は「知ってから使う」のではなく「使う前提で逆算する」のが鉄則だと、身をもって学びました。

確定申告でふるさと納税の控除を受ける手順

国税庁の確定申告特集ページによると、確定申告書の「寄附金控除」欄に、その年に行ったふるさと納税の合計額を記入します。寄附金受領証明書(各自治体から届く)が必要なので、届いたら失くさないように保管しておきましょう。

2021年分の確定申告から「寄附金控除に関する証明書」(ふるさと納税サイトが発行する年間まとめの証明書)が利用できるようになりました。個別の受領証明書をまとめる手間が省けるので、複数自治体に寄付している人には便利です。

副業 × ふるさと納税で損しないための注意点3つ

注意点1: 上限額は12月31日まで確定しない

ふるさと納税の控除上限額は、その年の1月1日〜12月31日の所得で決まります。副業の所得は月ごとに変動するため、年の途中でのシミュレーションはあくまで「見積もり」です。ギリギリまで寄付を引っ張りすぎて上限を超えると、超えた分は純粋な自己負担になります。

おすすめは、確実にわかっている給与所得ベースでまず寄付し、年末に副業所得が固まってから追加寄付する方法です。12月末までに寄付すればその年の控除対象になります。

注意点2: 副業所得が20万円以下でも住民税の申告は必要

「副業所得が20万円以下なら確定申告は不要」というルールは所得税の話です。住民税には同様の免除規定がないため、20万円以下でも住民税の申告(市区町村への申告)が必要です。

ここで判断が分かれます。住民税の申告だけなら確定申告は不要なので、ワンストップ特例は有効です。しかし確定申告をしてしまうとワンストップ特例は無効になるため、副業所得が20万円以下でも確定申告を選んだ場合は、ふるさと納税分を忘れずに申告書に書く必要があります。

注意点3: 副業の経費が多い年は上限額が下がる

パソコンの買い替えや大きな設備投資をした年は、経費が増えて副業の所得が圧縮されます。その結果、ふるさと納税の上限額が前年より下がることがあります。

FP相談でも「去年と同じ額を寄付したら、今年は自己負担が増えた」という相談をいただくことがあります。前年の実績をそのまま使うのではなく、その年の所得見込みで毎年シミュレーションし直すのが安全です。

副業別・ふるさと納税の上限額の目安早見表

以下は独身・扶養なしの会社員が副業所得(経費控除後)を加えた場合の目安です。実際の上限額は社会保険料控除や生命保険料控除などによって変動するため、あくまで参考値としてご覧ください(2026年5月時点の税制に基づく概算)。

本業の年収副業所得なし副業所得50万円副業所得100万円
400万円約4.3万円約5.4万円約6.4万円
500万円約6.1万円約7.2万円約8.0万円
600万円約7.7万円約9.7万円約10.8万円
700万円約10.8万円約12.0万円約13.3万円

※ 独身・扶養なし、社会保険料率14.4%で概算。iDeCo・住宅ローン控除等は考慮していません。正確な金額はさとふるのシミュレーターふるさとチョイスの詳細シミュレーションでご確認ください。

FAQ

副業の収入がまだ確定していない場合、ふるさと納税はいつすればいい?

本業の給与所得で計算した上限額の範囲内でまず寄付し、年末に副業所得が確定してから残りの枠を使い切る方法がおすすめです。12月31日までの寄付がその年の控除対象になります。

ワンストップ特例を出した後に確定申告が必要になったらどうする?

確定申告書にふるさと納税の寄附金控除を記載すればOKです。確定申告をした時点でワンストップ特例は自動的に無効になるため、申告書への記載を忘れると控除がゼロになります。寄附金受領証明書を手元に用意して確実に記載しましょう。

副業所得が赤字の場合、ふるさと納税の上限額はどうなる?

事業所得の赤字は給与所得と損益通算できるため、合算後の所得が下がり、ふるさと納税の上限額も下がります。一方、雑所得の赤字は他の所得と損益通算できないため、上限額への影響はありません。副業の所得区分によって扱いが異なる点に注意してください。

副業所得が20万円以下でもふるさと納税の上限額に影響する?

所得税の確定申告が不要でも、ふるさと納税の上限額は「住民税所得割額」をベースに計算されるため、副業所得が20万円以下でも住民税側では合算されます。厳密にはわずかに上限額が上がりますが、金額が小さいため、大きな差は出にくいです。

参考文献