「iPhoneが急に私の顔を忘れた」と、近所の知り合いから相談されたのは2026年の夏でした。聞けば、充電切れで電源が落ち、入れ直した直後だったそうです。
顔が変わったわけでも、iPhoneが壊れたわけでもありません。Face ID(顔でロックを解除する機能)は、特定の場面ではわざと止まり、パスコードの入力を求める作りになっています。
この記事では、Appleの公式ページに載っている「パスコードが必要になる場面」を、日常の出来事に置き換えて紹介します。2026年10月時点の情報です。
Face IDがお休みしてパスコードを求められる場面
Appleの公式ページ「先進のFace IDテクノロジーについて」には、次の場面でパスコードが必要になると書かれています。
- デバイスの電源を入れた直後、または再起動した直後
- 48時間以上ロックを解除していないとき
- 過去6日半パスコードを使っておらず、かつ過去4時間Face IDでもロックを解除していないとき
- リモートロックのコマンドを受信したとき
- Face IDの顔認証に5回失敗したあと
- 音量ボタンのどちらかとサイドボタンを2秒間同時に長押しして、電源オフ/緊急SOSの画面を出したあと
どれも「持ち主本人かどうか、念のためもう一度確かめたい」という場面です。盗まれたiPhoneを顔だけで開けられないようにするための、わざとの仕様となります。
それぞれ、こんなときに起きています
公式の言い回しだけだと、自分の身に何が起きたのか見えにくいものです。生活の場面に置き換えてみます。
再起動・電源を入れ直した直後
いちばん多い原因です。バッテリーが0%まで減って落ちたあと、充電して起動すると、必ず1回目はパスコードを聞かれます。iOSのアップデート後に勝手に再起動したときも同じです。
相談された方のiPhoneもこれでした。「数字6桁を入れてみてください」と案内したら、その場で直りました。「壊れた」と思い込んでいたそうで、仕様だと伝えると拍子抜けした様子でした。
48時間以上ロックを解除していない
週末に旅行へ行って、スマホをほとんど触らなかった。サブ機として引き出しに入れていた古いiPhoneを久しぶりに出した。こうしたときに起きます。使っていない期間が2日を超えると、1回パスコードを求められます。
6日半パスコードを使っていない+4時間Face IDを使っていない
少しややこしい条件です。「パスコードを1週間近く一度も打たず、そのうえ4時間以上Face IDも使わなかった」と、次のロック解除でパスコードを聞かれます。
毎日Face IDだけで使っていると、パスコードを打つ機会は自然に減ります。そこに睡眠の数時間が重なると、ある朝とつぜん求められる。故障ではなく、単純に条件がそろっただけです。
リモートロックを受信した
「探す」アプリで紛失モードをオンにしたときなどが当てはまります。家族のiPhoneを探すために、相手の端末を自分のiPhoneから操作した覚えがあれば、その操作が引き金になっているかもしれません。
5回続けて顔が合わなかった
マスクやサングラス、保護フィルムのズレでカメラがふさがれていると、認証失敗が重なります。5回目でFace IDは止まり、パスコード入力になります。画面保護フィルムが数ミリずれているだけでも、センサーが半分隠れて失敗が続くことがあります。
緊急SOSの画面を出した
見落としやすいのがここです。ポケットやバッグの中で、サイドボタンと音量ボタンが同時に2秒以上押されると、電源オフ/緊急SOSの画面が出ます。画面に気づかず閉じたとしても、そのあとはパスコードが必要です。
「何もしていないのにパスコードを聞かれた」という声の中には、カバンの中での誤操作だったと後でわかるケースがあります。
パスコードを入れたら元に戻ります
ここまで読んで「自分のはどれだろう」と迷ったとしても、手順はひとつです。
- 画面に出た数字(または英数字)のパスコードを入力する
- ロック解除できたら、そのままホーム画面へ進む
- 次にロックをかけ直したとき、Face IDで開くか試す
パスコードで一度開けば、Face IDは通常どおり使えるようになります。設定をやり直す必要も、顔を登録し直す必要もありません。データも消えません。
条件が6つとも当てはまらないのに、毎日のようにパスコードを聞かれる場合は、次の確認に進んでください。
毎回求められるなら、顔のほうを疑ってみる
パスコードが必要な条件にあてはまらないのに、Face IDが何度も失敗する場合は、カメラ周りを確認してみてください。
- 画面上部のカメラ部分に、指紋の汚れやホコリがついていないか
- 画面保護フィルムがカメラの部分にかぶさっていないか
- ケースの縁が、カメラのセンサーを隠していないか
- 「設定」→「Face IDとパスコード」で、「Face IDを使用」の項目がオンになっているか
もし違う画面が出る場合は、iOSのバージョンによって項目名が少し違うことがあります。設定アプリ上部の検索窓に「Face ID」と入れてみてください。
メガネを新調した、髪型が大きく変わったといった場合は、「もうひとつの容姿をセットアップ」で新しい見た目も登録できます。
パスコードを忘れてしまったときは
いちばん困るのは、Face IDに頼り切ってパスコードを思い出せなくなったケースです。ここで焦って何度も入力すると、入力ミスが重なって一定時間ロックされてしまいます。
最近パスコードを変えたばかりの場合は、Appleの「新しいパスコードを忘れたときに古いパスコードを一時的に使う」というページが役に立ちます。変更から72時間以内であれば、古いパスコードで開ける仕組みです。
それ以外で完全に思い出せないときは、家族や自分のiPhoneでは対処できないため、iPhoneユーザガイドの案内に沿って、パソコンでのリカバリーなどの手順になります。この場合は端末の初期化が必要になることがあるため、バックアップの有無が大事です。
予防としては、パスコードを財布に入れず、家のノートの決まった場所にだけ控えておくのがおすすめです。月に一度、あえてパスコードで開ける習慣をつけておくと忘れにくくなります。
FAQ
再起動してもいないのにパスコードを求められるのはなぜですか?
48時間以上ロック解除していない、または6日半パスコードを使っていない場合でも求められます。ポケットの中で緊急SOSの画面が出たあとも同様です。
パスコードが必要になる条件は、設定で変えられますか?
これらの条件はAppleが決めている仕様で、利用者側で時間などを変更する設定はありません。盗難時の安全のための仕組みです。
パスコードを入力したら、Face IDの設定はやり直しですか?
やり直しは不要です。パスコードでロック解除したあとは、次回から通常どおりFace IDが使えます。顔の登録データも残ったままです。
マスクをしているとFace IDは使えませんか?
マスクだけでは認証が難しくなる場合があります。認証に5回失敗するとパスコード入力に切り替わるので、毎回気になるなら顔の再登録も検討してみてください。
参考文献
- 先進のFace IDテクノロジーについて — Apple サポート
- Temporarily use your old passcode when you forget your new passcode on iPhone or iPad — Apple サポート
- iPhoneユーザガイド — Apple サポート






