先月、ふと思い立ってスマホのストップウォッチで「仕事中に家事をした時間」を1週間記録してみた。洗濯物を取り込む、食洗機を回す、テーブルを拭く。どれも「ちょっとだけ」のつもりだったのに、1日の合計が42分。5日間で3時間半。数字を見た瞬間、さすがにこれはまずいと思った。
在宅勤務をしていると、洗濯機の終了音が聞こえる。シンクの食器が目に入る。花王「くらしの研究」の調査(2022年)でも、在宅勤務者は仕事の合間に洗濯・食器洗い・掃除機がけをしている人が多いという結果が出ている。大和ハウス工業の調査では「仕事とプライベートの切り替え」がテレワークの悩みトップ(63.9%)で、「家事・育児で仕事に専念できない」も35.7%にのぼっている。
我が家では結局、「計測→やらないことリスト→家事タイム3回固定」の3ステップを重ねて対処することに落ち着いた。週3.5時間あった家事中断が30分以下まで減ったので、同じ悩みを抱えている方に仕組みの作り方を共有します。
まず1週間、ストップウォッチで「家事中断」を測る
仕組みを入れる前に、現状を数字で把握するのが最短ルートです。
やり方は単純で、仕事中に家事を始めた瞬間にスマホのストップウォッチをスタートし、デスクに戻ったら止める。これを1週間続けるだけ。私の場合、初日は「今日は意識しているからそんなにやらないだろう」と思っていたのに、終わってみたら38分でした。2日目は45分。意識しても止められないのが「ちょっとだけ家事」の厄介なところで、意志力で解決しようとすること自体が間違いだと気づきました。
計測結果を夫に見せたら「俺もやってるかも」と言い出して、翌週は夫も計測に参加。夫は1日平均25分。数字があると、家族も「仕組みで止めよう」という話に持っていきやすいです。感覚ではなく数字で共有すると、夫婦の温度差がぐっと縮まります。
ToDoリストより「やらないことリスト」が効く理由
計測で現状を把握したあと、最初にやったのは「やらないことリスト」の作成です。
ToDoリストで家事を管理しようとしたこともあったけれど、やることが増えるだけで「つい手を出す」行動は止められませんでした。発想を逆にして、仕事時間中にやらない家事を具体的に書き出してみた。私の場合は4つ。
- 洗濯物干し(昼休みに回す)
- 食器洗い(夕方の家事タイムに回す)
- 掃除機がけ(ロボット掃除機のタイマーに任せる)
- 届いた荷物の開封(仕事終了後にまとめて開ける)
書き出した瞬間に「やらなくていい」という許可を自分に出せるようになります。在宅勤務中に家事が目に入ると「やらなきゃ」と焦るけれど、リストに「やらない」と明記してあると「あとでやる時間がちゃんとある」と割り切れる。罪悪感が消えたのがいちばん大きかったです。
全部やる必要はありません。自分がいちばん手を出しがちな家事を2〜3個書くだけで十分です。
家事タイムを朝・昼・夕の3回に固定する
「やらないことリスト」で仕事中の家事を禁止しても、家事自体がなくなるわけではないです。そこで、家事をやる時間帯を「朝の仕事前・昼休み・仕事終了後」の3回に固定しました。
リビングのホワイトボードに「家事タイム:7:30 / 12:00 / 18:00」と書いて、それ以外は家事に手を出さないルールにしています。長男(年中)が「今お仕事の時間でしょ」とホワイトボードを指さして教えてくれるようになったのは想定外の効果でした。子どもが外圧になるとは思わなかったけれど、実際にかなり効きます。
ポイントは、家事タイムの中身を決めすぎないこと。「昼休みに洗濯物を取り込む」くらいのゆるさで十分で、完璧にスケジュールを組むと3日で破綻します。「この3回で回せる分だけやる」と割り切ったら、仕事中に家事が気になる頻度がかなり減りました。
視界から家事を消すと仕組みの効果が跳ね上がる
計測、リスト、時間固定。この3つでだいぶ改善したものの、もうひと押しとして効いたのが「視界の遮断」です。
在宅勤務のデスクをキッチンが見える向きに置いていた時期は、シンクの食器が視界に入るたびに手が動きそうになっていました。デスクを壁向きに変えて、背中側にキッチンが来るレイアウトにしたら、それだけで仕事中に家事が気になる頻度がガクッと落ちた。個室がなくても、デスクの向きを変えるだけで集中環境は作れます。
仕組みを全部入れてから2週間後、改めてストップウォッチで計測してみました。1日の家事中断が平均6分。週30分以下に収まっていて、仕組みを1つだけ入れるより3つ重ねたほうが効果は跳ね上がると実感しました。夫にも同じ仕組みを渡したら案外うまくいって、夫婦ともに仕事中の「ちょっとだけ」がほぼゼロになっています。
うちの場合はこの組み合わせで落ち着いたけれど、家のつくりや家族構成で効くものは変わるかもしれません。まずストップウォッチの計測だけ試してみて、数字を見てから仕組みを選ぶのがおすすめです。
FAQ
ストップウォッチの計測は何日くらい続ければいい?
平日5日間で十分です。曜日によってばらつきがあるので、月〜金を通して測ると自分のパターンが見えてきます。会議が多い日は家事中断が少なく、ひとりの作業日のほうが多い傾向がありました。
「やらないことリスト」は何個くらい書けばいい?
2〜4個で十分です。自分が仕事中にいちばん手を出してしまう家事だけを書いてください。全部の家事を網羅しようとすると面倒になって続きません。
家事タイム3回で家事が回りきらない場合は?
朝・昼・夕の各15〜20分で洗濯・食器・簡単な片付けは回ります。足りない分は週末にまとめるか、ロボット掃除機や食洗機に任せると無理がなくなります。完璧に回す必要はなくて、「仕事中に中断しない」ことが最優先です。
パートナーにも同じ仕組みを使ってもらうコツは?
計測結果の数字を見せるのがいちばん効きます。「1日40分」「週3.5時間」という数字があると、仕組みを入れる動機が自然と生まれます。口頭で「仕事中に家事やめよう」と言うだけだと3日で忘れがちです。
参考文献
- 働き方でみる暮らしの実態調査 テレワークで変わる家事時間の使い方 — 花王 くらしの研究, 2022年
- コロナ禍により「新・名もなき家事」が発生 女性の7割が「増えた」と回答 — 大和ハウス工業, 2021年
- 令和6年度 テレワーク人口実態調査 調査結果 — 国土交通省, 2025年3月
- 第十回・テレワークに関する調査 — パーソル総合研究所, 2024年





