工房に常時7台のPCを並べて検証しているんですが、先日いつもの朝ルーティンで温度ログをチェックしていたら、1台だけCrystalDiskInfoの健康状態が「正常」から「注意」に変わっていたんですよね。前日まで何の問題もなかったのに、朝コーヒー入れている間に黄色い表示が目に飛び込んできて、さすがに焦りました。

すぐに外付けSSDへデータを全コピーして事なきを得たんですが、このとき痛感したのは「気づけたからよかった」ということ。SSDは突然死することもあるけれど、S.M.A.R.T.情報を日頃から見ていれば予兆を拾えるケースも多いんです。

CrystalDiskInfoを使ったSSDの健康チェック手順と、「注意」や「異常」が出たあとに自分が実際にやった対処を書いていきます。

SSDの寿命を決める「TBW」と「書き込み回数」

SSDにはHDDのような回転する部品がないぶん物理的には壊れにくい。ただし、内部のNANDフラッシュメモリには書き込み回数の上限があります。メーカーはこれをTBW(Total Bytes Written / 総書き込み量)という数値で公表していて、「このSSDには合計で何TBまで書き込めますよ」という耐久指標になっています。

たとえば一般的な1TB SSD(2026年6月時点)だと、TBWは600TB前後が多い。1日あたりの書き込みが30GBだとすると、単純計算で約55年もつ計算になるので、家庭用途なら書き込み上限より先にPCそのものが古くなります。

じゃあ何が問題なのか。ぶっちゃけ、TBW到達より先に壊れるケースのほうが現実的なんです。ファームウェアの不具合、コントローラの故障、電源の急な遮断による論理破損。PCショップ時代に持ち込まれたSSD故障のうち、TBWを使い切って壊れたものなんて1台も見たことがない。突然死か、S.M.A.R.T.が「注意」を出してから数週間で読み込みエラーが増えていくか、どちらかのパターンがほとんどでした。

だからこそ、S.M.A.R.T.情報を定期的にチェックする意味があるんですよね。

CrystalDiskInfoのインストールと画面の見方

CrystalDiskInfoは無料で使えるWindows向けのディスク診断ソフトで、2026年5月時点の最新版はバージョン9.9.1。公式サイト(Crystal Dew World)からダウンロードできます。

インストール版とポータブル版(ZIP解凍だけで使える)の2種類があって、自分は検証機ごとにポータブル版をUSBメモリに入れて持ち歩いています。インストール不要なので、他人のPCを診るときにも便利。

インストール手順

  1. 公式サイトのダウンロードページから「通常版」か「ポータブル版」を選ぶ
  2. 通常版ならインストーラを実行、ポータブル版ならZIPを任意フォルダに解凍
  3. DiskInfo64.exe(64bit版)をダブルクリックで起動

起動すると、接続されているSSD・HDDが自動で検出されて一覧表示されます。画面上部にドライブ名が並び、下にS.M.A.R.T.情報がずらっと出る。最初に見るべきは3つだけです。

まず見る3つの項目

1. 健康状態(画面左上の大きな表示)

青=正常、黄=注意、赤=異常。ここが青なら、とりあえず今すぐ壊れる心配は低い。

2. 温度

SSDの動作温度。NVMe SSDは負荷時に70度を超えることもありますが、アイドル時に50度以上ならエアフローを見直したほうがいいです(ちなみに自分のメイン機のNVMe SSDはヒートシンク付きでアイドル38度、負荷時58度あたり)。

3. 総書き込み量(ホスト書き込み量)

S.M.A.R.T.項目の中に「総書き込み量」や「ホスト書き込み量」という行がある。この数値とメーカー公表のTBWを見比べれば、書き込み寿命をどのくらい消費しているかが分かります。

15年やっててもS.M.A.R.T.の項目名はメーカーごとに微妙に違うので、「この項目って何だっけ」と毎回ググることになる。恥ずかしいけど、これは経験値の問題じゃなくて仕様がバラバラなだけなので、素直にメーカーの仕様書を当たるのが正解です。

「注意」「異常」が出たらまずやること

CrystalDiskInfoの健康状態が黄色の「注意」になったら、ドライブはまだ動いているけれど劣化が進んでいる状態です。「注意」が出る代表的な原因は以下の通り。

  • 残り寿命の低下: NANDの書き込み回数が閾値を下回った
  • 代替処理済みセクタの増加: 読み書きに失敗したセクタが代替領域に振り替えられた
  • CRCエラーの蓄積: データ転送時のエラーが増えた(ケーブル不良の可能性もある)

赤の「異常」はさらに深刻で、いつ読み込み不能になってもおかしくない。

ステップ1: 今すぐバックアップを取る

これが最優先。外付けSSDやクラウドに重要なデータをコピーしてください。「注意」から突然死までの猶予は読めない。自分が工房で経験したケースでは、「注意」が出てから2週間後にWindowsの起動が不安定になった。気づいた時点で即バックアップが鉄則です。

外付けSSDにコピーする場合、ケーブルの接触不良で認識しないトラブルがたまにあります。工房で外付けSSDを頻繁に使っていると、体感で3割くらいはケーブル交換で認識するようになるので、認識しなかったらまずケーブルを疑ってみてください。

ステップ2: S.M.A.R.T.の数値を記録する

CrystalDiskInfoの画面をスクリーンショットで保存しておく。メニューの「編集」→「コピー」でテキスト形式でもコピーできます。

数日後に再度確認して、悪化している項目があるかどうかを見ます。代替処理済みセクタが増え続けているなら交換を急いだほうがいい。数値が横ばいなら、しばらくモニタリングしながら交換用SSDを手配する余裕があります。

ステップ3: メーカー純正ツールでも確認する

SSDメーカーはそれぞれ純正の診断ツールを提供しています。

CrystalDiskInfoはメーカー問わず使える万能ツールですが、純正ツールのほうがファームウェア更新や詳細な診断機能を持っていることが多い。併用するのがベストです。

交換の判断基準とデータ移行

結局のところ、交換すべきかどうかの判断はこうなります。

すぐ交換したほうがいいケース:

  • 健康状態が「異常」(赤)になった
  • 「注意」が出て、代替処理済みセクタが日に日に増えている
  • Windowsの起動が不安定、ファイルの読み書きでエラーが出る
  • 使用時間が3万時間(約3.5年の常時稼働)を超えている

もう少し様子を見てもいいケース:

  • 「注意」だがS.M.A.R.T.の数値が安定している
  • 残り寿命が50%以上で、使用環境が変わっていない

交換するSSDの容量は、現在と同じか1ランク上を選ぶのが無難。2026年6月時点だと1TB NVMe SSDが8,000円前後、2TBでも15,000円前後で買えるので、容量不足に悩んでいたならついでにアップグレードするのも手です。

データ移行の2つの方法

方法1: クローン(丸ごとコピー)

Windowsの環境をそっくりそのまま新SSDに移す方法。Macrium Reflect Free(無料版)やSSDメーカー付属のクローンソフトを使います。OSの再インストール不要で楽だけど、既存の不具合も一緒に引き継ぐリスクがある。

方法2: クリーンインストール

Windows 11を新規インストールして、データだけ外付けSSDから戻す方法。手間はかかるけれど環境がきれいになる。自分は妻のノートPCのSSD換装のときはクリーンインストールを選びました。5年分の不要ファイルやレジストリのゴミが一掃されて、体感速度が別物になったので。

壊れる前にやっておく日常の習慣

CrystalDiskInfoには常駐機能があります。タスクトレイに温度と健康状態を表示し続けてくれるので、普段は意識せずとも異変があれば気づける。設定方法は「機能」→「常駐」→「起動時に常駐」にチェックを入れるだけ。

もうひとつ、CrystalDiskInfoの「機能」→「通知設定」で、健康状態が変化したときにメール通知を飛ばすこともできます。.NET Framework 4.8以降が必要ですが、複数台のPCを管理している場合はかなり助かる機能です。

バックアップも定期的に。WindowsならOneDriveの自動同期で書類と写真を常時クラウドに上げておいて、大容量のデータは月1回外付けSSDに手動コピーする運用が現実的です。自分の工房では検証機の入れ替え時にも外付けSSDでデータを移すルーティンが定着していて、この「物理SSD+クラウドの二段構え」が結局いちばん確実だと実感しています。

FAQ

CrystalDiskInfoの「注意」はすぐ壊れるという意味?

すぐ壊れるとは限りません。ただし劣化が進んでいるサインなので、バックアップを最優先で取り、S.M.A.R.T.の数値が悪化していないか数日おきに確認してください。数値が増え続けているなら早めの交換が安全です。

NVMe SSDとSATA SSDで確認方法は違う?

CrystalDiskInfoはどちらも対応しています。ただしNVMe SSDの場合、Windows 10以降(Server 2016以降)でないとS.M.A.R.T.情報を取得できないことがあります。また、S.M.A.R.T.の項目名がNVMeとSATAで異なるため、メーカーの仕様書で項目の意味を確認するのが確実です。

外付けSSDの健康状態もCrystalDiskInfoで確認できる?

USB接続のSSDは一部のみ対応です。USB-SATA変換チップの種類によってはS.M.A.R.T.情報を読み取れないことがあります。対応チップの一覧はCrystalDiskInfo公式の対応リストで確認できます。

MacでもCrystalDiskInfoは使える?

CrystalDiskInfoはWindows専用です。Macの場合は「ディスクユーティリティ」でS.M.A.R.T.ステータスを確認するか、DriveDx(有料)などのサードパーティツールを使ってください。

参考文献