自分の自作機(SATA SSD搭載)で、数秒だけ画面がカクッと止まって、すぐ何事もなかったように戻る症状が続いた時期がある。ブルースクリーンは出ない。PCも落ちない。ただ数秒だけ、操作を受け付けなくなる。結局あのときは電源オプションの「AHCI Link Power Management」をActiveに変えたら完全に直った。SSDの省電力機能が復帰するとき一瞬固まっていたのが原因だったんですよね。
PCショップ時代にも「たまに一瞬止まるんですけど」という相談はけっこう多くて、ブルースクリーンが出るわけでもなく完全に固まるわけでもないから放置する人がほとんどだった。でも放置して悪化してから持ち込まれるケースも何度か見ている。
Windows 11 24H2では特にGPUドライバまわりのプチフリーズ報告が増えていて、2026年6月時点で対処法がかなり固まってきた。原因は「ストレージの省電力」「GPUドライバ」「特定ドライバのDPCレイテンシ」の3方向に集約されるので、それぞれの見つけ方と潰し方を書いていく。
まず犯人を特定する:LatencyMonとタスクマネージャー
プチフリーズが起きたとき、いきなり設定を変えるのはおすすめしない。原因が違えば対処も違う。
LatencyMon(Resplendence Softwareから無料ダウンロード可能)を起動して、プチフリーズが起きる状態で数分間計測する。DPC(Deferred Procedure Call)の処理に時間がかかっているドライバが一覧表示されるので、どいつが遅延を起こしているか一目でわかるんです。
よく犯人として名前が挙がるのはこのあたり。
- storport.sys / storahci.sys:ストレージ関連。SSDの省電力機能(LPM)が原因の可能性が高い
- dxgkrnl.sys:DirectXグラフィックスカーネル。GPUドライバとの相性問題
- nvlddmkm.sys:NVIDIAのGPUドライバ本体
- USBPORT.sys / USBXHCI.sys:USBコントローラーの省電力設定
LatencyMonを入れるほどではないという人は、タスクマネージャーのパフォーマンスタブでディスク使用率を眺めるだけでもヒントにはなる。プチフリーズのタイミングでディスク使用率が一瞬跳ね上がっていたらストレージ側、GPU使用率が不安定ならドライバ側、と大まかに方向がつかめる。
SSD省電力(LPM)が原因のとき
SATA SSD搭載のPCでプチフリーズが出ていて、LatencyMonで storahci.sys が上位に来ていたらまずこれを疑う。自分もこのパターンだった。
LPM(Link Power Management)はSATAインターフェースの省電力機能で、I/Oがないときにリンクをスリープ状態にする仕組み。問題は復帰のタイミングで、一部のSSDコントローラーが復帰に数百ミリ秒から数秒かかることがあり、この間PCが固まったように見えるんですよね。
電源オプションでLPMを無効にする手順。
- Windowsキー + R →
powercfg.cplと入力してEnter - 使用中のプランの「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」を開く
- 「ハード ディスク」→「AHCI Link Power Management - HIPM/DIPM」を探す
- 設定を Active に変更する(HIPM・DIPMどちらも無効化される)
この項目が表示されない場合は、レジストリで追加する必要がある。レジストリエディタで HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\storahci\Parameters\Device を開き、NoLPM(DWORD値、データ1)を新規作成してPCを再起動する(参考:Microsoft Learn: Link Power Management)。
ちなみにNVMe SSDの場合、LPMはSATAの仕様なので関係ない。NVMeのプチフリーズはファームウェアの不具合やドライバの問題が主な原因で、SSDメーカーの公式サイトで最新ファームを確認するのが先になる。
GPUドライバが原因のとき
Windows 11 24H2ではDWM(Desktop Window Manager)の描画処理が変更されていて、GPUドライバとの相性問題でプチフリーズが起きるケースが2026年に入って増えている。LatencyMonで dxgkrnl.sys や nvlddmkm.sys がトップに来ていたらこっちが本命。
自分の工房の検証機でも24H2アップデート後にChrome系アプリの画面がちらつく症状が出て、結局MPO(マルチプレーンオーバーレイ)を無効にするレジストリ設定で直したことがある。プチフリーズも同じ系統の問題で出ることがあるので、対処の順番を書いておく。
- GPUドライバをDDUでクリーンインストール:セーフモードでDDU(Display Driver Uninstaller)を実行し、旧ドライバを完全に削除してから最新のWHQLドライバを入れ直す
- 「ウィンドウ ゲームの最適化」をオフ:設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック → 「ウィンドウ ゲームの最適化」をオフにして再起動
- MPO無効化(最終手段):レジストリエディタで
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\DwmにOverlayTestMode(DWORD値、データ5)を作成して再起動。公式サポート外の手順なので復元ポイントを先に作っておくこと
ぶっちゃけ、GPU載せ替えやWindows大型アップデートのあとは毎回DDUを通すのが結局は近道だったりする。面倒でも、これをサボるとドライバの残骸が悪さをする。15年やっててもこの手順だけは省略しないようにしている。
それでも直らないときに確認するポイント
ストレージもGPUも問題なさそう、あるいはLatencyMonで別のドライバが犯人に出てきた場合に確認してほしい項目がいくつかある。
VBS(仮想化ベースのセキュリティ)/ メモリ整合性:Windowsセキュリティ → デバイスセキュリティ → コア分離 → メモリ整合性をオフにして再起動する。24H2ではデフォルトでオンになっているPCが多く、一部のドライバと衝突してプチフリーズを引き起こすことがある。セキュリティとのトレードオフになるので、改善したかどうか確認してから有効に戻すかを判断してほしい。
USBセレクティブサスペンド:デバイスマネージャー → USBルートハブのプロパティ → 電源の管理タブで「このデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外す。USB機器の認識が一瞬途切れてプチフリーズに見えるケースがある。自分もゲーム中にコントローラーが切断される症状でこれに当たったことがあって、電源管理をオフにしたら完全に解消した。
タスクスケジューラの確認:2026年1月のKB5074109以降、一部の古いPC環境でタスクスケジューラの「Microsoft\Windows\PI\Secure-Boot-Update」タスクが原因で起動5分後にフリーズする不具合が報告されている。該当する場合はタスクスケジューラから当該タスクを無効にすることで回避できる。
FAQ
プチフリーズと完全フリーズはどう違うのですか?
プチフリーズは数秒だけ操作が止まり、そのまま自動で復帰します。完全フリーズはPC全体が応答しなくなり、強制終了が必要になります。原因も対処法も異なるので、まず症状がどちらなのか確認してください。完全フリーズの対処法はこちらの記事にまとめています。
NVMe SSDでもプチフリーズは起きますか?
起きます。ただしLPM(AHCI Link Power Management)はSATA専用の仕様なので、NVMe SSDの場合はファームウェア不具合やドライバの問題が主な原因です。SSDメーカーの公式サイトで最新ファームウェアを確認してください。
LatencyMonの数値がどのくらいだと問題ですか?
DPCレイテンシが1,000マイクロ秒(1ms)を超える頻度が高い場合、体感でプチフリーズとして感じるレベルです。音楽制作やゲーム用途では500マイクロ秒以下が推奨されています。
ゲーム中だけプチフリーズが起きます。通常操作では問題ありません
ゲーム中だけ発生する場合はGPUドライバの可能性が高いです。DDUでクリーンインストールを試すか、ゲーム側のグラフィック設定でVSync(垂直同期)をオフにして変化があるか確認してみてください。24H2の「ウィンドウ ゲームの最適化」もオフにする価値があります。
参考文献
- Link power management mode - HIPM/DIPM — Microsoft Learn
- LatencyMon: suitability checker for real-time audio and other tasks — Resplendence Software
- Fix for random system stutters on Windows 11 24H2 — Microsoft Community Hub
- PCが約5分でフリーズする不具合。一部の古いPCで発生 — ニッチなPCゲーマーの環境構築Z






