先日、自分のメイン機(RTX 4070 Super)にNVIDIA公式サイトから最新ドライバを手動インストールしたのに、翌週には画面がちらつき始めた。デバイスマネージャーを開いてみたら、ドライバのバージョンが古いものに巻き戻っている。犯人はWindows Updateだった。
2026年5月、Microsoftはこの問題を公式に認めている。Windows Updateが手動インストールしたGPUドライバを、OEM承認済みの古いバージョンで上書きしてしまう不具合だ。根本修正は2026年末から2027年初頭の予定とされているが、それまで待っていられない人のために、DDUでのクリーンインストールと再発防止策を実機検証ベースで書いておく。
なぜWindows UpdateがGPUドライバを古いバージョンに戻すのか
原因は、Windowsのドライバランク付けアルゴリズムにある。Windows Updateは、PCメーカー(OEM)が承認したドライバを「必須の更新」として配布することがあるんだけど、このOEM承認ドライバのバージョンが、NVIDIAやAMDの公式サイトで配布されている最新版より古い場合がある。
ざっくり言うと、こういう流れになる。
- ユーザーがNVIDIA/AMD公式サイトから最新ドライバ(例: バージョン576.xx)を手動インストール
- Windows Updateが「必須の更新」としてOEM承認ドライバ(例: バージョン553.xx)を検出
- Windows側のランク付けルールで「必須の更新」が優先され、古いバージョンで上書き
PCショップ時代にも、「ドライバ更新したはずなのにまたおかしくなった」という持ち込みが定期的にあった。当時は原因がわからず、とりあえず再インストールして帰してしまっていたケースもあったと思う。今になって振り返ると、あれもWindows Updateの巻き戻しだった可能性が高い。
windowslatest.comの2026年5月13日の報道によると、Microsoftは新しいドライバターゲティングポリシー(CHID: Computer Hardware IDによる絞り込み)を2026年4月〜9月の期間で試験運用中。本格展開は2026年第4四半期から2027年第1四半期を予定している。ただし、既存の公開済みドライバには従来のポリシーが適用され続けるため、しばらくはユーザー側で対策が必要になる。
まずドライバが巻き戻っているか確認する
画面のちらつきやカクつきが出たとき、ドライバが勝手に変わっていないかを見るのはそんなに難しくない。
- Windowsキー + X →「デバイスマネージャー」を開く
- 「ディスプレイ アダプター」を展開し、GPUを右クリック →「プロパティ」
- 「ドライバー」タブでドライバーのバージョンと日付を確認
自分が手動でインストールした日付やバージョンと食い違っていたら、Windows Updateに巻き戻されている。NVIDIAの場合、タスクバーの通知領域にある「NVIDIA設定」アイコンを右クリック →「システム情報」でもドライババージョンを確認できる。
DDUクリーンインストールで正しいドライバに戻す
ドライバが巻き戻されていた場合、上書きインストールだけでは古いファイルやレジストリが残って不安定になることがある。自分はGPU載せ替え時や、ドライバトラブルのときは毎回DDU(Display Driver Uninstaller)を通すようにしている。面倒だけど、結局これが一番確実なんですよね。
事前準備
- 新しいドライバを先にダウンロードしておく。NVIDIA公式ドライバダウンロードまたはAMD公式サポートから最新版を取得して、デスクトップに保存
- DDU公式サイト(Wagnardsoft)からDDU最新版(2026年6月時点: v18.1.5.4)をダウンロードし、展開しておく
- 復元ポイントを作成する。「ファイル名を指定して実行」(Win+R)→
sysdm.cpl→「システムの保護」タブ →「作成」。15年やっていても、レジストリやドライバをいじる前の復元ポイントだけは毎回作る
セーフモードでDDUを実行
- Windowsキー + I →「システム」→「回復」→「今すぐ再起動」(詳細な起動オプション)
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」
- 再起動後の画面で 4キー(セーフモードを有効にする)を押す
- セーフモードで起動したら、展開済みのDDUフォルダから
Display Driver Uninstaller.exeを実行 - 右側のドロップダウンで「GPU」を選択、次にGPUメーカー(NVIDIA / AMD / Intel)を選択
- 「Clean and Restart」をクリック
DDUがドライバ、レジストリ、残存ファイルを一掃して自動的に再起動される。再起動後はWindowsの汎用ドライバで低解像度表示になるけど、慌てなくて大丈夫。
新しいドライバをインストール
デスクトップに保存しておいたドライバインストーラーを実行する。NVIDIAの場合、DDU後なら「エクスプレスインストール」で問題ない。旧ドライバのプロファイルはDDUで消えているので、実質クリーンインストールと同じ状態になる。
Windows Updateによる再ダウングレードを防ぐ設定
DDUで入れ直しても、Windows Updateの自動更新が有効なままだと再び巻き戻される。根本修正がMicrosoftから配信されるまでは、ドライバの自動更新を止めておくのが現実的な対処になる。
方法1: デバイスのインストール設定を変更する(全エディション共通)
- Windowsキー + S で検索を開き、「デバイスのインストール設定」と入力して開く
- 「いいえ(デバイスが適切に機能しない可能性があります)」を選択
- 「変更の保存」をクリック
これでWindows UpdateがGPUドライバを自動で差し替えなくなる。ただし、GPU以外のドライバ(チップセット、ネットワーク、オーディオなど)も自動更新されなくなるので、Microsoft Update カタログから手動で確認する必要が出てくる点は覚えておいてほしい。
方法2: グループポリシーで制御する(Pro / Enterprise)
Windows 11 Proエディション以上を使っている場合、より細かい制御ができる。
- Win + R →
gpedit.mscと入力してグループポリシーエディターを開く - 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「Windows Update」→「Windows Updateから提供される更新プログラムの管理」
- 「Windows Updateからドライバーを除外する」を「有効」に設定
こちらはドライバだけをWindows Updateから除外できるので、Homeエディションの「デバイスのインストール設定」よりも狭い範囲で制御できる。自分の工房ではPro機にはこちらを使っている。
Microsoftの根本修正(CHIDターゲティング)はいつ来るのか
Microsoftが2026年5月に発表した新しいドライバ配信ポリシー、かいつまむとこういう話になる。
- 新規のディスプレイドライバ申請では、2部構成のハードウェアID(HWID)に加えてCHID(Computer Hardware ID)を使った絞り込みが必須になる
- これにより、特定のPC構成に対してのみドライバが配信されるようになり、「別の構成向けの古いドライバが意図せずインストールされる」事態が減る
- 試験運用期間: 2026年4月〜9月
- 本格適用: 2026年第4四半期〜2027年第1四半期
注意点として、この修正は新規デバイス向けの新規ドライバ申請が対象になっている。既存のドライバや既存デバイスには従来のポリシーが適用され続けるとMicrosoftは明言しているので、今使っているPCで問題が解消されるかは保証されていない。当面は「デバイスのインストール設定」の変更で自衛するのが確実だろう。
FAQ
DDUはセーフモード以外で実行しても大丈夫?
通常のWindows上でも動作するが、セーフモードのほうがドライバファイルのロックが解除されるため、完全に削除しきれる。GPUドライバのトラブルで使う以上、セーフモード実行を推奨する。
「デバイスのインストール設定」をオフにするとセキュリティ更新も止まる?
止まらない。この設定はデバイスドライバの自動インストールだけを制御するもので、Windows Updateのセキュリティパッチや品質更新プログラムは引き続き配信される。
AMD GPUでも同じ問題は起きる?
起きる。Microsoftが認めた問題はNVIDIA / AMD / Intel共通のWindows Updateのドライバランク付けアルゴリズムに起因しているため、GPUメーカーに関係なく発生する可能性がある。DDUもAMD / Intelに対応している。
ドライバの自動更新をオフにしたら、GPU以外のドライバが古いまま放置されない?
「デバイスのインストール設定」で止めた場合、GPU以外のドライバも自動更新されなくなる。チップセットやネットワーク関連はメーカー公式サイトやMicrosoft Update カタログで手動確認が必要になる。Proエディション以上ならグループポリシーでドライバだけを除外する方法が使える。
参考文献
- Microsoft confirms Windows 11 has been downgrading graphics drivers, reveals when a fix is coming — windowslatest.com, 2026年5月13日
- Windows 11、最新GPUドライバーを古い版に戻す問題 Microsoftが対策へ — マイナビニュース, 2026年5月15日
- Display Driver Uninstaller (DDU) — Official Download — Wagnardsoft
- Windows Update Rolling Back Graphics Driver to a Previous Version — Intel Support
- グラフィックドライバーがWindows Updateで勝手に古いバージョンに戻ってしまう — Microsoft Q&A






