設定アプリの「電源モード」を開いたら、ドロップダウンが灰色で触れない。しかも「高パフォーマンス電源設定を使用している場合は、電源モードを設定できません」といった趣旨のメッセージが出ている。2026年10月時点でも、この文面で検索している人が一定数いる。

原因は「電源プラン」がバランス以外になっていることで、バランスに戻せば電源モードは選べるようになる。ただし、戻す前に決めておくことが1つある。

灰色になる理由は、電源プランと電源モードが別の仕組みだから

前に、工房の検証機にWindows 11 24H2をクリーンインストールしたとき、電源プランの画面が見つからなくて15分ほど迷ったことがある。そのとき痛感したのが、Windows 11の電源まわりは入口が2つに分かれている点だった。

ASUSのサポートページは、電源モードを「バッテリー駆動時間重視・パフォーマンス重視・その中間」から選ぶ設定、電源プランを「PCの電力の使い方を管理する設定の集まり」と説明している(ASUS 電源モードおよび電源プランの変更に関して)。つまり別物だ。

Microsoft Learnのpowercfgの解説には「オーバーレイ スキーム」という概念が出てくる。パフォーマンスと節電のトレードオフに影響する設定だけを上書きする仕組みで、設定アプリのスライダーはこのオーバーレイ側の操作にあたる(Microsoft Learn Powercfg のコマンド ライン オプション)。

ここから先は筆者の読み解きになる。コントロールパネルやpowercfgで「高パフォーマンス」「究極のパフォーマンス」など標準のバランス以外のプランを選んだ状態だと、重ねるはずの電源モードが意味を持たなくなり、設定アプリ側が選択をロックする。メッセージの文面とも辻褄が合う。ただ、Microsoftの公式ドキュメントでこのロック条件を明記したページは、今回調べた範囲では見つけられなかった。

いまどのプランが有効か、まず確かめる

手順に入る前に、現状の確認から。ここを飛ばして「バランスに戻す」と書いてある手順だけ実行すると、元の設定が何だったかわからなくなる。

スタートボタンを右クリックして「ターミナル」(または「Windows PowerShell」)を開き、次のコマンドを実行する。管理者権限は要らない。

powercfg /getactivescheme
powercfg /list

1行目が、いま有効なプランの名前とGUID(長い英数字の識別子)を返す。2行目は、PCに入っているプラン全部の一覧で、有効なものに「*」が付く。ここが「高パフォーマンス」や「究極のパフォーマンス」だったら、灰色の原因はほぼ確定だ。

プラン名がメーカー独自のもの(メーカー名が付いた見慣れないプラン名)になっている場合もある。それも標準のバランスではないので、同じ理由で電源モードがロックされることがあると考えられる。

念のため、いまのGUIDをメモ帳に控えておくといい。元に戻したくなったとき、このGUIDが手元にないと調べ直しになる。

バランスに戻して、電源モードを選べるようにする手順

方法は2通りある。マウスで済ませたいならコントロールパネル、コマンドに抵抗がなければpowercfgが速い。

コントロールパネルから戻す

Windowsキー + R で「ファイル名を指定して実行」を開き、control powercfg.cpl と入力してEnter。電源オプションが開くので、「バランス」にチェックを入れる。「追加プランの表示」が折りたたまれていて、バランスしか見えないこともあるが、それは問題ない。バランスさえ選べればいい。

powercfgで戻す

Microsoft Learnのpowercfg解説では、標準のバランスのGUIDは 381b4222-f694-41f0-9685-ff5bb260df2e として例示されている。次のコマンドで切り替える。

powercfg /setactive 381b4222-f694-41f0-9685-ff5bb260df2e

実行後、もう一度 powercfg /getactivescheme を打って、名前が「バランス」になっていれば成功。設定アプリの「システム」→「電源とバッテリー」(デスクトップでは「電源」)を開き直し、電源モードのドロップダウンが選べるか確かめる。

開き直しは意外と大事で、設定アプリを開いたままだと灰色の表示が残ることがある。いったん閉じて開く。

これで電源モードを「最高のパフォーマンス」にすれば、高パフォーマンスのプランに近い効きを、設定アプリの範囲で得られる。細かい動作はプランとモードで違うので、完全に同じとは言わない。

戻さないほうがいい人もいる

戻す前に決めておくこと、というのがこれだ。高パフォーマンス系のプランには、設定アプリの電源モードでは触れない項目がある。たとえばUSBのセレクティブサスペンドや、ストレージの省電力設定をプラン側で調整している人は、バランスに戻すと、その調整が消える(別のプランとして保存されているだけなので、再び選べば元に戻る)。

工房では、検証機の電源プランをpowercfgで高パフォーマンス系に揃えている。省電力が原因のプチフリーズやUSB切断を避けたいからだ。その代わり、設定アプリの電源モードは触らない運用にしている。灰色のまま放っておいて、実害は出ていない。

読者の状況ごとに、判断を分けるとこうなる。

状況おすすめ
プランを自分で意識して選んだ覚えがないバランスに戻して、電源モードで調整する
デスクトップで、USBやストレージの省電力を切るために高パフォーマンスにしているそのまま。灰色でも困らない
ノートPCで、バッテリー持ちを気にしているバランスに戻して、電源モードを使い分ける
メーカー独自のプランが有効メーカーのユーティリティ側で切り替える(下で解説)

灰色を直すこと自体が目的ではなく、「どう動いてほしいか」が目的のはずだ。そこを間違えると、わざわざ設定を崩しに行くことになる。

戻してもすぐ灰色に戻る、またはバランスが選べないとき

戻したのに、しばらくするとまた別のプランに変わっている。こういうときは、プランを勝手に切り替えているものが別にいる。

疑う順番は、メーカー製のユーティリティ、ゲーム用のランチャー、省電力や冷却を制御する常駐ソフトだ。ノートPCだと、メーカーのユーティリティが「パフォーマンスモード」のような名前でプランを書き換えることがある。この場合は、Windowsの設定より、ユーティリティ側のモードが優先されると見るべきだ。PCショップ時代に、設定を直したのに翌日また戻っていると相談に来た客がいたが、犯人はこのタイプだった。

プランが一覧に「バランス」ごと無い場合は、powercfg /duplicatescheme 381b4222-f694-41f0-9685-ff5bb260df2e で複製できる。ただし、電源プランの表示そのものが標準と違うときは、電源プランの変更画面が見つからないときの記事に手順を書いてある。そちらを先に見てほしい。

ノートPCでスリープ周りの動作が気になる場合は、Modern Standby(常時接続待機)対応機種かどうかでも事情が変わる。Microsoftのコミュニティ回答では、Modern Standby対応機種はバランスのプランしか使えないと説明されているが、機種ごとの差が大きいので、自分のPCがどうかは powercfg /a で確認するのが早い。

この部分は、筆者もすべての機種では検証できていない。手元で再現できなかった組み合わせは、メーカーのサポートに聞くのが確実だ。

FAQ

電源モードが灰色のままでも、パフォーマンスは落ちますか?

落ちるとは限りません。高パフォーマンス系のプランが有効なら、すでにパフォーマンス寄りの設定で動いています。灰色なのは、設定アプリからのモード切り替えができないだけです。

究極のパフォーマンスを使っていても、同じメッセージが出ますか?

標準のバランス以外のプランが有効であれば、同様にロックされると考えられます。ただし、メッセージの文面は機種やバージョンで違う可能性があります。確実なのは、powercfg /getactivescheme でプラン名を見ることです。

バランスに戻したら、前の高パフォーマンスの設定は消えますか?

消えません。プランの切り替えは、有効なものを変えるだけです。powercfg /list に残っている限り、いつでも /setactive で戻せます。

Windows 10でも同じ手順で直りますか?

Windows 10では、電源モードはバッテリーアイコンのスライダーで操作します。画面が違うため、この記事の手順は11を前提にしています。10での挙動は、今回は確かめていません。

コマンドを使うのが怖いのですが?

コントロールパネルの電源オプションで「バランス」にチェックを入れるだけで、同じ状態になります。コマンドは不要です。

参考文献