リモートワーク中に「VPNに繋がらない!」と焦った経験、ありませんか? 2026年2月現在、在宅勤務が定着した一方で、会社のVPN接続トラブルはいまだに頻発しています。Xでも「朝からVPNが繋がらなくてSlackが鳴り止まない」「私も繋がらない」といった悲鳴がたびたび話題になるほどです。

この記事では、会社のVPN(仮想プライベートネットワーク)に接続できないときに考えられる7つの原因と、情シスに連絡する前に自分でできる対処法をわかりやすく解説します。Windows 11ユーザー向けの手順を中心にまとめていますが、Windows 10でも共通する内容が多いので参考にしてください。

そもそもVPN接続の仕組みをざっくり理解しよう

対処法に入る前に、VPNの仕組みをざっくり知っておくと原因の切り分けがラクになります。

VPN(Virtual Private Network)は、インターネットを経由して会社のネットワークに「トンネル」を掘るような技術です。自宅のPCから会社のVPNサーバーまで暗号化されたトンネルを通ることで、カフェや自宅からでも社内と同じようにファイルサーバーや業務システムにアクセスできます。

つまり、VPN接続が失敗するときは「トンネルの入口(自宅のネット環境)」「トンネルそのもの(VPN設定・プロトコル)」「トンネルの出口(会社のVPNサーバー)」のどこかに問題があるということ。これを頭に入れておくと、以下の原因がスッと理解できます。

原因1:そもそもインターネットに繋がっていない

意外と多いのがこれ。VPNの前に、インターネット自体に接続できているかを確認しましょう。

Wi-Fiアイコンに「!」マークが出ていたり、ブラウザでGoogleが開けない状態なら、VPN以前の問題です。

対処法:

  • Wi-Fiを一度オフにして再度オンにする
  • ルーター・モデムの電源を抜いて30秒待ってから再起動する
  • 有線LANが使えるならケーブルで直接つないでみる
  • スマホのテザリングで接続できるか試す(回線側の問題かPC側の問題かを切り分けられる)

原因2:VPNのユーザー名・パスワードが間違っている

NURO Bizの解説記事によると、VPN接続トラブルの中でも認証情報の入力ミスはかなりの割合を占めます。

「昨日まで繋がっていたのに急に接続できない」という場合は、パスワードの有効期限切れが原因であることも。会社のセキュリティポリシーで90日ごとにパスワード変更を求められるケースは多いです。

対処法:

  • ユーザー名・パスワードを再入力する(コピペ時の余計なスペースにも注意)
  • Caps Lockがオンになっていないか確認する
  • パスワードの有効期限を情シスに確認する
  • 多要素認証(MFA)を使っている場合、認証アプリの時刻がズレていないかチェックする

原因3:セキュリティソフト・ファイアウォールがVPNをブロックしている

ウイルス対策ソフトやWindowsファイアウォールが、VPN通信を「怪しい通信」としてブロックしていることがあります。特にセキュリティソフトのアップデート直後に発生しやすいトラブルです。

対処法:

  • 一時的にセキュリティソフトを無効にしてVPN接続を試す(接続できたら原因確定)
  • Windowsファイアウォールの設定で「許可されたアプリ」にVPNクライアントを追加する
  • 手順:設定 → プライバシーとセキュリティ → Windows セキュリティ → ファイアウォールとネットワーク保護 → ファイアウォールによるアプリケーションの許可からVPNアプリを追加する

※セキュリティソフトを無効にしたまま業務を続けるのは危険です。原因が特定できたら、VPNアプリを例外リストに登録して、セキュリティソフトは必ず有効に戻しましょう。

原因4:Windows Updateの後にVPNが壊れた

Windows 11では、アップデート後にVPN接続が動かなくなる不具合がたびたび報告されています。2025年にはKB5026372のアップデート後にL2TP/IPsec方式のVPNが接続不能になる問題が話題になりました。2025年末〜2026年にかけても、24H2・25H2環境でWSL利用時にVPN接続ができなくなる不具合が報告されています。

対処法:

  • 直近のWindows Updateを確認する(設定 → Windows Update → 更新の履歴)
  • 問題が出始めた時期と一致するアップデートがあれば、一時的にアンインストールする(設定 → Windows Update → 更新の履歴 → 更新プログラムをアンインストールする)
  • Microsoftの公式トラブルシューティングガイドで既知の問題を確認する

原因5:IPアドレスが会社のネットワークと衝突している

これは在宅勤務で起きやすいトラブルです。自宅のルーターが割り当てるIPアドレスの範囲(例: 192.168.1.x)が、会社のネットワークと同じ範囲になっていると、VPN接続後にどちらのネットワークにアクセスすべきかPCが混乱して通信できなくなります。

対処法:

  • 自宅ルーターの管理画面にログインして、LAN側のIPアドレス範囲を変更する(例: 192.168.1.x → 192.168.50.x)
  • ルーターの管理画面は多くの場合、ブラウザで「192.168.1.1」や「192.168.0.1」にアクセスすると開ける
  • 変更方法がわからない場合は、ルーターのメーカーサポートページで型番を検索して確認する

原因6:VPNプロトコルの設定が合っていない

VPNにはいくつかのプロトコル(通信方式)があります。代表的なものはL2TP/IPsec、IKEv2、OpenVPN、WireGuard、SSTPなど。会社が指定するプロトコルと自分のPCの設定がズレていると接続できません。

特にWindows 11では、L2TP/IPsec接続時にレジストリの設定変更が必要になるケースがあります。ドットワン合同会社のガイドによれば、「AssumeUDPEncapsulationContextOnSendRule」というレジストリ値の追加が解決策になることがあります。

対処法:

  • 情シスに「どのVPNプロトコルを使っているか」を確認する
  • Windows 11の組み込みVPN設定の場合:設定 → ネットワークとインターネット → VPN で、VPN接続のプロパティを開いてプロトコルを確認する
  • 会社指定のVPNクライアントソフト(Cisco AnyConnect、GlobalProtectなど)を使っている場合は、最新版にアップデートする

原因7:会社のVPNサーバー側に障害が起きている

自分のPCに問題がない場合、会社側のVPNサーバーに障害が起きている可能性があります。全社的にVPN接続できない状態になっていることも。冒頭で紹介したXの投稿「朝からVPNが繋がらなくてSlackが鳴り止まない」もまさにこのパターンでした。

対処法:

  • 同僚にも繋がらないか確認する(自分だけの問題かサーバー側の問題かを切り分ける)
  • 社内のSlackやTeamsで障害情報が出ていないか確認する
  • 情シス部門に問い合わせる
  • サーバー復旧まで待つ間、テザリングやモバイルからアクセス可能な業務を先に進める

それでもダメなときの最終手段3つ

上記の7つを試しても解決しない場合は、以下の方法を試してみてください。

WANミニポートドライバーの再インストール

EasyTweaksの解説によると、Windows 11のVPN不具合の多くはWANミニポートのネットワークアダプターが原因です。デバイスマネージャーから「ネットワーク アダプター」を展開し、「WAN Miniport」で始まるアダプターをすべてアンインストール → PC再起動で自動再インストールされます。

ネットワーク設定のリセット

設定 → ネットワークとインターネット → ネットワークの詳細設定 → ネットワークのリセットを実行すると、すべてのネットワークアダプターが再インストールされます。ただしVPN設定も消えるので、再設定が必要になる点に注意です。

情シスへの連絡時に伝えるべき情報

自分で解決できない場合は情シスに連絡しましょう。その際、以下の情報を伝えるとスムーズです。

  • いつから繋がらないか(日時)
  • エラーメッセージの内容(スクリーンショットがベスト)
  • 直前にやった操作(Windows Update、セキュリティソフトの更新など)
  • 自宅のインターネット接続は正常か
  • 同僚も同じ状況かどうか

FAQ

VPNに繋がらないとき、まず何をすればいいですか?

まずインターネット接続を確認しましょう。ブラウザでWebサイトが開ければネットは正常です。次にVPNクライアントの再起動、ユーザー名・パスワードの再入力を試してください。それでもダメなら同僚にも確認し、サーバー側の問題かどうかを切り分けましょう。

Windows Updateの後にVPNが使えなくなりました。元に戻せますか?

はい。設定 → Windows Update → 更新の履歴 → 更新プログラムをアンインストールする、から直近のアップデートを削除できます。ただし、セキュリティ更新を削除するとリスクがあるため、情シスに相談してから実施するのがおすすめです。

自宅のWi-Fiだと繋がらないのに、スマホのテザリングだと繋がります。なぜ?

自宅のルーターがVPN通信に必要なポート(UDP 500、UDP 4500など)をブロックしている可能性があります。また、自宅のIPアドレス範囲が会社と衝突しているケースも考えられます。ルーターの設定確認やIPアドレス範囲の変更を試してみてください。

会社のVPNが遅くて仕事にならないときはどうすればいい?

VPNサーバーに多くの人が同時接続していると遅くなります。業務開始時間をずらす、大きなファイルのダウンロードはVPN経由を避けてクラウドストレージを使うなどで改善することがあります。根本的にはVPNサーバーの増強が必要なので、情シスに相談しましょう。

参考文献