「新NISAで投資を始めたけど、含み損が出てる…確定申告で何とかならないの?」そんなモヤモヤを抱えていませんか?
結論から言うと、NISA口座の損失は確定申告しても意味がありません。特定口座や一般口座の利益と相殺する「損益通算」も、損失を翌年以降に持ち越す「繰越控除」も、NISA口座では使えないんです。
この記事では、2026年2月時点の最新情報をもとに、なぜNISAでは損益通算ができないのか、含み損が出たときにどう判断すればいいのか、そして特定口座との賢い使い分けまで、わかりやすく解説します。
そもそも「損益通算」ってなに?
まず「損益通算」の意味からおさらいしましょう。投資の世界では、利益が出た取引と損失が出た取引を合算して、トータルの利益にだけ税金がかかる仕組みがあります。これが損益通算です。
たとえば、A株で+30万円の利益、B株で-10万円の損失が出たとします。損益通算すると「30万 - 10万 = 20万円」に対してだけ税金(約20.315%)がかかります。つまり、損失が出ても税金を減らせるわけですね。
さらに、年間トータルで損失が出た場合は、その損失を最長3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺できます。これが「繰越控除」です。
ただし、これらの仕組みが使えるのは特定口座や一般口座での取引に限った話。ここがNISAの落とし穴なんです。
NISAで損益通算できない理由|「非課税」の裏側
NISAは「利益に税金がかからない」という最大のメリットがあります。通常なら利益の約20%が税金で持っていかれるところ、NISAならゼロ。これはすごいことです。
でも、この「非課税」がそのまま損したときのデメリットになります。国税庁の資料にも明記されていますが、NISA口座で生じた損失は「ないもの」として扱われます。
ざっくり言うと、こういうロジックです。
- NISAの利益 → 非課税(税金ゼロ)
- NISAの損失 → 「損失は存在しない」扱い
- だから → 損益通算も繰越控除も不可
つまり、「利益に課税しない代わりに、損失も面倒は見ないよ」というのがNISAの仕組みです。税制をシンプルに保つための設計なんですね。
これは小谷野税理士法人の解説でも詳しく説明されていますが、投資初心者が確定申告なしで気軽に始められるように、あえてこうなっています。
具体例で見る|NISAと特定口座で損得がどう変わるか
数字で見るとわかりやすいので、同じ損失でも口座の種類で結果がどう変わるか比較してみましょう。
ケース1:特定口座で10万円の損失が出た場合
- 特定口座A:+50万円の利益
- 特定口座B:-10万円の損失
- 損益通算後の課税対象:40万円
- 税金(約20.315%):約8.1万円
損失を確定申告で通算すれば、約2万円の節税になります。
ケース2:NISA口座で10万円の損失が出た場合
- NISA口座:-10万円の損失
- 特定口座:+50万円の利益
- 損益通算:不可(NISAの損失は「ないもの」扱い)
- 課税対象:50万円まるごと
- 税金:約10.2万円
NISAの損失は特定口座の利益と相殺できないので、税金は1円も減りません。もしNISAで利益が出ていれば非課税で丸儲けだったのに、損失が出ると救済措置がないのがキツいところです。
含み損が出たとき、売るべき?持ち続けるべき?
NISAで含み損を抱えたとき、「損切りして別の銘柄に乗り換えるべき?」「このまま持ち続けるべき?」と悩みますよね。判断のポイントを整理します。
持ち続けたほうがいいケース
- インデックスファンド(S&P 500、全世界株式など)に積立投資している → 長期的には回復する可能性が高い。新NISAの非課税保有期間は無期限なので、焦って売る必要はありません
- 投資先の根本的な問題がない → 一時的な市場の下落なら、持ち続けるのが基本戦略です
- すぐにお金が必要ない → 5年、10年単位で待てるなら、時間を味方につけましょう
売却を検討すべきケース
- 投資先の将来性に疑問がある → 個別株で業績が悪化し続けているなら、損切りも選択肢
- 生活資金として必要になった → 住宅購入や教育費など、具体的な支出予定があるなら売却を検討
- より良い投資先に乗り換えたい → NISAで売却すると翌年に非課税枠が復活するので、別のファンドに切り替える戦略もアリ
ポイントは、「損が出たから売る」ではなく、「この投資先を続ける理由があるか」で判断することです。東海東京証券のNISAセンターでも、感情的な売買を避け、長期視点で判断することの重要性が解説されています。
NISAと特定口座の賢い使い分け|損しにくいポートフォリオの組み方
損益通算ができないNISAのデメリットを最小限にするには、口座の使い分けがカギです。2026年2月時点での基本的な考え方を紹介します。
NISA口座に向いている投資
- 長期保有前提のインデックスファンド(全世界株式、S&P 500など)
- 高配当株(配当金が非課税になるメリットが大きい)
- 値上がりが期待できる成長株(利益が出たときの非課税メリットが最大化)
つまり、「利益が出る可能性が高い投資」をNISAに入れるのが鉄則です。
特定口座に向いている投資
- 短期売買やスイングトレード(損失が出ても損益通算できる)
- ハイリスク・ハイリターンな個別株(損失リスクが高いものは特定口座のほうが安全)
- NISAの年間投資枠(360万円)を超える分
要するに、「損する可能性がある投資は特定口座」「利益が出そうな投資はNISA」という振り分けが基本です。マネイロの解説記事でも、この使い分けが推奨されています。
確定申告が必要になるケースもある|NISAユーザーが注意すべき例外
「NISAは確定申告不要」が原則ですが、松井証券の解説によると、以下のケースでは確定申告が必要(または有利)になります。
- 配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」以外 → 配当金が課税される可能性があるため、確定申告で非課税の適用を確認すべき
- NISA以外の口座(特定口座・一般口座)でも取引している → 複数の特定口座間で損益通算したい場合は確定申告が必要
- 特定口座(源泉徴収あり)で利益が出て、医療費控除などの還付申告をする → 申告すると配偶者控除や扶養控除の判定に影響する場合があるので注意
特にありがちなのが、NISA口座と特定口座を併用していて、特定口座同士の損益通算を忘れるパターン。NISAの損失は通算できなくても、特定口座同士なら確定申告で通算できます。払いすぎた税金が戻ってくる可能性があるので、忘れずにチェックしましょう。
FAQ
新NISAで100万円の含み損があります。確定申告したほうがいいですか?
NISA口座の含み損は確定申告しても税制上のメリットはありません。損益通算も繰越控除もできないためです。ただし、特定口座でも取引があるなら、そちらの損益通算のために確定申告する価値はあります。
NISAで損切りしたら、その分の非課税枠はどうなりますか?
NISAで売却すると、その買付金額分の非課税枠が翌年に復活します。たとえば2026年に100万円分を売却したら、2027年の年間投資枠に100万円分が戻ります。ただし、復活するのは「簿価(買った時の金額)」ベースです。
旧NISAの非課税期間が終わったらどうなりますか?
旧つみたてNISAは最長20年、旧一般NISAは最長5年の非課税期間があります。期間終了後は自動的に課税口座(特定口座など)に移管されます。このとき、移管時点の時価が新たな取得価額になるため、含み損のまま移管されると将来利益が出たときに余計な税金がかかる可能性があります。
NISA口座の配当金に税金がかかっていました。なぜですか?
配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」になっていない可能性があります。郵便局受取やゆうちょ銀行振込(配当金領収証方式)だと、NISA口座でも配当金に課税されます。証券会社の設定画面で受取方法を確認・変更しましょう。
参考文献
- NISA(非課税口座)の概要 — 国税庁, 2024年2月
- 新NISAで確定申告は原則として不要!理由や例外、注意点などについて解説 — 東海東京証券 NISAセンター, 2024年11月
- NISAは確定申告が必要?必要となるケースや確定申告のやり方、注意点も解説 — 松井証券
- NISAはなぜ損益通算も繰越控除もできないの?わかりやすく解説 — 小谷野税理士法人
- NISA口座と特定口座のベストな使い分け方は? — マネイロ



