工房にPC 7台を並べて作業していると、PC間でベンチマーク結果やドライバファイルを受け渡す場面がしょっちゅうあります。エクスプローラーの「ネットワーク」を開けばお互いのPCが見えるはず、なんですが、Windows 11 24H2にアップグレードした検証機が一台、突然ネットワーク上から消えたことがありました。同じルーターに繋がっているのに、他のPCからまったく見えない。

結論から言うと、24H2ではネットワーク探索まわりのセキュリティ設定がかなり厳しくなっていて、以前のバージョンから引き継いだ設定のままだと「表示されない」状態に陥りやすいんですよね。

まずネットワークプロファイルを「プライベート」に変更する

Windows 11でネットワーク上の他のPCが見えない原因として一番多いのが、ネットワークプロファイルが「パブリック」になっているケースです。パブリックに設定されていると、セキュリティ保護のためにそのPC自体がネットワーク上から隠れます。

確認手順はこうです。

  1. 「設定」→「ネットワークとインターネット」を開く
  2. 接続中のネットワーク(Wi-FiまたはEthernet)をクリック
  3. 「ネットワークプロファイルの種類」を「プライベートネットワーク」に変更

自宅やオフィスのように信頼できるネットワークでは「プライベート」に設定してください。カフェや空港のフリーWi-Fiでは「パブリック」のままにしておくのが安全です。

これ意外と、Wi-Fiルーターを買い替えたタイミングやWindows Updateの後に「パブリック」に戻されていることがあります。自分の工房でも、ルーター交換後に全台のプロファイルを確認し直した経験があります。

ネットワーク探索とファイル共有を有効にする

プロファイルを「プライベート」に変更しただけでは不十分な場合があります。ネットワーク探索自体が無効になっているケースです。

  1. 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「ネットワークの詳細設定」
  2. 「共有の詳細設定」をクリック
  3. 「プライベートネットワーク」の項目で以下をオンにする
    • ネットワーク探索(「ネットワークに接続されたデバイスの自動セットアップをオンにする」も忘れずに)
    • ファイルとプリンターの共有

ここまでの設定は、ファイルを共有したいすべてのPCでやる必要があります。片方だけオンにしても、もう片方がオフなら見えません。工房の7台全部を設定し直したとき、1台だけ漏れていて「なんで1台だけ見えないんだ」と15分悩んだことがあります。15年やっていてもこの手の設定は毎回どこかでつまずくんですよね。

関連するWindowsサービスが止まっていないか確認する

設定を有効にしても他のPCが表示されない場合、ネットワーク探索に必要なWindowsサービスが停止している可能性があります。

Win + Rで「ファイル名を指定して実行」を開き、services.mscと入力してサービス管理画面を起動してください。以下の4つのサービスが「実行中」かつ「スタートアップの種類」が「自動」になっているかを確認します。

サービス名役割
Function Discovery Provider Hostネットワーク上のデバイスを検出する
Function Discovery Resource Publication自分のPCをネットワーク上に公開する
SSDP DiscoveryUPnPデバイス(NASやプリンター等)を探索する
UPnP Device HostUPnPデバイスとの通信をホストする

サービスが停止していた場合は、右クリック→「プロパティ」からスタートアップの種類を「自動」に変更して「開始」をクリックします。

ぶっちゃけ、ネットワーク探索のトラブルはこのサービスが止まっているケースが体感で半分くらいあります。Windows Updateの後やクリーンブートの戻し忘れで停止していることが多いです(自分もクリーンブートのまま1週間使い続けて、共有フォルダにアクセスできなくなったことがある)。

24H2のSMBセキュリティ変更に注意する

Windows 11 24H2では、ファイル共有プロトコル「SMB」のセキュリティが大幅に強化されました。具体的には以下の変更が入っています。

  • SMB署名が既定で必須に変更(以前はオプション)
  • ゲスト(パスワードなし)アクセスが無効化
  • SMB 1.0の完全無効化(古いNASやLinux Sambaの旧バージョンに影響)

これが厄介なんです。たとえば、古いNAS(ネットワーク対応のハードディスク)にユーザー名とパスワードを設定せずアクセスしていた場合、24H2にアップグレードした途端にアクセスできなくなります。バッファローの公式サポートページでも、24H2環境で共有フォルダが開けない問題が案内されています。

対処は2つの方向があります。

NAS側にユーザー名・パスワードを設定する(推奨)

セキュリティ的にはこちらが正しい対処です。NASの管理画面からユーザーアカウントを作成し、共有フォルダにアクセス権を設定してください。Windows側からアクセスする際にユーザー名とパスワードの入力を求められるようになります。

ゲストアクセスを許可する(非推奨・一時的)

どうしてもパスワードなしでアクセスしたい場合は、グループポリシーエディター(gpedit.msc)で変更できますが、セキュリティリスクが高まるためあくまで一時的な対処にとどめてください。

それでも表示されない場合の追加手順

ここまでの設定を全部確認しても解決しない場合、Windowsファイアウォールがネットワーク探索をブロックしている可能性があります。

  1. 「Windowsセキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」を開く
  2. 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリック
  3. 「ネットワーク探索」と「ファイルとプリンターの共有」にチェックが入っているか確認する。プライベートにチェックが必要

それでもダメなら、最終手段としてネットワーク設定のリセットがあります。「設定」→「ネットワークとインターネット」→「ネットワークの詳細設定」→「ネットワークのリセット」です。ただしWi-FiパスワードやVPN設定も全部消えるので、パスワードを控えてから実行してください。

なお、2026年3月にリリースされたKB5085516以降の累積更新プログラムで、24H2のネットワーク関連の不具合の一部が修正されています。Microsoft Learnの公式トラブルシューティングでも最新の更新適用が推奨されているので、Windows Updateを最新にしてから上記の設定を確認するのが確実です。

FAQ

相手のPCのIPアドレスがわかっている場合、直接アクセスできる?

エクスプローラーのアドレスバーに \\192.168.1.xx(相手のIPアドレス)と入力すれば、ネットワーク探索に表示されなくても直接アクセスできます。共有フォルダが設定されていれば表示されるはずです。

Windows 11とWindows 10のPC間でファイル共有はできる?

できます。ただしWindows 11 24H2側のSMB署名の要件により、Windows 10側でもSMB署名を有効にする必要がある場合があります。Windows 10側もWindows Updateを最新にしておけば、多くのケースで問題なく通信できます。

MacやLinuxのPCはWindows 11のネットワークに表示される?

macOSやLinuxもSMBプロトコルに対応しているので表示される場合がありますが、Sambaのバージョンが古いとSMB署名の要件を満たせずアクセスに失敗することがあります。Samba 4.8以降であればSMB署名に対応しています。

「ネットワーク探索を有効にできません」というエラーが出る場合は?

先述の4つのWindowsサービス(Function Discovery Provider Host等)が停止していると、このエラーが出ます。services.mscから4つのサービスを「自動」に変更して開始してください。ファイアウォールの設定もあわせて確認が必要です。

参考文献