工房のPC 7台すべてで、レジストリ編集やドライバ更新の前に復元ポイントを手動作成する。15年自作PCをやっていて「これがなかったら詰んでた」という場面が何度もあったから、自分にとっては歯磨きと同じくらいの習慣になっている。ただ正直なところ、従来の「システムの復元」には不満もあった。アプリの設定や個人ファイルは復元対象外だし、復元ポイントがいつの間にか消えていることもある。

2026年6月23日にプレビュー公開されたWindows 11の更新プログラムKB5095093で、「Point-in-Time Restore」という新しい復元機能が追加された。7月14日の月例更新で正式に配信される予定のこの機能、従来のシステムの復元と何が違うのかを整理しておきたい。

Point-in-Time Restoreは「個人ファイルも含めて巻き戻せる」復元機能

従来のシステムの復元は、Windowsのシステムファイル・レジストリ・インストール済みアプリの状態を復元する機能だった。つまり、OSの「骨格」だけを元に戻す仕組み。デスクトップに保存していたファイルや、アプリ内の設定データは復元対象に含まれない。

Point-in-Time Restoreは、ここが根本的に違う。Microsoftの公式ドキュメントによれば、復元対象はアプリ・設定・個人ファイルの3つ。ボリューム シャドウ コピー サービス(VSS)を使って、PC全体のスナップショットを自動的に作成し続ける仕組みになっている。

ざっくり言うと、従来の復元が「OSの骨だけ元に戻す」だったのに対して、Point-in-Time Restoreは「PCまるごと巻き戻す」に近い。自分の工房で言えば、ドライバ更新で画面がおかしくなったときに、デスクトップのファイル配置やアプリの設定ごと元の状態に戻せる可能性がある。これは大きい。

従来の「システムの復元」とPoint-in-Time Restoreの違い

実際どう違うのか、表にしてみた。

システムの復元(従来)Point-in-Time Restore(新)
復元対象システムファイル・レジストリ・一部のアプリアプリ・設定・個人ファイル
復元ポイントの作成手動 or Windows Update時に自動自動(VSSによる継続的スナップショット)
デフォルト状態オフの場合あり(要手動有効化)Home/Proでデフォルト有効
ストレージ要件ドライブ容量の5〜10%200GB以上のストレージが必要
アクセス方法コントロールパネル → システムの保護設定 → システム → 回復
WinREからの利用可能可能

自分がいちばん注目しているのは「デフォルト有効」になった点。従来のシステムの復元は、Cドライブの保護がオフになっているPCが意外と多かった。PCショップ時代にも「復元ポイントがない」という持ち込みは何度もあって、そのたびに「普段から有効にしておいてください」と案内するしかなかった。Point-in-Time RestoreがHome/Proでデフォルト有効なら、この問題が大幅に減るはず。

Point-in-Time Restoreの確認と設定手順

2026年7月3日時点では、6月23日のプレビュー版KB5095093を適用した環境か、7月14日以降の月例更新を適用した環境で利用できる。確認手順は以下のとおり。

  1. Windowsキー+Iで「設定」を開く
  2. 左メニューから「システム」を選択
  3. 「回復」をクリック
  4. 「Point-in-Time Restore」の項目があれば、機能が利用可能

設定画面では以下の項目を調整できる。

  • 機能のオン/オフ切り替え
  • 復元ポイントの作成頻度
  • 保持ポリシー(どのくらいの期間保持するか)
  • ストレージの割り当て量

まだKB5095093を適用していない環境では項目が表示されない。7月14日の月例更新で自動的に配信される予定なので、急ぎでなければ待っていい。

(ちなみに自分は工房の検証機1台にプレビュー版を入れて確認した。7台全部に入れるのは正式版を待つつもり。15年やっていても、プレビュー版を全台に入れる度胸はない)

200GBのストレージ要件と「従来の復元」は残るのか

Point-in-Time Restoreには200GB以上のストレージが必要という要件がある。最近のPCなら256GB以上のSSDを積んでいることが多いので大半は問題ないけれど、128GBモデルのノートPCや、Cドライブの空き容量が少ない環境では使えない可能性がある。

気になるのは、個人ファイルも含めたスナップショットを継続的に取るとなると、ストレージ消費がどのくらいになるか。従来のシステムの復元では自分の工房でドライブ容量の8%に設定していたけれど、Point-in-Time Restoreではファイルも対象になるぶん、もう少し多く使う可能性がある。設定画面でストレージ割り当てを調整できるので、NVMe SSD 2TBの自分の環境なら余裕はあるけれど、256GBのノートPCだとやりくりが必要かもしれない。

なお、従来の「システムの復元」がなくなるわけではない。コントロールパネルの「システムの保護」から引き続き利用できるので、Point-in-Time Restoreと併用することも可能。ストレージに余裕がない環境では、従来の復元だけを使い続けるという選択肢もある。

結局のところ、Point-in-Time Restoreは「あって困るものではない」機能なので、ストレージに余裕があるならデフォルトの有効状態のままにしておくのがおすすめ。ストレージが128GBしかない場合は、従来のシステムの復元を手動で有効にしておくだけでも十分な保険になる。

FAQ

Point-in-Time Restoreと従来の「システムの復元」はどちらを使うべきですか?

ストレージに200GB以上の空きがあるならPoint-in-Time Restoreを有効にしておくのがおすすめです。個人ファイルを含む広範囲の復元が可能で、デフォルト有効なので設定忘れのリスクもありません。128GB SSD搭載機など容量に余裕がない場合は、従来のシステムの復元を有効にしておくだけでも十分な保険になります。

Point-in-Time RestoreはWindows 11 Homeでも使えますか?

はい。Point-in-Time RestoreはWindows 11のHome版とPro版の両方でデフォルト有効になります。従来のシステムの復元はPCの初期設定によってはオフになっていることがありましたが、Point-in-Time Restoreではその心配がありません。

Point-in-Time Restoreを使うとストレージをどのくらい消費しますか?

具体的な消費量はPC環境やファイル変更頻度によって異なります。「設定」→「システム」→「回復」からストレージ割り当て量を調整できるので、空き容量が心配な場合は上限を設定してください。2026年7月時点ではまだ正式配信直後のため、長期運用での消費量データは限られています。

Point-in-Time Restoreを使ったら復元前の状態に戻せますか?

従来のシステムの復元と同様に、復元操作を行う前に現在の状態のスナップショットが自動作成されるため、復元後に「やっぱり元に戻したい」という場合も対応可能です。WinRE(Windows回復環境)からもアクセスできるので、Windowsが起動しない状態でも利用できます。

参考文献