工房の検証機で、古いベンチマークツールが起動しなかったことがある。GPUドライバを疑って切り分けを始め、30分ほど経ってからようやく通知領域のスマートアプリコントロールのブロック表示に気づいたんです。

オフにしたら一発で動いた。ただ、そのとき頭をよぎったのが「これ、もう二度とオンに戻せないんだよな」ということでした。2026年10月時点では、その前提が変わっています。

スマートアプリコントロール(Smart App Control、略してSAC)が再オンできるようになった経緯と、確認手順、オンに戻せないときに疑う点を順に見ていきます。

以前は「オフにしたら再インストールしないと戻せない」仕様だった

SACはWindows 11のセキュリティ機能で、起動しようとしたアプリを「クラウドの評価」と「有効な署名」で判定し、信用できないものをブロックします。Microsoftの公式サポートページによると、クラウドが安全と判断できなければ署名を確認し、署名がないか無効なアプリは未信頼として止められます。

厄介だったのは、一度オフにすると、Windowsのクリーンインストール(または初期化)をしない限りオンに戻せなかった点です。この仕様は長く続いていました。

自分の工房でもこれが引っかかって、「検証用に一瞬だけオフにしたい」という用途では使いにくかったんですよね。他人のPCでも、同じ理由で「オフにしないでおきましょう」と案内するしかない機能でした。

2026年4月の更新から、設定画面で再オンできるようになった

Microsoftの公式ページには「最近のWindows更新により、クリーンインストールなしでオン、再オンができる」という趣旨の記述があります。具体的な日付は書かれていませんが、複数の報道では2026年4月14日配信の更新から、設定画面でのオン・オフ切り替えが可能になったと伝えられています(Topedia、Anoop C Nair)。

確認する場所はここです。

  1. スタートメニューから「Windows セキュリティ」を開く
  2. 「アプリとブラウザー コントロール」を選ぶ
  3. 「スマート アプリ コントロール設定」を開く
  4. 表示が「オン」「評価」「オフ」のどれかを確認する

「オフ」の状態でオンのスイッチが選べれば、再オンできます。選べるなら、再インストールは要りません。

Microsoftは更新で使えるようになったと案内していますが、実機でその画面が出るかどうかはPCの状態次第なんですよね。筆者の手元で確認できたのは検証機1台のみで、他の構成での再現性は取れていません。

「評価」と「オン」は何が違うのか

状態表示は3種類あります。「オン」は常に判定してブロックする本番モード、「オフ」は何もしない状態です。もうひとつの「評価」は、裏で普段の使い方を見て、このPCにSACが向いているかを判断する期間のことです。

評価期間中は、ブロックは出ません。Microsoftの説明では、開発者向けの作業や業務で頻繁にアプリを入れ替える利用者は、自動的にオフになることがあります。

つまり、自分で触っていないのに「オフ」になっているケースがある、ということです。開発者モードを有効にしたPCや、組織が管理しているPCなどが該当します。

オンにするスイッチが選べないときの確認点

画面は開けるのにスイッチがグレーアウトしている、という相談も出ています。Microsoft Q&Aには、2026年1月にセキュリティプラットフォーム更新のあとオンに戻せなくなったという報告がありました。ただしこれは4月の更新前の話で、今の状況とは分けて考えたほうがいいです。

順番に見ていくと、原因の切り分けは次のとおりです。

  • Windows Updateが古い: 2026年4月以降の累積更新が入っているか確認する。未適用ならまず更新(更新後に不調が出たら、WinREから更新プログラムのアンインストールで戻せるようにしておく)
  • Sモードで動いている: 公式ページによれば、Sモードの場合はSモードを解除し、PCをリセットする必要がある
  • 組織管理のPC: 会社や学校のポリシーでオフに固定されていることがある。管理者に確認する
  • 診断データの設定: 任意の診断データをオフにしていると影響する場合がある(公式ページの記述は曖昧で、筆者もこの条件では実機検証できていない)

どれにも当てはまらず選べないなら、検証機でクリーンインストール直後に試すと状況が掴みやすいです。条件付きの機能は、仕様が変わった直後ほど公式ページの更新状況を見ておくと安心です。

アプリ単位で「許可」する方法はない。選べるのは2つだけ

ブロックされたときに、このアプリだけ通したい、と考えるのは自然です。ただ、公式ページにははっきり書かれています。特定のアプリだけを許可する方法はありません。

選択肢は次の2つです。

  1. SACをオフにして実行する(実行後に再オンできる)
  2. アプリの開発元に、有効な署名をつけてもらう

署名のない古いフリーソフトやベンチマークツールは、まずここで止まります。筆者の運用ルールは、アプリが起動しないときはSACのブロック通知を最初に確認する、です。30分を無駄にした反省から、これだけは習慣にしました。

安全面の補足です。入手元が怪しいファイルのためにSACをオフにするのは避けてください。公式サイトから落とした信頼できるツールだけに限り、実行が終わったらオンに戻す。再オンできる今は、それが現実的な運用になります。

検証機での運用イメージ

オフにする前に、復元ポイントを作っておくと安心です。設定を触る作業の前に作る習慣は、工房の全台で続けています。

流れは、ツールの入手元を確認して、SACをオフにし、ツールを実行して、終わったら「Windows セキュリティ」から再びオンにする、の順です。5分もかかりません。

オンに戻したあとで、同じツールがまたブロックされるのは正常です。それがSACの役目なので、都度オフにするか、署名つきの版を探すか、を判断すればいい。

FAQ

スマートアプリコントロールをオフにしたら、本当に二度とオンにできませんか?

2026年4月の更新以降は、条件が合えば「Windows セキュリティ」から再オンできます。古い更新のままだと従来どおり再インストールが必要な場合があるので、先にWindows Updateを確認してください。

スマートアプリコントロールの設定が自分のPCに表示されません。

「アプリとブラウザー コントロール」の中にあります。見つからない場合は、Windows 11のバージョンが古いか、組織の管理下にある可能性があります。

特定のアプリだけ例外にできますか?

できません。Microsoftの公式ページでも、個別に許可する方法はないと案内されています。オフにするか、署名つきのアプリを使うかのどちらかです。

オフにすると、ウイルス対策は無くなりますか?

無くなりません。Microsoft Defenderなどの他の保護は別機能として動き続けます。ただしSACが担っていた「署名のないアプリの遮断」はなくなります。

参考文献